オートフィクションによる短編集。全てに登場する小川。嘘と虚実、虚飾が入り混じり、詐欺師、偽物など、人間の基盤を危うくする要素で散りばめられている。そういった事もあってかなかなか入り込めず、読み終わるのに一週間かかった。「君のクイズ」を読んだ時も思ったけれど、この内容で一冊の本として書けるのは凄い。本屋大賞は、深く分かりあう、分かり合えなくても分かってあげたい、という感じの作品が多いが、この小説のような作品も選ばれるのだな、と思った。

１０代の少女だからこそ、出来た復讐劇だった。巻き込まれたような形になってしまったもう一人の少女が少し気の毒。事件の状況から見て、よく殺人での上の心中とならなかったな、と思う。２９年前で、科学捜査が今ほど綿密でなかったからそれで済んだのだと思う。若くして心中事件で亡くなった異母姉の死の真相、というが、残した暗号を見る限り、母親は真相を全て知っていたはず。異母妹に最後の復讐をさせようとしたところに相当な執念を感じる。それを逃れて、今の幸せを見つけた異母妹に安堵した。

オートフィクションによる短編集。全てに登場する小川。嘘と虚実、虚飾が入り混じり、詐欺師、偽物など、人間の基盤を危うくする要素で散りばめられている。そういった事もあってかなかなか入り込めず、読み終わるのに一週間かかった。「君のクイズ」を読んだ時も思ったけれど、この内容で一冊の本として書けるのは凄い。本屋大賞は、深く分かりあう、分かり合えなくても分かってあげたい、という感じの作品が多いが、この小説のような作品も選ばれるのだな、と思った。