冒頭の「〈西洋の星〉盗難事件」で語られている"ダンサーのヴァレリー・シンクレアの事件"は語られざる事件ではなく1950年代まで単行本に収録されなかった「クラブのキング」のこと。

冒頭の「〈西洋の星〉盗難事件」で語られている"ダンサーのヴァレリー・シンクレアの事件"は語られざる事件ではなく1950年代まで単行本に収録されなかった「クラブのキング」のこと。

1951年と1961年に出版されたクリスティーの短編集から編集された作品。二作品を除いて1920年代から30年代に発表されたポアロもの。なので語り手もヘイスティングスである作品が大半をしめ『ポアロ登場』の兄弟作といった様相。

P48"だが、彼女たちの各々が描く軌跡をみるとき、総じて庶民出のトップレディーがすこやかに上昇を続けることができた時代は、奇しくも王朝が隆盛に向かう時期と一致する。これに対して哀れな最期を遂げた武帝の衛皇后をターニングポイントとして、皇后の悲劇あるいは破滅が続き、これと軸を一にするかのように、王朝じたいも活力を失い、下降の一途をたどった。こうした事実は、漢がいかに深く女性原理に浸透された王朝であるか、逆証明するものだともいえよう。"

「生駒の伝説のコレクター」安倍善重さんの話が面白い。果たしてホラ吹きだったのか。ホラ吹きだとしたら目録まで作ってるのは凝り性だなと。当初は話を真にうけなかった蓮實重彦も実際に会うと「あの人は持ってますね」と確信してしまう。たとえホラ吹きだとしてもそのくらいの魅力に満ちたひとだったのだろうか。

アンドロイドや知性を持った植物にも融資する新星金融。そこで取立を担当しているぼくと上司のユースフが巻き込まれる数々の災難。アンドロイドが人類を超える知性を持たないよう制限する新三原則が面白い。

バークリーはデビュー作からしてバークリー印だった。