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2024年3月の読書メーターまとめ

2兵
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感想・レビュー
6
ナイス
72ナイス

2024年3月に読んだ本
6

2024年3月のお気に入られ登録
1

  • ももけん

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

2兵
暇と退屈をテーマに、哲学・倫理学・心理学・生物学・文学・映画などさまざまな観点から論じる、読んでいてたいへん知的興奮を感じさせる本だった。暇と退屈だけで人間という存在について、ここまで語れるとはなあ。結論からいうと結局好奇心が大事だという些か平凡な?答えが述べられているのだが、そこに至るまでのプロセス、論述が多岐に渡っているので、全編がなんとも読み応えのあるものになっていた。自分も本書を読んで、ハイデガーが言うところの退屈の第三形式=第一形式の構造に陥る=奴隷にならないように、退屈の第二形式=退屈と絡み合
2兵
2024/03/03 07:27

また、映画好きなので、名作『ファイト・クラブ』が引用されているのが嬉しかった。映画でいうと、例えば『太陽を盗んだ男』のジュリー演じる主人公が事件を起こした動機は、まさに"退屈"だったからであるし、或いは現在公開中の映画『PERFECT DAYS』の役所広司演じる主人公は、ルーティン化された毎日を送っているにもかかわらず、退屈しているように見えないのは、今作がファンタジーめいた作りになっているというのもあろうが、本書で言及されていたように、どうやら彼は"有閑階級"の出であることを劇中で示唆されているので、

2兵
2024/03/03 07:27

つまり余暇の過ごし方が巧いということなのだろう。

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
6

2兵
刑事で女優で映画監督というのは、本来ならあり得ない設定だが、作者が映画業界に身を置いていたのと、これまで何作も警察小説を執筆してきただけあって、主人公周りの人間関係や小道具などはリアルに設定されており「ありそう」と思わせるストーリーになっている。今回のテーマはLGBTと"自分らしさ"。真行寺シリーズと同様、一見よくある事件と思わせておいて、スケールが拡大していき、最後は背後にとんでもない陰謀が…という筋書き。作者の作品群としては、五十歳の巡査長×天才ハッカー、巫女兼JK兼刑事×イケメン青年刑事と来て、
2兵
2024/03/31 17:33

今回は女優兼映画監督兼刑事×昼行燈のベテラン巡査長と、またも斬新な組み合わせで楽しませてくれた。そして映画『ベートーベン』が観たくなりました。

が「ナイス!」と言っています。
2兵
冒頭の後藤まりこ泥酔&嘔吐事件も、その後の大谷翔平インタビューの顛末も強烈だが、なんといっても最後に尽きる。豪さんが、なぜこれまで病みがちな地下アイドルを何人も救ってきたのか、その原点を知れてよかった。揉め事大好きで、さまざまな事件をとにかく面白がるスタンスから、正直この人は悪い人ではないけれど人の心なんてないんじゃないかと思っていたが、印象が変わりました。聞くことと書くことは戦い。これからも応援し続けます。
が「ナイス!」と言っています。
2兵
ゴダールの遺作『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』を観たので、この際よく知らなかったゴダールについて、もっと勉強したいと思い、本書に挑戦した。ゴダール映画とともに、ゴダール自身の考え方を、ゴダール自身の言葉で語られている、とても貴重な本だと感じた。映画を観ること、作ることという作業において何を是とし、何を非とするか。観客と作り手の関係性、そして有名監督への仮借ない批判など、とにかく名言の嵐である。解説で故青山真治監督が述べておられるように、映画を作りたい者たちにとっては宝の地図となってくれる
ももけん
2024/03/27 17:17

30年?前に泣きながら読んで、その時はスゲーと思ったものでした。いまならもっと楽に読めるのか、それとも軽く放ってしまうのか、わからないけどもトライしたい気はします。

2兵
2024/03/28 10:23

ももけんさん はじめまして。コメントありがとうございます。 30年前に読まれていたのですね! 自分も映画好きで自主映画をやっている人間なので、まさに金科玉条になるかのような本でした。 この先も何度でも読み返したい内容だったと思います。自分だったら、また年月経ってもトライするかもしれません。

が「ナイス!」と言っています。
2兵
徳とはなんなのか。徳は教えられるものか否か。徳はよいものか。若きメノンと老ソクラテスの議論には、短いながらも濃厚なテーマが詰まっている。若さゆえの傲慢さと無知であるがゆえ、自分は物事を知っているし、それを獲得できる資格があると思い込んでいる節のあるメノンと、同じ無知でも、知っているが故に自分は物事のことを何も知らないと謙虚な態度を保つソクラテスの対比。
2兵
2024/03/21 14:14

ソクラテスの疑問の投げ方には意地悪だなと感じられる箇所もあるが、そうやって問うて相手に考えさせ、答えを引き出すことで成長させるねらいがあると考えると、良き教師(つまり、徳がある!)であると思える。

が「ナイス!」と言っています。
2兵
著者は日本のハイデガー研究者の中では第一人者だというだけあって、本書は非常にわかりやすかった。同時に、ハイデガーの思想を西洋哲学史の流れの中に寄せて語ってくれていることで、ハイデガーの思想が誰から影響を受け、そして誰に影響を与えたのかも知ることができた。ハイデガーは特にアリストテレス、ショーペンハウアー、そしてニーチェから影響を受け、その「現存在が存在を規定する」という思想は、存在了解から存在企投に繋がり、サルトルら実存主義へと受け継がれていったという。
2兵
2024/03/09 21:32

本質存在はプラトンがいうところのイデア、事実存在はアリストテレスがいうところのエネルゲイアであり、ハイデガーはこういった区別こそが、いわゆる形而上学を成立させたと述べているという。これらの区別は、ライプニッツ、カント、ショーペンハウアーを経てニーチェに受け継がれ、その思想たる<力への意志>は"存在者がなんであるか"つまり本質存在、一方<等しきものの永劫回帰>は"存在者はいかにあらねばならないか"つまり事実存在として表示されようとしていたが、その区別は最終的に消滅する…と述べている。

2兵
2024/03/09 21:32

著者が言う西洋哲学におけるこの見方、捉え方は非常にわかりやすいものだったので、今後も西洋哲学を学ぶ上での一つの基準にしたいと思った。

が「ナイス!」と言っています。
2兵
暇と退屈をテーマに、哲学・倫理学・心理学・生物学・文学・映画などさまざまな観点から論じる、読んでいてたいへん知的興奮を感じさせる本だった。暇と退屈だけで人間という存在について、ここまで語れるとはなあ。結論からいうと結局好奇心が大事だという些か平凡な?答えが述べられているのだが、そこに至るまでのプロセス、論述が多岐に渡っているので、全編がなんとも読み応えのあるものになっていた。自分も本書を読んで、ハイデガーが言うところの退屈の第三形式=第一形式の構造に陥る=奴隷にならないように、退屈の第二形式=退屈と絡み合
2兵
2024/03/03 07:27

また、映画好きなので、名作『ファイト・クラブ』が引用されているのが嬉しかった。映画でいうと、例えば『太陽を盗んだ男』のジュリー演じる主人公が事件を起こした動機は、まさに"退屈"だったからであるし、或いは現在公開中の映画『PERFECT DAYS』の役所広司演じる主人公は、ルーティン化された毎日を送っているにもかかわらず、退屈しているように見えないのは、今作がファンタジーめいた作りになっているというのもあろうが、本書で言及されていたように、どうやら彼は"有閑階級"の出であることを劇中で示唆されているので、

2兵
2024/03/03 07:27

つまり余暇の過ごし方が巧いということなのだろう。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/11/14(3081日経過)
記録初日
2015/11/04(3091日経過)
読んだ本
720冊(1日平均0.23冊)
読んだページ
256512ページ(1日平均82ページ)
感想・レビュー
702件(投稿率97.5%)
本棚
7棚
性別
外部サイト
自己紹介

1987年生まれの男。小説読み。日本の小説よりも、翻訳ものの方が好きだったりします。最近は哲学なんかも好きです。よろしくお願いします。

好きな本:『指輪物語』『仮面の告白』『羊をめぐる冒険』『長いお別れ』『不夜城』『ダックスフントのワープ』『一九八四年』『宇宙の戦士』

好きなジャンル:ミステリー(特にハードボイルド、ノワール)、SF、冒険小説、哲学、歴史

好きな作家:村上春樹、三島由紀夫、筒井康隆、中島らも、大槻ケンヂ、馳星周、花村萬月、藤原伊織、福井晴敏、伊藤計劃、小川洋子、川上弘美、榎本憲男、アーネスト・ヘミングウェイ、レイモンド・チャンドラー、カート・ヴォネガット、アンドリュー・ヴァクス、ジェイムズ・エルロイ

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