観察を繰り返して着想を生むという点では帰納とアブダクションは似ており、実際両者は全く異質なものというよりは、発想の飛躍の大きさで区別できると考えている。故に両者とも拡張的推論に属している。リンゴの落下を観測し続けていても(C)、そこから万有引力の存在(H)に辿り着くためには、通常の帰納的発想では不可能である。帰納であれば、「他の全てのリンゴでも同様に落下する」としか言えないだろう。演繹や帰納のような形式化しやすい論理の外に、規格外の発想を取り込む余地を作るのは面白い。
アブダクションの存在は提唱しつつも、万有引力のような飛躍的発想を生む方法については当然深く言及されていない。「創造性」「総合力」といった言葉で濁される。その点は仕方ない。同じ内容の文章が何度も繰り返される点は少し気になった。
【略歴】
・経済学修士(金融工学、統計学)
・デリバティブトレーダー
・デリバティブクオンツ
・データサイエンティスト
【興味があるジャンル】
・経済
・数理科学
・技術
・ビジネス
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