最終的に筆者は、「体育」を規律訓練や運動部での勝利至上主義の競技から切り離し、「歩く」とか「寝る」といった日常の当たり前の身体技法とも結びつけることを提案する。こうした体育哲学が本書の主張なのだが、学校教育における体育の問題点や、ブラック部活などに関心がある人からすると、この辺りはいきなり哲学的過ぎて肩透かしをくらうかもしれない。実際、学校の体育から球技や持久走をいきなりなくすのは難しいし、それが楽しみという子もいるからだ。ただ、ダンスの必修化も含め、体育のあり方が問われているんだというのはわかる。
昔から、なぜか体育教師が生徒指導・生活指導を担うことが多い。これもやはり、子どもたちの行動を律する、身体のコントロールという点が重要だと考えられる。実のところ、戦後の新しい教育体制になるまで、軍人から体育教師への転職は多く、半分以上が退役軍人だという面もあった。こうした体育教師の体躯教師っぽさは、実のところ、「運動部」で作られている側面もある。運動部はどうしても勝つことと無関係でいられず、ミスややる気のなさを責められる。部活が人を育てることが事実である一方で、部活だけが人を育てるわけではない。
最終的に筆者は、「体育」を規律訓練や運動部での勝利至上主義の競技から切り離し、「歩く」とか「寝る」といった日常の当たり前の身体技法とも結びつけることを提案する。こうした体育哲学が本書の主張なのだが、学校教育における体育の問題点や、ブラック部活などに関心がある人からすると、この辺りはいきなり哲学的過ぎて肩透かしをくらうかもしれない。実際、学校の体育から球技や持久走をいきなりなくすのは難しいし、それが楽しみという子もいるからだ。ただ、ダンスの必修化も含め、体育のあり方が問われているんだというのはわかる。
良い本は「良い」と誉め、悪い本は「悪い」と徹底的に批判する。これによって日本の出版文化がもっと豊かになれば、と考えています。
もちろん、個人的な傾向性(好み)はあります。文学ならばあっさり話が進んでいくものより、物語の構造や思想がはっきりと現れているものが好きです。評論なら、事例ばかりを並べるものより、それらを分析し、総合する理論を内包しているものが好きです。なので、時々いじわるな感想を言いすぎてしまうこともあるのですが、気になるところがあれば、反論をお待ちしています。
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昔から、なぜか体育教師が生徒指導・生活指導を担うことが多い。これもやはり、子どもたちの行動を律する、身体のコントロールという点が重要だと考えられる。実のところ、戦後の新しい教育体制になるまで、軍人から体育教師への転職は多く、半分以上が退役軍人だという面もあった。こうした体育教師の体躯教師っぽさは、実のところ、「運動部」で作られている側面もある。運動部はどうしても勝つことと無関係でいられず、ミスややる気のなさを責められる。部活が人を育てることが事実である一方で、部活だけが人を育てるわけではない。