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2024年3月の読書メーターまとめ

trazom
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感想・レビュー
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2386ナイス

2024年3月に読んだ本
18

2024年3月のお気に入り登録
8

  • テリー
  • 白ねこ師匠
  • あなやまや
  • 特盛
  • みを
  • hyotan
  • 土曜の朝
  • 小林涼太

2024年3月のお気に入られ登録
9

  • テリー
  • 白ねこ師匠
  • あなやまや
  • 特盛
  • みを
  • hyotan
  • 土曜の朝
  • ネギっ子gen
  • 小林涼太

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

trazom
医学部進学を強要する母からの教育虐待を受け、9浪を経て看護学科に入学した娘が、遂に母親を殺害した事件。本書は、加害者(娘)から聴取した内容をもとに事実(あくまで娘が語る事実)を客観的に記述する姿勢が貫かれ、著者の不用意なコメントや憶測を排除するルポライターの矜持を感じる。本事件が、特異な家族の特殊な出来事か、一般化できる社会現象の発露か、私には判断できない。ただ、世の中から「頑張ったら、成績は上がる」という誤った信仰がなくなることを願う。「伸びないのは、頑張らなかったから」と責める悲劇が生まれないために。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
18

trazom
日本テレビ取締役を経て札幌テレビ社長・会長を務められた著者が、テレビの抱える課題を的確に指摘している。デジタル化、新興メディアの興隆(SNSや動画配信)、通信と放送の融合など、業界を襲う荒波の大きさを実感する。テレビは絶滅危惧的な状況にあると感じるのだが、本書の記述を読むと、業界の秩序、系列局の救済、総務省との関係などを優先し、危機感に乏しくみえて仕方ない。また、著者は「テレビにはコンテンツと制作力がある」と楽観的に語るが、民放が垂れ流すバラエティーやワイドショー等に、そんな価値があるとはとても思えない。
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trazom
184首の名歌とともに、出家、桜、旅、信仰、知友、信仰など、西行の人生と歌とを辿ることのできる味わい深い一冊である。西行というと無常観が強調されるが、むしろ、前向きに生きる一人の人間の姿が見えてくる。秀歌を詠もうという野心ではなく、旅日記や手紙のようにしてスケッチ風に詠まれた歌が多いことにも人間的なものを感じる。出家の事情、待賢門院璋子との関係、江口遊女との応酬などの有名なエピソードに対する見解や、西行と定家を対立的に捉えた小林秀雄さんの西行論に対する論評など、寺澤先生の思いが伝わってくるいい本だと思う。
かくかく鹿々
2024/03/28 22:03

これ、読もうと思って、買ってあるんですよ。 楽しみです。

trazom
2024/03/28 22:19

掲載されている184首を、ひとつひとつ声に出して読んでいると、何か、とても楽しい気持ちになってきました。歌には全く知識のない私でも、こんな気持ちになるのは、西行の歌の透明さであり、寺澤先生の優しい解説の賜物だと思います。

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trazom
アーレント氏と同様に、アイヒマン裁判の傍聴記を記した日本人が二人いる。犬養道子さんと村松剛さん。特に「私を含むすべての「普通の」人の中に、きっかけさえ与えられれば、彼と大差ない存在となり得るどす黒い悪魔的な可能性が潜んでいる」と踏み込んだ犬養氏の文章は衝撃的である。「悪の陳腐さ」を指摘しつつも一般化することを戒めたアーレント氏との対比は明らかだが、多くの日本人は、犬養さんの感性に共感するだろう。しかし本書は、それ以上考察を深めることなく尻切れトンボに終わる。ここからが本当の「アイヒマンと日本人」なのに…。
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trazom
著者は元朝日新聞の台北支局長。分かりやすい解説の中に、ハッとする見解に出会う:(国民党は親中、民進党は反中と思い込んでいたが)国民党は反共産党だが反中ではなく、民進党は反中国だが反共ではない。中国共産党にとって台湾侵攻は、自国民を中華民国政府から救い出す「内戦」。台湾と朝鮮半島における日本占領時代の評価の違いについての見立ても面白い。台湾有事などと勇ましいコメントが飛び交う昨今だが、そもそも、三次にわたる台湾海峡危機の歴史や、本書に記されたような「台湾の本音」を認識した上での、冷静な態度が必要だと感じる。
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trazom
毎日新聞に掲載された養老先生の書評集。先生は、取り上げる本の選定基準を「現実あるいは事実と、それに関する考察の釣り合い」だと言う。心と身体/自然と環境/歴史と社会の3つの部門に分けて55本の書評が収録されているが、私との共読はたった7冊。昆虫を含む生物学・医学系の書籍が2/3を占めるから、自分とは対象が重ならないのだろう。養老先生の書評は、内容のエッセンスを巧みに紹介した上で、評者のコメントをズバリというもので、正に「事実と考察の釣り合い」が絶妙である。いい書評を読むと、読みたい本が増えるから困る…。
が「ナイス!」と言っています。
trazom
医学部進学を強要する母からの教育虐待を受け、9浪を経て看護学科に入学した娘が、遂に母親を殺害した事件。本書は、加害者(娘)から聴取した内容をもとに事実(あくまで娘が語る事実)を客観的に記述する姿勢が貫かれ、著者の不用意なコメントや憶測を排除するルポライターの矜持を感じる。本事件が、特異な家族の特殊な出来事か、一般化できる社会現象の発露か、私には判断できない。ただ、世の中から「頑張ったら、成績は上がる」という誤った信仰がなくなることを願う。「伸びないのは、頑張らなかったから」と責める悲劇が生まれないために。
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trazom
著者はマイクロソフトのシニアエンジニア。表題から、エンジニアの普遍的な議論かと期待したが、主にシステム開発者の思考法を紹介したものである。ウォーターフォール型からアジャイル開発型へという流れも、物理系のエンジニアリングではそう簡単ではない。それにしても私自身のエンジニア人生を否定されるような言葉が並ぶ:怠惰であれ、早く失敗せよ、マルチタスクは意味なし、頭の中のみで整理(ノートやパソコンは使わない)、検討よりも検証、情報量を減らすコミュニケーション…。お前は時代遅れなんだとダメ出しされているようで、寂しい。
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trazom
藤田さんを聴いたのは二度だけだが、本書を読み、この人の音楽的な教養の深さと、人間的な謙虚さがよく分かった。野島稔先生の弟子でありながら、師匠と正反対の奏法が不思議でならなかったが、それは型を押し付けない野島先生の懐の深さだったことを知る。これだけ幅広いレパートリーを勉強し、シャイー先生をはじめとする世界中の音楽家から認められた存在なのに、日本では、明るくきれいな音のピアニストいうレッテル張りで、5回ものモーツァルト・ツィクルスのツアー。この国の商業主義が豊かな才能を枠に嵌めないでくれと、祈るばかりである。
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trazom
「物理の散歩道」で科学に対する王道の姿勢を読んだ後で、こんな本を手にした自分が恥ずかしい。疑似科学とあるが、ここにあるのは科学でも何でもなく、商業主義に毒された広告表示のトリックでしかない。ブルーライトカット、水素水、電磁波有害説、牛乳有害説、磁気治療器、マイナスイオン、GABAなど、次から次へと例が示される。再現性も客観性もないデータを信じることがバカげていると思うが、科学と疑似科学の線引きは難しいのだと著者は言う。「「髪の毛○本未満をハゲ」と定義できないのと同じように」という変な比喩に笑ってしまった。
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trazom
高校生の頃「物理の散歩道」が大好きだった。本書は、その全五巻から精選した岩波文庫。ハウツーとかノウハウとか、howばかりの世相の中で、whyを突き詰める大切さ、観察する大切さ、意外な発想をする精神、論理を貫く精神を教えてくれる。更に、異見を戦わせる議論の大切さも。「洋服は二着交替に着た方がいいか」とか「なぜ霧吹きで霧ができるか」という文章は覚えている。それにしても、今読むと、解説が案外難しいことに驚く。高校生の自分がどこまで理解していたか心許ないが、精一杯背伸びして、自然科学に憧れた青春の思い出が蘇る。
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trazom
崇拝する漱石先生と友人である龍之介を語った内田百閒さんの文章を集めたエッセイ集。漱石先生に対する百閒さんの姿勢は、正に、尊崇・畏敬・敬慕などの絶対的なもの。木曜会に集う弟子たちに、これほどまでに慕われた漱石先生の威厳を実感する。漱石との出会い、漱石への借金の無心、臨終の日の出来事など、同じ話が何度も出てくるが、百閒さんは、何度も何度も繰り返し語るうちに、古典落語のように話が洗練されていったのだろう。漱石・百閒・龍之介のいずれとも親しかった野上彌生子さんの日記が巻末に収録されているが、辛辣な言葉が面白い。
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trazom
歴史的な車種が数多く掲載され、自動車好きには興味深い一冊なのだろう。自動車企業の栄枯盛衰・離合集散も紹介されるが、産業史としての分析という意味では、少し皮相的な内容ではある。省エネ・地球環境・カーレース・自動運転など様々な技術革新の歴史だが、一方で、交通事故でこれだけ多くの悲劇を生み続けていることを思うと、「人を傷つけない」ことにこそ経営資源が集中投入されるべきではなかったのか。T型フォードから120年間ずっと殺人装置を供給しながら、「自動車産業は国家なり」と誇りに満ちて語られる歴史が、空しく悲しい。
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trazom
素晴らしい!!。ロヴェッリ博士の本は何冊も読んできたが、エッセイを掲載した本書は、読みやすく、何より著者の思いがストレートに伝わってくる。古今の哲学者や科学者を論じながら、「科学に哲学は必要か」という論考が鋭い。更に、標準モデルを「輝くような単純さがない奇妙な理論」とした上で、「物理理論をめぐる私たちの審美的な判断を見直すべきなのだ」という謙虚な問いかけが感動的。科学を中心として、哲学、人類学、政治などに関する論考はとても誠実で、教養の深さと人間性の温かさに触れて、著者に対する全人格的な尊敬を禁じ得ない。
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trazom
キリスト教信仰の要諦である「贖罪信仰」の来歴を探る論考である。贖罪とは、誰の、何の罪かと、大貫先生は問う。原始エルサレム教会での罪はモーセ律法違反であったが、パウロの「十字架の神学」を通じて、イエスの死の救済論的・贖罪論的解釈がなされ、罪の定義がキリスト教道徳への違反に変わり、贖罪信仰が教理化されたプロセスが詳らかにされる。だから今も、東方教会では(信仰義認とともに)贖罪信仰は見られないと言う。更に、贖罪信仰が「他者の犠牲に甘んじる無意識のエゴイズム」という存在論的な問いかけに移行するという指摘も鋭い。
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trazom
「近代の疫病」である孤独は、19世紀までは存在しなかったと著者は言う。「個人」というイデオロギーの台頭によって生まれ、新自由主義で拡大し、ソーシャルメディアの出現で深刻化したと。孤独は社会・経済・政治と結びつけて認識され、英国では孤独担当大臣が登場するまでに至る。社会的弱者が強いられる孤独への対応の必要性については共感するが、私は、孤独を、本来、人間にとって非常に大切な精神として、ポジティブに捉えたい思いがある。「いつから孤独になったのか」より、「いつから孤独を辛いことと思うようになったのか」と問いたい。
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trazom
岩波書店さんからの全集刊行など、最近スピノザが注目されているように思える。國分功一郎先生は、個人・社会・自由・民主主義等の限界に直面する現代社会を先取りする思想として、踏み込んだスピノザ解釈を試みておられるが、本書は、生涯と著作をバランスよく紹介する概説書の位置づけ。強いて言えば、「神学・政治論」を「エチカ」の裏の主著として詳しく紹介しているのが特徴かもしれない。スピノザは、どうしてもホッブス・デカルト・ライプニッツとの対比で語られることが多いが、私は、この哲学者を「独創的な思考法の主」として吟味したい。
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trazom
週刊新潮に連載コラムのセレクション版。週刊誌の連載というと埋め草のような駄文が多い中で、流石に片山先生、歴史が予言しているかのような、成程というヒントが散りばめられている:なぜヒトラーはスイスを攻めなかったか。プーチンはネフスキー、習近平はパドゥというタタールの軛。ロシアにとってのウクライナはアメリカのカリブ海(キューバ危機)。地球祖国主義はトロツキー的。朝鮮半島をめぐる日本の外交史。大川周明の「インド人よ来たれ」など。コラムの最後の一文が、落語のオチのような本音で締め括られるのも魅力で、面白く読める。
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trazom
「かわいい江戸絵画」でお馴染みの金子先生が、日本の動物絵画史を網羅した充実の一冊。光琳・応挙・蘆雪・国芳らの江戸絵画において、かわいい動物表現が頂点を迎えるが、その背景には、仏教美術、奇跡の鳥獣戯画、牧谿や雪村周継の禅画の表現、狩野派の立派な造形、図鑑としての本草学、森狙仙・宋紫石・司馬江漢らのリアリティなどの歴史と伝統が連なっていることが明らかにされる。日本人が描いた涅槃図には、経典に出てこない大小様々な動物たちが登場するというのも面白い。動物を切り口として、絵画史の点が線に繋がった面白さが満喫できる。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/04/01(2582日経過)
記録初日
2014/10/11(3485日経過)
読んだ本
1734冊(1日平均0.50冊)
読んだページ
476043ページ(1日平均136ページ)
感想・レビュー
1651件(投稿率95.2%)
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