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2024年3月の読書メーターまとめ

ホークス
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2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ホークス
2023年刊。イラク南部の広大な湿地帯=アフワールは、古代シュメール人からアラブ人やユダヤ人、マイノリティやアウトローの住処となってきた。高野氏はアフワールの正体を知るべく度々訪問。しかし命知らずで語学通の氏も、饗応攻めや人脈ありきの文化には終始苦労する。右往左往の冒険を読むうち、その土地の文化というのは過去の蓄積そのものだと理解できた。特にイラクはその歴史が長い。いかにも適当な舟の作り方も、明日も分からない中、今ある素材と人員で一から作るにはピッタリ。イラクの土地と人の色んな面を肌感覚で知ることができた
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
13

ホークス
2023年刊。イラク南部の広大な湿地帯=アフワールは、古代シュメール人からアラブ人やユダヤ人、マイノリティやアウトローの住処となってきた。高野氏はアフワールの正体を知るべく度々訪問。しかし命知らずで語学通の氏も、饗応攻めや人脈ありきの文化には終始苦労する。右往左往の冒険を読むうち、その土地の文化というのは過去の蓄積そのものだと理解できた。特にイラクはその歴史が長い。いかにも適当な舟の作り方も、明日も分からない中、今ある素材と人員で一から作るにはピッタリ。イラクの土地と人の色んな面を肌感覚で知ることができた
が「ナイス!」と言っています。
ホークス
2023年刊。進化のカラクリを身も蓋もなく解説した上で、そこから人間について考える。命をつなぐ戦略は多産多死と少産少死の二つ。人間は少産少子で、かつ群れの中で助け合う生物。本能として自分と仲間の命を大切にするよう進化したが、個々が欲求を追えるだけの思考力も得た。結果、本能と欲求の板挟みが重い悩みとなる。このまとめ方は面白い。著者は、各自が本能と程よく距離をとって生きるよう勧める。人間が他の生物と違うのは芸術や文化。そこに人間ならではの道がある。人間はもう、楽しくなくては生きていけないのだろうと思う。
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ホークス
再読。2017年刊。大真面目なのに可笑しい、奇妙なマシンの本。ドイツの高速鉄道シーネン・ツェッペリンは機関車後端のプロペラにより時速230キロを得るも、客車をつなげず不採用。でも後に米国ではジェット機関車が試作まで行ったし、ジェットバイクは市販されており、決めつける訳にはいかない。終戦直後の日本では、牽引車と荷台が分かれたトレーラーバスが活躍した。当時の車両は残ってないが、写真ではとてもゴツい。奇妙なNO1は、ナチスドイツの鬼才リピッシュ博士による"空飛ぶ筒"、エアロダイン。翼は無くまさに金属製の鯉のぼり
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ホークス
2023年刊。ワンダーはWander(散歩)であってWonder(驚嘆)じゃないらしい。野外の変な物件に感応し面白がる著者らしい企画。「坂道は、向こう側に別天地(又は地獄)を想像してしまう」とか、「風景がごちゃごちゃしていると嬉しい。近づくともっと面白いものが見つかる気がする」などの話に、良いなーと思った。私も知らない場所に行きたい。宮田氏は大体ふざけているけど時折ドキッとさせる。街中の巨大ガスタンクを見て、「人間は世界から拒絶されたちっぽけな存在だと突きつけてくる」なんて言う。Wonderでもあるね。
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ホークス
2018年刊。絵画の中の視覚に関わる現象の話。読みやすいけど原理の説明は歯応えがある。実験例や画像も多くて面白かった。理解度70%。ラ・トゥールなどの絵に感じる"眩しさ"は、濃淡の配し方によって脳で引き起こされる「グレア効果」。原理の発見は1999年だけど、昔から画家は経験的に知っていた。まだ解明に至らない現象も多い。例えば物を透明と感じる原理、模型やミニチュアの様に見える写真の撮り方などは、部分的にしか説明できない。脳は一瞬のうちに、視覚情報に推論を加えたストーリーを作って我々に提示するらしい。
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ホークス
2012年刊。運慶が目指したのは単にリアリズムではなく、実在を納得させるリアリティだと言う。源頼朝の時代にこれだけの作家性を持ちえた事、その個性の理解者を得られた事は奇跡とも思える。旧様式を超えるアイデアを古い仏像に求めつつ、焼き直しになっていない。リアルなのに奔放な肉体表現は、飽くなき探究心によると思われる。表紙の金剛力士はその典型。運慶は更に、底知れぬ意志力を放つ人物像(重源、無着菩薩、世親菩薩)に到達した。人間に深く絶望しながら、人間の限界を超えようとする姿を見てしまうのは贔屓が過ぎるだろうか。
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ホークス
2024年刊。発達障害とは定型発達とは違う型の発達であり、目の色と同じく先天的な個性だと私は思う。著者は宮沢賢治、高橋留美子、庵野秀明、村田沙耶香らに発達障害の特徴を感じ、創作物や発言から彼らの体感世界を究明しようとする。自身も発達障害である著者の分析は、実感に裏打ちされて生々しい。一人一人違うけど共通点もある。発達障害の傾向はグラデーションで、空気や雑談が苦手な私もやや自閉傾向と思う。本書にもピンと来たり来なかったりした。大事なのは、被差別者や特権者としてでなく、フラットに感覚が表現されていく事だろう
ぽんつく(まんじゅう)
2024/03/14 21:12

村田沙耶香さん本人がどうかはわかりませんが(エッセイを読むと独特の感受性を持っているけれどもそれが発達障害から来るものだとは思えない)、「コンビニ人間」の主人公はASDだなあ、と思いながら読みました。

ホークス
2024/03/14 22:15

「コンビニ人間」の主人公はその通りだと私も思います。本書ではご本人の方はASDを明言してない感じでしたね。

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ホークス
1990年のフランス旅日記。著者は路上観察学会メンバー。十数年ぶりに再読したらとても面白かった。「路上観光」は建物の彫刻や金属装飾、マンホール、壁面からニョキニョキ生えるイルカやガーゴイルの排水口。至る所にグリフィン、ライオン、海神、魚、色んな怪獣。足元には馬車よけの出っ張りや、靴底をこそげる泥おとし。凝った番地表示。よくこれだけ古い物が残っているし、探す著者の執念もすごい。変な露店とそのサクラを観察したり、有名なシュバルの理想宮にも足を伸ばす。楽しい挿絵と写真がたっぷり。気ままな旅に行きたくなる。
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ホークス
2006年刊。西洋絵画を15世紀の短期間で精緻化・モダン化したのは光学機器(主に鏡とレンズ)とする仮説の論証本。著者は多くの絵から光学機器由来の痕跡を探す。コラージュ的構成、不自然な圧縮・伸長、強い照明などは確かに主張通り。短期間での変化も裏付けと言えそうだ。道具がダメな訳ではない。画家が生身の職人である以上、膨大な手間と時間を減らせる道具を、使わない方が不自然と著者は言う。コンパス同様、当たり前の道具になっていたと思われる。論証は半分しか理解できなかったが、大型本のお陰で拡大画像の美しさは満喫できた。
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ホークス
2022年刊。絵画について二人であれこれ会話している。40才から油絵を極めようとした高橋由一の絵(鮭や豆腐)は、リアルへの執念が怖い。人をビックリさせたい無邪気さがそれを中和したりもっと不気味にする。『快楽の園』のボスの絵を、「裏庭の大きな石をどけたら、よく分かんない虫がうごめいてた感じ」「オレたち生きてるぞ〜」などと評するのも楽しい。ただもっと強く面白がって欲しかった。ツッコむ相手(権威や常識)もちょっと古い。懐かしい茶飲み話も良いし、題名もそんな感じかと後で思った。現代芸術はやっぱり好きになれない。
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ホークス
2009年刊。小林氏のシリーズ第三弾。表題の子リスによる防御行動は本能的なもので、多くの生物に色んな形で見られる。個々の特殊さは、予め正しい結論など無い、自然淘汰の揺らぎの結果。本巻で強調されている河川敷の役割も、境界的で複雑な場として、特定の捕食者や災害から揺らぎの機会を守る事。ヨーロッパの森林破壊と日本の河川敷破壊は同根と思う。そう言う私も安全と便利さを享受している身だが。カラス等の鳥が、崩れた模様より秩序立った模様を選ぶのは興味深い。この習性が人間の美の感情と同じ基盤である、という学説は楽しい衝撃。
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ホークス
2008年刊。小林氏のシリーズ第二弾。研究室で飼育していたアカネズミがカゴを食い破って脱走。落とし穴で捕えるには太らせる必要があり、せっせと餌を撒くオチ。シマリスは天敵であるヘビの皮膚を齧りとり、自分に塗り付ける。襲われ難くなるらしい。勇敢か無謀か分からないが、人間も神様を恐れる一方で神頼みもする。哺乳類共通の習性なのか。水の乏しい山に棲むイモリが興味深い。生物は様々な可能性を試し、一部の変わり者が新たなニッチで生き残る。多様性は酷薄な世界における究極のサバイバル。変わり者になれる確率は低いが命はつながる
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ホークス
2002年刊。ハーン(小泉八雲)の魅力を分かりやすく解説。不幸な幼少期が植えつけた暗い想念と、それを上回る探究心 に個性を感じた。説話物語の完成度を高めるため、妻のセツに何度も語ってもらっている。代表作の解説が読み応えあり。『耳なし芳一』で、盲目の芳一が広い屋敷(実は墓地)を歩きつつ、物音や声から場所を推測する場面はゾーッとする。亡霊武者の「開門」の言葉もよく考えたもの。暗い部屋に座り、セツが襖越しに「芳一、芳一」と呼ぶと「はい、わたしは盲目です。あなたはどなたでございますか」と答えたエピソードが素敵。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/03/30(3674日経過)
記録初日
2014/03/30(3674日経過)
読んだ本
2148冊(1日平均0.58冊)
読んだページ
530492ページ(1日平均144ページ)
感想・レビュー
1476件(投稿率68.7%)
本棚
2棚
性別
自己紹介

2021年4月更新。間もなく60歳の会社員です。小説が苦手なので、お気に入りさんの感想も、小説については読まないことが多いです。読書メーターは本探しと、感想を読んで勉強したいのが目的です。読書はノンフィクションの食、生物、美術、紀行、歴史など。小説も怪奇幻想もの、ノワールものは少し読みます。

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