読書メーターあなたの読書量を記録・管理

7月の読書メーターまとめ

やまはるか
読んだ本
13
読んだページ
3529ページ
感想・レビュー
12
ナイス
176ナイス

7月に読んだ本
13

7月のお気に入り登録
3

  • thayami
  • Mao Aldu
  • みも

7月のお気に入られ登録
3

  • thayami
  • Mao Aldu
  • みも

7月のトップ感想・レビュー!

やまはるか
 目の挿絵のある第1部と監視カメラの挿絵の第1部よりなる不思議な構成である。各1ページからはじまり分量も同じ。イタリアの宮殿に書かれた壁画を挟んで、壁画の誕生までと550年後が描かれる。読後感は、550年の時をクロスさせて両方が今と感じられる。男に扮する画工フランチェスコと母を失ってカウンセリングを受けながら学校に通う少女ジョージ。「今、ジョージは現在時制において美術館でベンチに座り、壁に掛かる古い絵を見ている。間違いなく、意味のある行動だ。予見可能な未来においては。」最後の2行が物語の全貌を指している。
が「ナイス!」と言っています。

7月の感想・レビュー一覧
12

やまはるか
草思社第7刷再読 作家は仕事がどんなに苦しいかを口にすることは少ないが、創作の苦しみは自死が多いことにも窺われる。この本は「書きあぐねている人のため」の名目のもとに自らの苦しみを吐露し、併せて書きあぐねている者に助言を与えようとする真摯な著述。汲めども尽きぬ文学の豊穣を享受しながら、それらを生み出した作家の苦労をしのぶよすがとしている長年の愛読書。p189「小説になる困難さを抱えた小説だけが、小説として書く領土を広げることができる」。気概に溢れる言葉だ。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
2014年ノーベル賞でナチ占領下の人生を描き出した記憶の芸術と評される。偶然見つけた1941年の尋ね人の広告にあった15歳のユダヤ人少女がフランス警察によって強制収容所に送られるまでの足取りを探し求めた記録。作者自身ユダヤ人であるがフランスを正義に向かわせようとする強い意志に貫かれている。少女ドラの家族写真、アイヒマン宛の移送の報告書などが本文に挿入される。「人々があらゆる辛苦を舐め尽くしたので、私たちはちょっとした悲しみを味わえば済むのだ。私はこの事実に18歳の頃すでに気づいていた」
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
ネタバレぼくは養老院で老人の散歩に付き添って稼いだ金の半分を母に渡し、古道具屋で売られている鳶を買うために小遣いを貯めている。子猫と老犬の処分を引き受けて得た金で鳶を買う。そのことを寝たきりの父に打ち明け「普通なら辛いと感じるようなことだったが俺はそうは感じなかった。だがそのかわり、自分は独りだと、これ以上ないほど独りきりだと感じたんだ」と教えられ「ぼくが何物であるかを知っているのは父さんだけだ」と思う。父が亡くなったら年金は入るのか。母は毎夜どこへ出かけるのか。不安の中でぼくはぴかぴかに磨いた長靴を見つめる。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
悪党列伝が7、他が8篇。弱い者を痛めつけるのが悪党と決まっているが、悪党もいつか死を迎える。極悪非道の黒人解放者ラザラス・モレル。自由を餌に逃亡させた黒人奴隷を新しい主人に売ることを繰り返し、奴隷が自由を要求すると弾丸で最終解放させる。彼をリンチにかけてやりたいと思った黒人たちの反乱を指揮するモレルは偽名で入院して肺炎で死んだ。ビリー・ザ・キッドも吉良上野介も登場する。酔いつぶれた大石内蔵助を不忠の臣と勘違いして唾を吐きかけた薩摩侍が内蔵助の墓前で詫びて切腹した話は初めて聞いた。残酷な話も次第にマイルドに
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
原爆から10数年後のヒロシマに平和の映画を撮るため訪れたフランスの女優と岡田英次扮する日本人との恋を描く映画の脚本。平和の映画はほとんど触れられないが映画という境界が暗示されるため男が出演する映画は境界を失って映画の外に広がっている。錯覚であるにしても描写から生まれるリアリティは映像のように美しい。夫にも話していない殺されたドイツ兵との秘密を男に打ち明け「ぼくだけなんだね、つまり」「そうよ」男は激しい喜びの中にいる。「そうね。わたしたちはたぶん、二度と会わずに死ぬでしょうね」でも戦争が起きたら…アイロニー
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
12中2作がブライアン・エヴソン。エヴソンは柴田元幸訳のクレストブックスがある。部屋に二人の男がいる。互いに名を呼び合っているが関係性は不明。瞼を糸で縫い付けられた男が裸でベッドに横たわる。一方の男が手順を忘れてしまったと言う。何の手順かは読者の想像に委ねられる。瞼を縫った糸が眼球を擦る感覚が生々しく伝わる表現はエヴソンの特徴、クレストブックスでも切れたワイヤーが当たって失明する話があった。やあ、やってるかいと声を掛けて走り過ぎるジョガーが撃ち殺されるジョイス・キャロル・オーツの話は短編の妙。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
再読 保坂和志「小説の自由」はある意味で小島「寓話」を受けて書かれ、「残光」は小説の自由を受けて書かれている。作家90歳の総集編のような書き物で彼の作品から多くが引用される。引用されることによってあたかも事実であるように見え、そう思って読み通したが「小説はあくまでプロセスの中に作者の意図」があると、当然ながら意図のもとに企てられたものであると打ち明ける。「私はどうしてもマムシ草を描きたくて、それを今度の作品にしたくて、矢も楯もたまらず病院を抜け出してきた」最期にこの世のものを眺めこの肉体を経て描き置く。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 目の挿絵のある第1部と監視カメラの挿絵の第1部よりなる不思議な構成である。各1ページからはじまり分量も同じ。イタリアの宮殿に書かれた壁画を挟んで、壁画の誕生までと550年後が描かれる。読後感は、550年の時をクロスさせて両方が今と感じられる。男に扮する画工フランチェスコと母を失ってカウンセリングを受けながら学校に通う少女ジョージ。「今、ジョージは現在時制において美術館でベンチに座り、壁に掛かる古い絵を見ている。間違いなく、意味のある行動だ。予見可能な未来においては。」最後の2行が物語の全貌を指している。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
ネタバレテーマと技法に作家の意思は感じるが読み方が分からないまま200ページの短編集を読み終えた。9夜も続けて激痛に悩まされる9人の男の苦痛は同じものか。交合のめくるめく瞬間にあるすべての男は同じ男である。同等性が同一性を含むと仮定した場合には9枚の銅貨は1枚のものである。「八岐の園」では敵地に潜伏し、追い詰められたわたしは英国砲兵隊の陣地の位置を都市と同名の男を殺害する事件を起こし新聞報道によってベルリンに知らせた。わたしは処刑される前にその都市が爆撃されたことを同じ新聞で知る。物語の多くは最後の数行で解かれる
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
「あるうららかな秋の日の夕刻に、数日前にこの村を出た漁船の二艘がもどってきた」のどかな漁港の情景で幕を開けるが、村は生活の根拠を失う重大な異変に見舞われる。近くの島の煙突から出る有害な煙が島を覆った。煙突のある島は高い塀に囲まれて見張り人、確認者などに阻まれ容易に近づけないのはカフカの「城」だ。人々は手軽なものや高級なものまで呼吸用防護具を工夫し、顔一面にかぶるものや、片手で押さえて使うものなど、これで一儲けしたヤツもいて「持っていないと、他人に対して失礼」など、現代のコロナ渦を予見したかの昭和30年作品
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
物語はGayの美青年と醜を自覚する老作家を中心に展開する。婢(はしため)、微醺の男など古めかしい言葉に躓くも、美少年渡辺稔が登場した以降の100ページは寝食を忘れて読んだ。度々消防車が走ったり火事の場面が挿入されるのは異性愛に対する不安を表徴するのか。「迷子でございます」と案内放送があって「拡声器は黙り、波音ばかりが高くなっている」個所は老作家と主人公の馴染み深い沈黙を描いて心憎い。LGBTに対する偏見は藤村の破壊の同和と同じく作家を含め現代の理解と異なるのは宜なるかな。三島自身のことは不問としても
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
小島信夫「寓話」に導かれて手元にある全集から「親和力」を読んだ。少し前にジャンクリストフを読んだ苦労を想えば楽しい読書であった。というより先を急かせるようなエンターテイメント性に溢れていた。「私たちは~過失を犯しやすいものである」と地の文に主観的な記述が現れる点も、旅に同行することになっていた召使の少女が麻疹に罹ってオティーリエが一人旅をすることなど予定調和的な筋立てが多々あって19世紀初頭の古典のゆかしさを肌に感じた。ファウストはともかく、本書後半に収載の「詩と真実」我が生活から―はぜひ読んでおきたい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/15(818日経過)
記録初日
2018/05/17(816日経過)
読んだ本
217冊(1日平均0.27冊)
読んだページ
70364ページ(1日平均86ページ)
感想・レビュー
201件(投稿率92.6%)
本棚
1棚
性別
現住所
岐阜県
読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう