カズオ・イシグロ作品を読むと、毎回かならず幻惑される。1930年の租界・上海を舞台にはじまる今回の物語は、歴史にリンクしており、リアリティを感じながら読み始めた。しかし読み進めると、作為的かわからないが、絶妙な部分の描写がないことに気づく。あれ？と思って戻ってみると、やはりそうだ。これが続くと、今いる地点に確信が持てず、非常に不安な気持ちになる。そして病みつきになる。本作に登場する3人の孤児たち、クリストファー、ジェニファー、サラはいずれも魅力的な人物で読んでいて楽しかった。本作も翻弄されっぱなしだった。

カズオ・イシグロ作品を読むと、毎回かならず幻惑される。1930年の租界・上海を舞台にはじまる今回の物語は、歴史にリンクしており、リアリティを感じながら読み始めた。しかし読み進めると、作為的かわからないが、絶妙な部分の描写がないことに気づく。あれ？と思って戻ってみると、やはりそうだ。これが続くと、今いる地点に確信が持てず、非常に不安な気持ちになる。そして病みつきになる。本作に登場する3人の孤児たち、クリストファー、ジェニファー、サラはいずれも魅力的な人物で読んでいて楽しかった。本作も翻弄されっぱなしだった。