就活の六人がディスカッションの後互いの汚点か暴露されるがこの伏線が時を経て次第に解き明かされる、今までに無い文脈。心の動きが微妙に表現され決して悪とは言えない善でも有りうる。人とは多方面から理解し合うものだと気付かされた。

最初に新章神様のカルテを読んでしまったので順に振り返る読み方になってしまった。信州の情景の中で四六時中患者さんと向き合う医師達。個人では上高地で見た夜空のミルキーウェイが最後を思い出す。本庄病院の屋上のヘリーポートでの星空、こんなにも愛情のある医師達、無理の有りませんように。

神様のカルテ、最初に新章を読んだので1.0と謎解きの様になってしまった。24時間365日対応の過酷な本庄病院に内科医として栗原一止が患者を親身に受け止める。人事を尽くして天命を待つと言うことは神様が人間に書いたカルテがあると。一止のお嫁さんになる榛名の山岳写真家の様子も明かされる。

こんなにも人に寄り添えるお医者さんが居るのだなぁ。一人暮らしの安曇さんが病を得て残り僅かな命に食べたかったカステラをハルさんが入手。病と戦う孤独な中で灯火を得たような安曇さんご主人から贈られた帽子の中にー止へ感謝の手紙を発見した。しかし、医師はこんなにも多忙な毎日なのか体が心配になる。

新聞のコラムで大竹しのぶさんのこの本を知った。毎週ラジオで聞くことのできる大竹さんは実に伸び伸びと話し歌われ、視聴者と近い存在。二千翔さんは最近結婚されたが父親とは2歳で死別随分心に影響が有ったようだ。さんまさんとは心を通わせた親子のような現在、いい関係性を温かく感じた。母親を亡くしたばかりなので共感するところも多く身にしみました。

小川糸さんの作品は幾つか読んだけれど、この作品は少なからず引いてしまいました。母親らしからぬ小鳥への対応、恵まれない環境で育ち、それゆえ人への不信感を持つ。次第に生きること死ぬこと食べることで人と繋がってゆく。リムジン弁当のような人を思いやる料理を食べてみたいものだ。

就活の六人がディスカッションの後互いの汚点か暴露されるがこの伏線が時を経て次第に解き明かされる、今までに無い文脈。心の動きが微妙に表現され決して悪とは言えない善でも有りうる。人とは多方面から理解し合うものだと気付かされた。

大学病院と身近な医院や総合病院の違いが覗けたような。重篤な患者を複数の先生達が最善と思われる処置を考える。29歳で膵癌、母親であり自宅で出来たら最期を迎えたい意思を大切にイチ先生は知恵を絞る。奇跡を起こす神は居るのか？自分もイチ先生のような医師に恵まれたい。

おとぎ話のような少年の成長記の様でした。レインボーサーカス団から他のサーカスを見に行かされ、感想を言う場面では決して臆せず的確に言うところや進んでトイレを清掃したりサーカスのメンバーとして芽生えて行く成長が素晴らしかった。

吉本興業の吉本せいさんの寄席業を商いとする大阪商人の生涯が描かれている。何もそんなにまでして、と思わずにはいられない小金貸のきん婆さんに取り入ったり寄席の為ならば大切な一人息子をも人に頼み、市会議員の伊藤との僅かな恋慕も商売一筋に揉み消された。息の詰まるようなゆとりの無さに思えた。

フランスに傾倒し固執しきってしまったクラタを彼に接したことのある人物から彼の本質を浮き上がらせてゆく。職場やフランスでの生活、客のもてなし方そのはなもちならない態度は戦場下で真価が表れ、裏打ちされる生い立ちが残された家族によってクラタの姿が表現された。 他晴れ着　へんねし　醜男。当時の社会的な良くあるかも知れない父親達の生き方に何とも暗くて辛い世界に打ちのめされた。