☆☆☆ 強行採決された「七十歳死亡法案」。施行まであと2年の中、姑の介護に追われる宝田東洋子を中心とした家族の物語。上梓されてから12年、話題作のためタイトルは幾度も目にしてきたけど特に興味もなく手に取る事はなかったのに、この度何故か読んでみようかと思ったのは、私にも少しずつ介護が近づいてきた、、のかもしれません(苦笑)。登場人物たちは極端にワガママであったとしても描写されている状況は何とも悲惨で、これから先を否応なしに考えさせられました。

☆☆☆ 3ヶ月で結婚出来ると評判の結婚相談所を経営する主人公の岸本と従業員の希。改題前のタイトル「私が結婚をしない本当の理由」の理由が重すぎて衝撃で…。何も考えず時間だけが過ぎた私自身との違いを考えさせられました。恋愛もののジャンルに入るのでしょうが、色んな苦悩を抱えた登場人物たちに思いを馳せるほど、人生観や価値観を少し変えてしまう、少し心が苦しくなる作品でした。

☆☆☆ 高給取りの夫とかわいい2人の娘を持つ美人でセレブの主婦玲花。高校時代の秘密と、教師辻沢を廻る、現在と過去を行ったり来たりで進むミステリー。タイトルの悪い女とは結局誰の事なのか。先行イメージで玲花を悪い女に仕立て上げながら読み進めていきましたがミスリードのようにも思えるしで、答えは出ないままです。モヤモヤが残る読了感ですが、水木くんとの関係がわかった瞬間は少しウルっと来ました。初めての作家さんですが、他の作品も読んでみたいです。

☆☆☆ 強行採決された「七十歳死亡法案」。施行まであと2年の中、姑の介護に追われる宝田東洋子を中心とした家族の物語。上梓されてから12年、話題作のためタイトルは幾度も目にしてきたけど特に興味もなく手に取る事はなかったのに、この度何故か読んでみようかと思ったのは、私にも少しずつ介護が近づいてきた、、のかもしれません(苦笑)。登場人物たちは極端にワガママであったとしても描写されている状況は何とも悲惨で、これから先を否応なしに考えさせられました。

☆☆☆☆ 最後までとても興味深く読みました。生命保険会社に新卒で入社する三上杏・通称みかんの入社のきっかけから退職までの約3年間の実話物語。お仕事小説…というより業界の裏側暴露本、とでもいうのかな。色んな実状、知ってはいたけどやっぱり衝撃的でした。それでも次々と入社する人がいたり長年勤めてる人がいたり、廃れない業界なのが不思議。保険のシステム自体は必要不可欠なものだからかな。時々出てくる性的マイノ リティについての描写は正直辟易で、このテーマは要らなかったかなぁと個人的には思いました。

☆☆☆ 大手弁護士事務所を1年で辞め、仕事がないため悪党の弁護専門の弁護士となる決意をした鵠沼とアシスタント弁護士の鳥飼の物語。最近国内で何となく聞いた事があるような出来事がモチーフのストーリーでした。全体的にポップな感じなので物足りなくもありますが、その分気軽に読める一冊でした。

☆ 終始不思議な感覚の、正直よく分からないお話しでした。1989年から92年まで催された、参加者がいつの間にか消えてしまう、という(意味の分からない)ツアーを元に繋がる連作短編集。最後のエピソードで、全てが解決するのかと思いましたが結局分からず、なんか、すごい疲労感が残った読了感です。

☆☆☆ ある日突然、外資系の同業他社に買収される老舗国内メーカー花森石鹸に勤める総務部所属の忠臣と、同僚たちの奮闘物語。買収される側の虚しさや悔しさが伝わってきて切なくなりました。営業部や開発部などのお金を稼ぐ部門ではないバックオフィス系は不安定だという事実もツラかったです。でも、見てくれてる人はちゃんといるという事も描かれていて、救われた気がします。どこかで読んだ事があるような気もするありふれたお仕事小説にも感じられたけど、今社会が抱えている問題もしっかりと描かれていたりでとても面白かったです。