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2024年2月の読書メーターまとめ

skunk_c
読んだ本
9
読んだページ
2696ページ
感想・レビュー
9
ナイス
901ナイス

2024年2月に読んだ本
9

2024年2月のお気に入り登録
2

  • TS10
  • じらぞう

2024年2月のお気に入られ登録
4

  • K
  • TS10
  • 六点
  • ミカド

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

skunk_c
これは面白い!長年にわたり中国農村に滞在してそのリアルを肌身で感じてきた著者ならではのもので、まさにこうした書を待ち望んでいた。農村が貧しいとか都市との格差とかそういう問題は後景に退いており(しかし注意深く読めばそう言った要素はいくつも見える)、中国農村での人々の生き方、特に家族主義的な人とのつながり方と、その地域性を多くのエピソードとともに紹介する。著者自身が「裏話的」とするように、学術調査論文とは異なる、肌感覚を表に出した著作で、失敗談もあるが、その端々からリアルが顔をのぞかせている。満足の1冊。
skunk_c
2024/02/28 23:35

コラムで中社会の様々な飲酒のあり方を紹介しているが、日本とは異なる中国の人々の生き方が垣間見える。また食についても多く語られるが、食こそ人の「生」の根源と考えれば、むしろ当然のアプローチと言える。10億の農民を県域という「場」につなぎ止めることにより、習近平は政治的安定と貧困の解消(周縁の電気も通わない山村から移住させているとのこと)を目指しているという見立ては面白い。そして近年調査がままならないのは、農村の真実が外に漏れることより、外の情報が農村に入ることを恐れているからとの見立ては鋭い。

が「ナイス!」と言っています。

2024年2月の感想・レビュー一覧
9

skunk_c
これは面白い!長年にわたり中国農村に滞在してそのリアルを肌身で感じてきた著者ならではのもので、まさにこうした書を待ち望んでいた。農村が貧しいとか都市との格差とかそういう問題は後景に退いており(しかし注意深く読めばそう言った要素はいくつも見える)、中国農村での人々の生き方、特に家族主義的な人とのつながり方と、その地域性を多くのエピソードとともに紹介する。著者自身が「裏話的」とするように、学術調査論文とは異なる、肌感覚を表に出した著作で、失敗談もあるが、その端々からリアルが顔をのぞかせている。満足の1冊。
skunk_c
2024/02/28 23:35

コラムで中社会の様々な飲酒のあり方を紹介しているが、日本とは異なる中国の人々の生き方が垣間見える。また食についても多く語られるが、食こそ人の「生」の根源と考えれば、むしろ当然のアプローチと言える。10億の農民を県域という「場」につなぎ止めることにより、習近平は政治的安定と貧困の解消(周縁の電気も通わない山村から移住させているとのこと)を目指しているという見立ては面白い。そして近年調査がままならないのは、農村の真実が外に漏れることより、外の情報が農村に入ることを恐れているからとの見立ては鋭い。

が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
最近『メンフィス・アンリミテッド』を上梓した著者の10年前の作品で、主にマッスル・ショールズのFAMEスタジオを巡るバック・ミュージシャンについて深掘りしたもの。アトランティックといった大手レーベルであっても、1960年代末まではセッションに参加したメンバーについての記録は曖昧で、このサザンソウルの中心地のひとつ(もうひとつはメンフィス)で行われたセッションについても分からないことが多い。著者の執念深いリサーチにより、その輪郭がくっきりしてきた。若干間違いもあり、内容の重複もあるが、黒人音楽愛溢れる1冊。
が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
在日米軍基地の実態を明らかにする本ではなく、基地の「あり方」を論じた本。本書の最も重要な点は、日本にある主要な米軍基地のいくつかが国連軍の基地に指定されていて、別個に地位協定まで作られていることの指摘だろう。そしてその意味合いは極めて深く、現在・将来の基地の「あり方」に大きな影響を与えている。基地問題を論じるときにはこの問題を避けて通ることはできないことが理解できた。鳩山政権崩壊の一因が、彼が普天間基地が国連軍の基地という事実(つまり国外=アメリカには移転できない)を知らなかったからという仮説は興味深い。
skunk_c
2024/02/19 22:12

ただ、ちょっと説明不足を感じたところも。朝鮮戦争勃発時には日本は占領下であり、アメリカの事情で国連軍(厳密には憲章上の正規のものではない)は展開できたことが書かれているが、この国連(United Nations)は連合国、つまり戦勝者そのものだったという指摘が見当たらなかったのだ。しかも当時の日本は当然ながら国連非加盟(というか、加盟できるわけがない)の中で、実体的には押しつけられたに等しい形で米軍基地が国連軍基地としても機能していたということになる。このあたりをもう少し踏み込んで論じてもらいたかった。

が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
インド社会を知るのにカースト(ヴァルナ、ジャーティ)は避けて通れないが、初めにそのあたりをわかりやすくまとめている。しかし著者の関心領域はむしろダリト(不可触民)にあり、ガンディーのハリジャン運動とアンベードカルの運動の対比、ダリトを巡るインドの政治などを概説、そして統計やインタビューを駆使して現代のダリトの実態を立体的に描き出している。差別の現実、そして未だ続く暴力とそれに抗するダリトたちの動き、若者の動向など、現地調査に裏付けられた内容は極めて説得力がある。映画などの紹介もあり多面的な理解ができる。
が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
東京裁判で最年少の死刑判決を受けた軍人で、いろいろと取り沙汰されることの多い人物の評伝。「複雑な人物」と著者も書くように、押しの強さやかなり強硬な発言もあったようだが、一面的な評価に終わらせない著者の努力は成果となっていると思う。子煩悩であったり、玉砕を軍事的見地から否定したりしたことは初耳。この著者の軍人の人選はかなり面白く、いくつも読むことによって特に陸軍の多様性が見えてくる。しかし同時に、陸軍という組織が実は目的を見失っていたのではないかという印象も受けた。日本陸軍には芯の通った哲学が感じられない。
が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
京都、早稲田両大学で行われた著者の講演を加筆修正したもの。従って両者に重複する話は登場するが、その部分はまさに本質を突いているところだ。著者の主張はシンプルで、問題はイスラエルであるということ。その「建国」が植民地の獲得と同じであり、先住民であるパレスチナ人を隔離(アパルトヘイト)し、そしてジェノサイドしているという事実を抜きに、ハマスの暴力を語ることの問題点をこれでもかと書く。監獄ですら囚人を無差別に殺すことはないという指摘は重い。パレスチナ側に瑕疵がないのではなく、イスラエル側の瑕疵が圧倒的なのだ。
が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
ソウル愛溢れる著者の10年ぶりの単書。縦糸にウィリー・ミッチェルというメンフィスでも最も重要なミュージシャン/プロデューサを置きながら、メンフィスおよびその周辺のレーベル、シンガーなどの動きを追う。バックを付けたミュージシャン、特にドラマーについての謎解きが面白い。かなり細かくデータを整理し、音源を聴きこまないと到底書けない内容で、一気に読了した。おそらくこのページ数では書き切れないものもあったはずで、お元気なうちに次作を期待してしまう。本書で取り上げられた音源を改めて聴き直してみようと思った。
Masahiro Sumori
2024/03/11 15:30

データと音源を相当チェックしないと書けない内容という部分は同意です。しかしながら、その結果導き出される「真実」があまりにも真実と呼ぶには疑わしい内容が多く、首を傾げてしまいます。一考察としてならばありだとは思うのですがね。

skunk_c
2024/03/11 16:36

確かに仮説的なものもありますけどね。まあお互いご本人を知っているだけに。読書メーター的にはこのくらいの感想が適当かと思いました。明後日この中から30曲ほどチョイスして回します。いつもの野毛で。

が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
1998年から外務省職員(通訳等)として現地で働いていた著者がガザ問題を分析したもの。ご本人がいた頃はちょうどキャンプディヴィッド会談の頃で、アラファト、オスロ合意時のラビン、そして仲を取り持ったクリントンへの評価が高いが、結局それだけの役者がそろっていたとしても和平実現に至らなかった現実の難しさが語られる。一方現在は民間に移り分析をしていて、最近の中東情勢の見方は面白かった。しかし一方でハマスについての分析が殆ど見当たらず、外野からの観戦のような印象。全体的に「自分語り」が多すぎるのも気になった。
が「ナイス!」と言っています。
skunk_c
著者も「あとがき」で断っているように、いわゆる通史ではなく、どちらかというと『史論』と言うべきもの。ヨーロッパの根源を東ローマ=ビザンツ帝国とキリスト教に求め、そのエネルギーが伏流水のように脈々と流れているとする。この前半の中世の部分は著者の専門でもあり面白かった。しかし後半の近代ヨーロッパに関しては、ほぼ著者のモチーフが語られている感じで、印象としてはかなり東、つまりドイツよりに思えた。確かにビザンツの伝統は東の方が強く影響しているとは思うが、特にフランスにあまり触れられていないのがちょっと不可思議。
skunk_c
2024/02/03 14:51

おそらく著者の中ではきちんとしたイメージができあがっているのだろうが、「おわりに」でブローデルやウォーラーステインが登場するのが何か唐突に感じられる。つまり、著作としてそのあたりのつながりを説明するという点に関して、少なくとも読み手によっては失敗しているのではないだろうか。だからモヤッとした読後感を感じてしまった。こうなると本書で重視されていたピレンヌに進めということか。あと意味不明だったのが「ブルサ(小アジア半島西方の都市・・・引用者注)からアジア側つまりバルカン半島に進出」との記述。逆ではないのか?

skunk_c
2024/02/03 14:58

ちょっと舌っ足らず。「逆ではないのか」は、アジアからヨーロッパへ進出したのではないのかという意味です。ちなみに引用はp.151からの抜粋です。したがってママの引用ではなく、趣旨に沿うように縮めてあります。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/01/01(3376日経過)
記録初日
2015/01/01(3376日経過)
読んだ本
1286冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
348681ページ(1日平均103ページ)
感想・レビュー
1286件(投稿率100.0%)
本棚
25棚
性別
年齢
65歳
職業
教員
現住所
神奈川県
URL/ブログ
http://bluesknk.o.oo7.jp/
自己紹介

ブルースが大好きな高校教員。

仕事柄乱読の気あり。

2015年というきりのいい年なので、
試しにどのくらい本を読むものか、
記録してみようと思い立つ。

2015年は完読書163冊。ほぼ新書。
出先で読むので大きな本はなかなか進まない。
2016年は寝室に読みかけ本の収納棚を確保し、枕元に散らかるのを防止するつもりだけど、効果の方は全く未知数。
片付けが嫌いなもんで。

2016年は完読書137冊。仕事が劇的に増えたため読書時間が減少。
ロフトに読み終わり本収納棚をふたつ据えたけどすでにひとつ満杯。
もう2年は持つかなぁ。

2017年は完読書127冊。夜遊びの日に読めないので遊んでる証拠ですな。

2018年の完読書は129冊。かろうじて月10冊ペースを維持しています。

2019年の完読書は118冊。仕事は劇的に暇になったけど、その分車で旅行に出ることが多くなったため、かえって減少。でも比較的大物を何冊か読めました。

2020年も完読書は118冊。ただしWWⅡ関係の大物(500pクラス数巻)をいくつも読んだので、久々に日平均p数が100を超えました。

2021年は142冊。秋に家のリフォームで仮住まいしていたため、特に11月にペースが落ちてしまいました。

2022年は161冊。累計の1日あたりページ数が100を超えました。年末に書架を若干整理しましたが、まだあふれてます。

2023年は165冊。冊数・ページ数ともに新記録。12月の追い込みが効きました(笑)。

「お気に入り」と「いいね」について

「お気に入り」は感想を拝読して、書かれた方の見解がはっきりしており、それが自分にとって刺激的だったり響いた場合に付けさせていただいています。
自分と主義主張が異なる場合もあるのですが、「本」という媒体を通して、いろいろな方の考え方に触れることができるのは楽しいことです。
およそすべての事柄について考えが同じ人などあり得ないし、またすべての事柄について考えが正反対の人もあり得ないと思っております。
そして、自分の考え方と異なる考えの中に、自分にとっての新しい「気づき」がある場合が多いと思っております。

したがって、「いいね」も上のような基準でつけております。
自分と考えが異なっても、その本がどのような本かイメージできるような感想が好きです。
ひとりの読書家の感想を読んでいると、その人についての像が徐々に結ばれてきますが、その上で新しい感想を読むと、その本の内容が伝わってくるのです。

よろしくお願いします。

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