氏の作品の中で1・2を争うくらい好きな作品。どの章も涙をこらえるのに必死。皆、なかなかに過酷な運命なのに必死に抗おうとしている。格好悪い自分と向き合いながら。辛く悲しい渦中にいても主人公誰しもが自分で運命を切り開いていこうとする姿に泣きながら応援したくなる。そんな作品。

明日から法改正され、これまで努力義務だった私立学校や企業等事業者でも、合理的的配慮が法的義務となる。とはいえこの「合理的配慮」はまだまだ広く認知されるに至っていないというのが現状であろう。この本のなかにもあるように『発達障害は個性のひとつ。インクルーシブな社会を目指そう』といわれているが何が何でも受け入れなければと思ってしまうとやはり疲れてしまう。「差別」は以ての外だが「区別」はあってもいいのだと思う。そして少し目をつぶる。それだけでお互い少し楽になる。共存とはそういうことなのではなかろうか。

あまり漫画は登録しないんだけどちょっと物申したい。以前とあるまんが評論家がこんなことを語っていた。「昔の漫画は10巻もいかずコンパクトにまとまっていた。それでも壮大な世界観を描いていた。それも漫画家の才能である。今はだらだらとひっぱり、無駄に長い作品が多い。」と。このまんがを読むといつもこの記事を思い出す。なげーよ。で、ちっとも話進まねーよ。「3月のライオン」や「海街diary」みたいに話がゆっくりしか進まなくても心に響くって類の作品でもないし。刊行ペースも遅いし。もうちょっと巻きでお願いします。

なんと静謐で静寂な文章なのだろう。たとえば冬の早朝、空気が澄み切り、痛みを覚えるほどの冷たさのなかで研ぎ澄まされた美を見せる。そんな美しさをはらんだ文章。全編亡き夫への想いが紡がれている。読み手を号泣させる描き方ではなく、一編一編は瞳に涙の膜が張る、涙一粒分の哀しみ。だからこそその一粒一粒が雪のように降り積もっていく。晴れた日に降る雪のようにきらきらと輝いて、でも触れることはできなくて。私の語彙力では残念ながらとても言い表すことができないがとてもとても美しいものを読ませていただいた。

いつもより刊行ペースが早いと思っていたら今まで発表していた短編+書き下ろしの短編集だからなんですね。清霞の原点であり、9巻以降のメインであろう土蜘蛛との対決の始まりであるストーリーから始まり、うふふ♥️とにやけてしまうようなお話だったり皆がなんだか幸せそう(清霞パパとママも本人たちがそれで幸せなら…)で これはこれで良かった！7巻までの本編が「ここまでやらんでも…」と思うくらい次から次に試練が用意され、少しだらだらしてしまった感があったので この8巻の短編集はことさらほのぼの楽しめました。

文庫版と単行本版とラストが異なるというのでこちらも読んでみた。こちら、単行本版のラストの方が私は好みです。

偽善でもなんでも、私の中であの出来事を風化させないための儀式のようなもの。今、本当は本を読む余裕はないのだがあとがきを読むだけで自ずと背筋が伸びてくる。

サクラとカイの書き下ろしが1/3 。既述のアオイの話が2/3。サクラの話は続きそう。イラスト&コミカライズ版のサクラは私のイメージじゃないなぁ。あれじゃ幼すぎ、ただ「守られるべき存在」みたい。サクラは秘めた強さも持っているのにな。