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2024年10月の読書メーターまとめ

nobi
読んだ本
4
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1458ページ
感想・レビュー
4
ナイス
565ナイス

2024年10月に読んだ本
4

2024年10月のお気に入り登録
2

  • 杜のカラス
  • kthyk

2024年10月のお気に入られ登録
2

  • 杜のカラス
  • kthyk

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

nobi
当然天道説でしょと思ってたのに地動説を説かれたような衝撃。難しい表現も数式も使わずこんこんと、時間は存在しない、と説く。読み返す内に納得したような。でも過去から未来に向かって時間は流れ、宇宙のどこにでも“今“はあるといった体感から中々抜けきれない。ロヴェッリも読者がそう思いたがるのは百も承知。彼は理に優れ情に厚くそんな読者を置き去りにしない。詩的感性も音楽的感性もその分野でも本が書けそうな位。時間という軸から見た古代から現代までの哲学者の系譜も披露する。イタリアへの揶揄も交えたり等不思議な魅力に満ちた本。
nobi
2024/10/13 20:42

《讃美歌に耳を傾けるとき、一つの音の意味は、その前後の音によって与えられる。音楽は時間のなかにしかあり得ないのに、わたしたちが常に現在にしか存在し得ないとしたら、どうして音楽を聴くことができるのか。なぜなら、わたしたちの意識が記憶と予想にもとづいているからだ、とアウグスティヌスはいう。》

nobi
2024/10/13 20:42

《ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」のベネディクトゥスに含まれるヴァイオリンの歌は純粋な美であり、純粋な絶望であり、純粋な喜びである。わたしたちは息を潜め、どういうわけかこれが意味の源だと感じつつ、宙を舞う。これこそが時間の源だと感じながら。》

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
4

nobi
浸透性殺虫剤やヒ素系除草剤などの大量散布が行われていた1950年代。ニレの木への殺虫剤散布がコマツグミの囀りを聞けなくし、ブタクサ駆除一年後にブタクサが繁茂するといった当時の事例を次々と示されると、彼女の暗澹たる気持ちが乗り移ってくるよう。自然を愛するが故にその異変の重大さにいち早く気づき、進化をテーマとする予定を変更してまで事態の調査に邁進し、果敢に問題提起してゆく。濃縮、浸透、食物連鎖といった自然の連関に関する名講義を受け続けるよう。科学的アプローチの中に、それぞれの生き物たちの姿が目に浮かんでくる。
nobi
2024/10/31 21:13

《水は、それが支える生命の連鎖という観点からも見なければならない。小さな植物プランクトンを、やはり微小な動物プランクトンが食べ、それを魚が濾し取り、その魚が他の魚や鳥、ミンクやアライグマに食べられるという連鎖が続き、物質が命から命へと伝えられていく。水中の必須無機栄養がそうやって食物連鎖の中を受け渡されていくのだ。人間が水中に垂れ流した毒物は自然界のこの連鎖には入らないなどということがあるだろうか。》

nobi
2024/10/31 21:13

《現在の自然界のバランスは、更新世(約二五八万年前から約一万一七〇〇年前の期間)の頃と同じではないが、今も存在している。生きもの間に張り巡らされた精緻で高度に統合された複雑なそのシステムを無視するのは、重力を無視して崖っぷちに立って平気な顔をしている人よりも危険なことなのだ。》

が「ナイス!」と言っています。
nobi
ハムネットで16世紀ストラトフォードの二家族と共に過ごし、この書では16世紀フィレンツェのメディチ家の三女ルクレツィアの起伏激しい哀歓と同期する光景が目の前に拡がる。青い絹地と金蘭の花嫁衣装への反感、夫の挙動への胸騒ぎ、乳母小間使いベンガルの雌虎と心通じた時の安らぎ、熟れすぎた杏の手触り、髪を切る感触…。地理の勉強で“メソポタミアの地図を模写”し食欲無ければ“ガレー船のオールが水をかくように”匙を動かす。公国を存続拡大するためなら夫は猛禽の如く冷酷になる。冒頭から煌びやかで暗然たる物語に引き込まれてゆく。
nobi
2024/10/21 19:01

《雌虎は歩いているというよりは流れていた。まるで存在そのものが、火山から流れ出たものさながらどろどろに溶けてたぎっているかのように、闇のなかでは檻の縦格子も獣の毛皮の縞模様も見分けがつかなかった。獣は橙色、艶やかな金色で、生きた炎だった。力であり、怒りであり、獰猛で優美だった。自らの体に監獄の檻の印をつけている。まさにこのために烙印を押されていたかのように、生まれ落ちたときからずっと捕らえられる運命だったかのように。》

nobi
2024/10/21 19:01

《頬は冷たくて柔らかく、熟れすぎた杏の手触りを思い出させ、同じように緩んだ、融けていきそうなところがある。母のにおいはいつも同じだ。髪の香油、菫油、丁子。》

が「ナイス!」と言っています。
nobi
当然天道説でしょと思ってたのに地動説を説かれたような衝撃。難しい表現も数式も使わずこんこんと、時間は存在しない、と説く。読み返す内に納得したような。でも過去から未来に向かって時間は流れ、宇宙のどこにでも“今“はあるといった体感から中々抜けきれない。ロヴェッリも読者がそう思いたがるのは百も承知。彼は理に優れ情に厚くそんな読者を置き去りにしない。詩的感性も音楽的感性もその分野でも本が書けそうな位。時間という軸から見た古代から現代までの哲学者の系譜も披露する。イタリアへの揶揄も交えたり等不思議な魅力に満ちた本。
nobi
2024/10/13 20:42

《讃美歌に耳を傾けるとき、一つの音の意味は、その前後の音によって与えられる。音楽は時間のなかにしかあり得ないのに、わたしたちが常に現在にしか存在し得ないとしたら、どうして音楽を聴くことができるのか。なぜなら、わたしたちの意識が記憶と予想にもとづいているからだ、とアウグスティヌスはいう。》

nobi
2024/10/13 20:42

《ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」のベネディクトゥスに含まれるヴァイオリンの歌は純粋な美であり、純粋な絶望であり、純粋な喜びである。わたしたちは息を潜め、どういうわけかこれが意味の源だと感じつつ、宙を舞う。これこそが時間の源だと感じながら。》

が「ナイス!」と言っています。
nobi
イスラム革命はこんな形で当時のイランの人々に襲いかかったのか、と慄然とする。テヘランの大きな邸にはもちろん疎開先の僻地の村にも革命防衛隊はやってくる。邸にも蔵書にも火が点けられ家族は一人づつ消えていく。死者が亡霊となって生者と会話しいたずらしても不自然でないほど、あまりにも多い身近な死。処刑された数千の政治犯宗教犯もまた…。その絶望的な状況にも多様で視覚的な物語があり稀に笑いがある。ペルシャ神話を産んだ民の想像力がアーザルにも受け継がれているかのよう。彼女の描くホメイニーに驚き立ち上がる父の姿に熱くなる。
ジョージ
2024/10/06 06:52

nobiさんとの共読本ではないようですが、「柘榴のスープ」「九時の月」もイラン革命が主なテーマとなっています。DVや行き過ぎた革命派から逃れた家族、王党派なので国に留まった一族、様々と描写されています。

nobi
2024/10/06 09:25

ジョージさん、ありがとうございます。読んでみたいと思います。 「テヘランでロリータを読む」もイラン革命で追放された作家の本でしたね。思い出しました。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/01/01(3615日経過)
記録初日
2015/01/01(3615日経過)
読んだ本
464冊(1日平均0.13冊)
読んだページ
135003ページ(1日平均37ページ)
感想・レビュー
449件(投稿率96.8%)
本棚
9棚
性別
血液型
O型
職業
技術系
自己紹介

-2015年4月-
読書メーターへの投稿が、本の読み方をこんなに変えるとは思わなかった。255文字という制限も何とも心憎い。
テンションの上がった本は、その制約の中にどうやってエッセンスを収めるか苦労するし、逆に上がらなかった本は、その理由を突き詰めてみる。

-2015年2月-
選ぶ本は、芋づる式+毎日新聞の今週の本棚+松岡正剛の千夜千冊+本屋と図書館に並ぶ本の背表紙から+最近猛然と本を読み始めた息子から差し入れのように渡される本。
こんな訳で、特に、読書メーターに入って以降の読書傾向は無いと言ってもいいような状況です。

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