ネタバレ「映画と違って半世紀を「冷戦」という鎖国で戦争を回避しつづけたおかげで　俺たちの世界は　国土と　文明と　多くの人命を今日まで保全してこれたんだから」 架空戦記という手法を通してこういう台詞を引き出す著者のセンス、ある意味では個々の戦場で日本軍が勝利するまでの過程を描こうとする作品より現実の日本が歩んだ過去の歴史に対して凄まじく痛烈な筆致ではなかろうか。

ネタバレ「本当は馬鹿らしくって　ただ単に「トノサマの家」に生まれたってだけで　兄妹でたった一人だけ女だったからって　みんな「お姫様」であることを期待する　私は習い事が嫌いで勉強が嫌い　それ以上に人前に出て喋ったり笑ったりはもっともっと嫌い」 安倍吉俊の『NieA_7』で他人の見る目で自分の性格が決まってる部分があるのなら、それを変える事で自分の性格も変えられるんじゃないのか、との趣旨の言葉があったのを思うと平成COMPLEXで架空戦記という手法でこの視点を社会に対して持ち込んだのにこの著者の特徴がある。

ネタバレ「どんな妙な仕事でも今人に必要にされ役割をもらえるって素晴らしい　それを通じて成し遂げた事柄が未来を変えていく力になるかもって夢を見ていられるんだ　今の私は道の上にたくさんの選択肢があるかどうかに興味はなくて　今歩んでる道の幅そのものが広く太くなっていく事を願っているよ」 平成COMPLEX読後に読むと平成幻想症候群、との言葉によって架空戦記として戦争という選択を選ばなかった大日本帝国とは現実の日本社会がたどった道を先送りしたにすぎないのではないか、との著者の問いかけがよりソリッドに示されてる様に思う。

ネタバレ「映画と違って半世紀を「冷戦」という鎖国で戦争を回避しつづけたおかげで　俺たちの世界は　国土と　文明と　多くの人命を今日まで保全してこれたんだから」 架空戦記という手法を通してこういう台詞を引き出す著者のセンス、ある意味では個々の戦場で日本軍が勝利するまでの過程を描こうとする作品より現実の日本が歩んだ過去の歴史に対して凄まじく痛烈な筆致ではなかろうか。

ネタバレ「……自分の性格ってさ　自分のもののようで実は結構他人の目で決まってる部分がある気がしてさ(中略)自分よりまわりが持つ印象で……なんていうかな　自分の居場所みたいなのを変えられる気がしてさ……でも結局自分は自分だ……口べた直るわけでもないし……」 内省的でともすればダウナーなんだけどいっぺん落ち込む所まで落ち込んでしまえば後は上がるしかねえわってこの感じ、町田康の小説でノッてきた時の感触と通じる所がある。