■下巻P673_訳者解説より「作家というものは、なによりもまず自分自身のために書く強烈なエゴティストである。なまじ世道人心や良俗教育のために書かれた文学に碌なものがなく、ひたすら自我のカタルシスのために書かれた作品こそが、かえって人間を高め、浄める文学であるというのは、文学のひとつの皮肉である。モームは、なによりもまず彼自身のためにこの作品を書いた。彼自身の解脱のために、古いモームから、新しいモームに発展するために、他人はともあれ、彼はどうしてもこの作品を書かなければならなかった。」
2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:3冊 読んだページ数:1262ページ ナイス数:111ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/690940/summary/monthly/2024/2
■最小集団パラダイム「グランファルーン」:P193_イギリスの社会心理学者ヘンリー・タジフェルによって確立。まず最も些細で取るに足りない基準によって初対面の人々を二つの集団に分ける。この集団はグランファルーン(誇りを感じさせるが意味のない人間同士の連帯)と呼ばれる。こうして分けられた人々は連帯している者が利益を得られる選択肢を好むようになる。 P283_敵(=外集団)を作ることは二つの面で好都合である。①信者たちに集団に属していることを快適に感じさせること②集団から離れることを恐れる気持ちを強めること
■著者らの想い:P301_ナチの宣伝を研究する人は誰でも、憤りと悲しみを感じる。本書の著者である我々も、第二次世界大戦で友人や親類を戦闘やホロコーストで失っている。ヨゼフ・ゲッベルスは「人々を鎖に繋ぐほど簡単なことはない。私が派手な宣伝ポスターを掲げただけで、彼らはそれに飛びついてきた」とうそぶいた。彼の犠牲となった人々のためにも、宣伝の方法について、できる限りのことを学んでゲッベルスの誤りを証明することは、我々に課せられた責務なのである。
■プレパフォーマンスルーティンがもたらす4つの効果:①身体が「今からこのプレーをするのだな」と理解してそのための準備に入る。心拍数が下がる/②外的障害・内的障害の排除(→外的障害:風、天候、野次、相手のプレーなどのこと。内的障害:「失敗したらどうしよう」「この角度は苦手だな」等の不安、心配)/③プレーを修正しやすい(→ミスをしてもリセットしやすい。引きずらない)/④ストレス軽減(→予想を超える事態が発生しても選手は漠然と「これをしておけば大丈夫」と思うことができる)
■プレ・パフォーマンスルーティンを行う条件:①止まっている対象物にアプローチすること/②制限時間がなく、自分で時間をコントロールできること。(→イチローの場合、相手ピッチャーがいるので当てはまらない(広義ではルーティンではある)ボールと対峙する準備という意味では効果があるのだと思う。どんな状況であれ、それをすることで自分のペースで打席に臨むことが出来るのであれば、イチローのメンタルの安定につながっているのだと思う。 (→むしろピッチャーの方がルーティンを持っていると効果がある
■占星師のお仕事:P199_子どもが生まれると両親のどちらかがただちに生まれた年月日、時刻、その子の生まれあわせた星座、惑星を記録しておく。こうして誰でも自分の生年月日を知っている。旅に出たいと思う時には占星師のところへ行って自分の生まれた年まわりについて話す。すると占星師は旅に出てもよいかどうか話してくれる。その結果、旅行の計画を取りやめるようになることもある。同じように結婚の場合にもまず占星師が花嫁と花婿の生まれの星が、互いに相性かどうか調べる。星が合うと結婚式をとりおこなうが、さもないと破談になる。
■マーバル地方の文化:P250_子どもは生まれながらにして黒いが、子どもが生まれた日から一週一度、その子の皮膚にごま油を塗る。こうしてより黒さを増していく。この地方では最も黒ければ最も偉く、黒さの少ないものの上に立てるとされる。逆に白いと邪悪とか悪魔とか言われる。この地方では神や偶像は黒く塗られるが、悪魔は白く塗られる。
■下巻P35_ヘイウォード『僕は本を読む時、時々、僕にとってある意味を持ったような一節、おそらくは、ほんの一句だろうね。それにぶつかる。これは、いわば僕の血肉になるのだ。僕は書物の中から僕の役に立つものだけを抜き取る。だから幾度読んだところでそれ以上は何も出て来はしないのだ。つまり人間ってものは、閉じた蕾みたいなもんなんだねえ。読んだり、したりすることで、それがどうなる、というようなことは全然ない。ただ時に、その人にとってある特別な意味をもっているようなものがある。それが花弁を開かせる』
■下巻P673_訳者解説より「作家というものは、なによりもまず自分自身のために書く強烈なエゴティストである。なまじ世道人心や良俗教育のために書かれた文学に碌なものがなく、ひたすら自我のカタルシスのために書かれた作品こそが、かえって人間を高め、浄める文学であるというのは、文学のひとつの皮肉である。モームは、なによりもまず彼自身のためにこの作品を書いた。彼自身の解脱のために、古いモームから、新しいモームに発展するために、他人はともあれ、彼はどうしてもこの作品を書かなければならなかった。」
吃音×不登校×野球が題材の漫画
【2番セカンド】を描いています。
https://www.comicnettai.com/book/2
ジャンルを限らずたくさん読んで引き出しを増やしたいです。
ハッとした視点、感銘を受けた文章、読んで思いついたことをコメントで追記します。漫画は教養系のみカウント。
■→本文からの引用
▼→所感
◼️◼️◼️◼️ 以下 備忘録 ◼️◼️◼️◼️
・陰徳陽報、縁の下の力持ち。急がば回れ、大器晩成。
・陰口<陽口(ひなたぐち)。人脈<ご縁。損得<好奇心。
・人間は、基本的には自然体が一番いい。しかし『そうでありたい』という願いが成熟へと導く。
・一元論で考えない。
・二元論、二分法でもなるべく考えない。
・中庸。中立。ニュートラルポジション。グラデーション。陰陽。
・偏重回避。雑食。
・盾の両面新旧東西南北360度から見よ。
・無色透明どんな色にも染まるし染まらない。
・夢をかなえるゾウ『ひとつの仕事しか知らないのは、醤油ラーメンの味しか知らないのと同じ。世の中にはとんこつラーメンや味噌ラーメンもあるんやで!醤油とんこつ、いうのもあるんや!』
・イチロー『遠回りすることでしか、本当の自分には出会えないと思います。どこからが成功でそうじゃないのかってのはわからない。だから成功という言葉が僕は嫌い』
・人は易きに流れ学問に王道はなく、捨てる神があれば拾う神があり、遠回りは一周回って近道になる。
・ジョージオーウェル『自由というのは何を置いても、みんなの聞きたくないことを語る権利ということなのだ。自由を恐れているのはリベラル派(自由主義)なのであり、知性に泥を投げつけているのは知識人だ』
・商売と屏風は広げすぎると倒れるといいます。枝を伸ばしすぎると幹が折れる。
・中村哲医師『お金があれば幸せになれるという迷信、武力で平和は守れるという迷信に惑わされないでほしい。本当に人間にとって大切なものは何なのか、大切でないものは何なのかを考えてほしい』
◼️◼️◼️◼️ 特に好きな本&学んだこと ◼️◼️◼️◼️
・思いがけず利他
⇒「利他」は偶然に、自己を超えた「他力」の働きによって、オートマ的に、受け手が起動させるもの
・普通がいいという病
⇒『こうあるべき』は身を滅ぼす
・偶然のチカラ
⇒なるようになる。そういう人々につねに偶然は微笑みかける。
・旅のラゴス
⇒旅をするように生きる。旅をするように読書する。
・モモ
⇒効率的なことは、一周まわって非効率的。
・木のいのち木のこころ
⇒癖の強さは生命の強さ。
・コンビニ人間
⇒普通って何??
・アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
⇒ヒトは、無生物をも思い遣り、可愛がることができる。
・ファウスト
⇒明日を見つめ、細やかに、忙しなく日々を送るなかにこそ美しさがある。
・サピエンス全史
⇒実体のないもの、虚構に、人生を振り回されないようにしよう。
・嫌われる勇気
⇒『いま、ここ』を生きる
❌可哀想なわたし
⭕自分はこの共同体に何を貢献できるか?
◼️◼️◼️◼️ 節目の本 ◼️◼️◼️◼️
800冊目:思いがけず利他
777冊目:点・線・面
700冊目:ブッダ(手塚治虫)
600冊目:かがみの弧城
500冊目:影響力の武器(第二版)
400冊目:創作の極意と掟
300冊目:一九八四年
200冊目:最後の喫煙者
100冊目:依存症ビジネス
1冊目:アルジャーノンに花束を
◼️◼️◼️◼️ 不確実性 / 確実性 ◼️◼️◼️◼️
陰―――――――――――――――――陽
累積戦略―――――――――――順次戦略
習慣―――――――――――――イメージ
手当たり次第―――――――――目標集中
目に見えない――――――――目に見える
自然―――――――――――――――科学
非正規戦――――――――――――正規戦
心――――――――――――――――行動
東洋式―――――――――――――西洋式
予想できない――――――――予想できる
ソフト―――――――――――――ハード
複雑―――――――――――――シンプル
右脳―――――――――――――――左脳
非線形(ノンリニア)―――――線形(リニア)
※「世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう 奥山真司」より
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■下巻P35_ヘイウォード『僕は本を読む時、時々、僕にとってある意味を持ったような一節、おそらくは、ほんの一句だろうね。それにぶつかる。これは、いわば僕の血肉になるのだ。僕は書物の中から僕の役に立つものだけを抜き取る。だから幾度読んだところでそれ以上は何も出て来はしないのだ。つまり人間ってものは、閉じた蕾みたいなもんなんだねえ。読んだり、したりすることで、それがどうなる、というようなことは全然ない。ただ時に、その人にとってある特別な意味をもっているようなものがある。それが花弁を開かせる』