店や客同士の距離感が少し近すぎる気もしたけど、一つひとつの料理が温かく染み入ってくるような、前向きになれる話で良かったです。

尾上与一と一穂ミチの2作、重めのテーマでまさにBLSFの真髄といった感じで特に良かった。ちょっと毛色の違う吉上亮の世界観も好み。

店や客同士の距離感が少し近すぎる気もしたけど、一つひとつの料理が温かく染み入ってくるような、前向きになれる話で良かったです。

表題作、会話劇による本格ミステリー風味な展開が新鮮で、こういうのもいけるのかと驚いた。「浮かびゆく男」は人とのかかわりが温かく、最後のはこれぞキングというストレートなホラーで、3作とも楽しめた。

まだまだ気になる点はあるけど、だいぶ世界観が提示されてスッキリしてきた印象。ヨキさん、ずいぶんかわいくなっちゃって。

悪天候時の山ほど「俺はどうしてこんなことを...」と自問する機会はないよな。前回の槍と違って先輩らがきっちり決断してくれた点も良かった。

単語から次々と連想される散文詩のような構成に、重く冷たい都市の風景や、生きられなかった姉と自分を重ねる物語性が感じられた。

今作、状況は完全に2巻の続きだし、戦闘シーンばかり多くてあまり響かなかったな。前巻のような短編仕立ての方が好みかも。