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2024年3月の読書メーターまとめ

MUNEKAZ
読んだ本
11
読んだページ
3077ページ
感想・レビュー
11
ナイス
167ナイス

2024年3月に読んだ本
11

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

MUNEKAZ
なんともくだけた書名だが、内容は硬派だった。藤原氏が権力を独占するまでの期間といったらそれまでだが、律令国家建設の理想が潰え、中世のグダグダに至るまでの過渡期が平安前期。なので決して「平安」ではない。ジェンダーに関する話題が多く、奈良時代のようなバリキャリの女官がいなくなり、籠の中のお姫様にまで女性の地位が低下したことを指摘。ただその活躍の場が宮廷内のサロンに限定されたおかげで、文化面での洗練度が増し、現代に残る女房文学が残ったとする。あと著者の専門である斎王の話題が多く、ちょっとしつこいと思ったり。
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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

MUNEKAZ

2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:11冊 読んだページ数:3439ページ ナイス数:165ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/577057/summary/monthly/2024/2

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2024年3月の感想・レビュー一覧
11

MUNEKAZ
天皇に対して「列伝」でいいのなんて突っ込みを入れたくなるが、編者がしっかりと前書きでことわりを入れていた。やはり天皇という存在は、即位の後見となる存在が重要だよなぁとつくづく思う。ただ天皇自身も傀儡かというとそんなことは無くて、天皇をミウチに抱えていることが、摂関家や上皇の権力の源な訳だから、天皇に取って代わることはできないのである。この共犯関係というか相互依存が、天皇という存在を生きながらえさせた要因だよなと。あと自身の皇統を繋げるという執念が凄い。何はともあれ続いていることが、一番の勝利なのである。
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MUNEKAZ
藤原氏の摂政・関白就任について、本書は藤原氏の摂政・関白を求めた天皇側のアプローチを重視する。兄弟間の皇位継承が度々起こった9~10世紀において、両統迭立の状況を解消し、自らの直系に皇位を継がせるためには、廟堂の首班にして氏長者を兼ねる大人物の後ろ盾が必要であった。そして、そうした特別な臣下であった藤原氏の人物に与えられた役割が「摂政」と「関白」であり、摂政・関白という役職が先だってあったのではないとする。安定した皇位継承生むのが上皇の儒教的な権威に変わったとき、摂関政治が意味を失うのも納得である。
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MUNEKAZ
ライバルの定子が才気煥発なら、彰子はまさにお姫さまというか、親父のコマみたいな印象しかないのだが、それが根底から覆された。一条帝が亡くなり、未亡人となったのが24歳のとき。でもそれは彰子の人生のまだまだ序盤。87歳で大往生を遂げるまで、天皇家の家長として影響力を持ち続けた。著者は、3代の天皇を母として祖母として家父長的に後見した彰子の姿に、院政の先駆けを見る。また公卿の娘を女房に出仕させたことは、自身の荘厳化だけでなく、貴族女性の序列化にも繋がった。頼通だけでなく、彰子もまた道長の「後継者」であったのだ。
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MUNEKAZ
倉本先生の道長本。『御堂関白記』のほか、藤原実資の『小右記』や藤原行成の『権記』も参照することで、人間・藤原道長が立体的に浮かび上がる。いかにも権力者といった嫌なムーブも目立つが、同時に柔軟に朝議を司り、天皇の行き過ぎに物申せる人物として、実資ら批判的な公卿たちからも認められていたことが面白い。良いも悪いも含めて大物という感じ。増補された部分も興味深く、『源氏物語』執筆後の紫式部が実資と彰子を結ぶ取次役を行っていたとする。この辺は、今年の大河ドラマでも「秋山実資」と面白い絡みが見られるのかもしれない。
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平安貴族は優雅に遊んでたんじゃないよ、一生懸命お仕事していたんだよ系の一冊。貴族の最上層である殿上人ではなく、その下の諸大夫や侍層にフォーカスした内容。軍隊の下士官でないが、組織の屋台骨である彼ら中下層の頑張りで、朝廷の政治が維持されていたのがよくわかる。上司は置き物で現場任せとか、若手ばっかりに激務が回ってくるとか、ゴリゴリの先例主義とか色々と身につまされる人も多いのでは。なんだかんだいって平安貴族も「お役人」だったんだなぁと、妙に納得してしまうところである。
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平安中期に編纂された律令の細則である「延喜式」を紹介した一冊。マニアックな分野、そこそこ古い出版年と少し覚悟して読んだが、平易な文章で書かれており意外と読みやかった。条文の紹介も楽しいが、それが日本史研究においてどう役立てられているかに言及されているのが印象的。実際のところ、民生分野では空文に等しかった法だけど、朝廷儀式の規則として書き伝えられ、幾多の逸文の危機を乗り越えて、現代まで残されてきた意義を考えさせられる。あと室町時代に格式ばって堅苦しいヤツのことを「延喜式」と呼んでいたのは、ちょっとウケる。
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MUNEKAZ
なんともくだけた書名だが、内容は硬派だった。藤原氏が権力を独占するまでの期間といったらそれまでだが、律令国家建設の理想が潰え、中世のグダグダに至るまでの過渡期が平安前期。なので決して「平安」ではない。ジェンダーに関する話題が多く、奈良時代のようなバリキャリの女官がいなくなり、籠の中のお姫様にまで女性の地位が低下したことを指摘。ただその活躍の場が宮廷内のサロンに限定されたおかげで、文化面での洗練度が増し、現代に残る女房文学が残ったとする。あと著者の専門である斎王の話題が多く、ちょっとしつこいと思ったり。
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なんとなくネガティブな印象のあるインディアン・カジノを、インディアンが連邦の補助金から経済的に自立する契機としてポジティブに捉えている。鍵は連邦政府が各部族を「 独立国」と見なして、条約を結び居留地に押し込めたこと。幾多の法廷闘争の経て、州の規制の及ばぬ大規模賭博施設を建設したインディアン部族は、そこで獲得した資金を自らのアイデンティティを維持するため、文化施設や教育関連事業に投資する。前半でしっかりインディアンの苦難の歴史を描くことで、彼らがカジノ事業で得た独立の意味合いがよくわかる。勉強になりました。
MUNEKAZ
2024/03/13 04:14

ただ本書で紹介されているのは、西海岸地域の「成功した」インディアン・カジノ事例が多い。当たり前だが「成功してない」事例や、そもそもカジノ事業が行えない部族も多いので、そちらの視点を重視する研究者には、また違った捉え方があるんだろうなとは思う。

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MUNEKAZ
アメリカのB級映画とかに田舎のガンマニアでかつ陰謀論者みたいなキャラが出てくるが、その背景がなんとなく分かる一冊。本書は現在の州兵に繋がる市民による志願兵の軍隊「ミリシア」の歩みを軸に、アメリカの軍制史とも読める内容。日本では秀吉の刀狩から始まり、長い歴史の中で過去のものにしてきた「人民が武装する権利」が、かの国では今も現役バリバリで生き残っている。アメリカは建国以来250年ほどの若い国かもしれないが、同時に250年前の思想が今も息づく古い国なのである。
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MUNEKAZ
上巻で示された11のネイションが南北戦争を経て、北部と南部の2ブロックに分かれ、政治のみならず文化の面でも分裂傾向を示すダイナミックな見取り図は面白い。大統領選挙で明暗を分けるスイング・ステートの存在などは、本書の議論を通しと理解がしやすいところ。ただこの本って岩波からハードカバーで出ているから真面目そうに見えるだけで、めっちゃ癖強な一冊ですよね。ときどき強引だなぁって部分もあるし、あんまりにも真に受けると出身ネイションだけで政治家を判断する短絡思考になるのでは。実際はもっと色んな要素が絡んでいるよね。
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MUNEKAZ
著者は、アメリカ合衆国を1つの国家ではなく、全く背景の異なる11の国(ネイション)の連合体として見る。そしてこの11のネイションの競合として、アメリカ史を解き明かそうという内容である。各ネイションともかなり濃いキャラクター付けがされており、「あくまで著者の見方ですよ」と注釈を入れながら読む一冊かなと。ただもとからバラバラだったと考えれば、逆に初期のアメリカ合衆国史がすっきりと捉えやすくなるのも確か。アメリカを理解する一助にはなると思う。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/05/22(3255日経過)
記録初日
2015/05/10(3267日経過)
読んだ本
1192冊(1日平均0.36冊)
読んだページ
372588ページ(1日平均114ページ)
感想・レビュー
1167件(投稿率97.9%)
本棚
12棚
性別
現住所
愛知県
自己紹介

歴史関係の本ばかり読んでます。

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