だから問題は、フランクの凄惨な事件がどうのこうのということではなく、それがいかに凄惨かを描く表現の問題であり、それを通して浮き彫りにされる人びとの呆けた姿であり、ケンジに迫られる認識の変容なのであろう。浮ついているように見えながらなんかぼんやりした気分に対抗するために、いかに内臓的なむかつきや、重苦しい不条理感を持続させるかに賭けた、その意味で文学の側からする警世の書なのかなと思った。
とぼとぼと読む。言葉の彩りに魅せられつつ。言葉の気紛れを追いまわしつつ。
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だから問題は、フランクの凄惨な事件がどうのこうのということではなく、それがいかに凄惨かを描く表現の問題であり、それを通して浮き彫りにされる人びとの呆けた姿であり、ケンジに迫られる認識の変容なのであろう。浮ついているように見えながらなんかぼんやりした気分に対抗するために、いかに内臓的なむかつきや、重苦しい不条理感を持続させるかに賭けた、その意味で文学の側からする警世の書なのかなと思った。