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2024年3月の読書メーターまとめ

やまはるか
読んだ本
11
読んだページ
2810ページ
感想・レビュー
11
ナイス
327ナイス

2024年3月に読んだ本
11

2024年3月のお気に入り登録
3

  • ちくわ
  • よみこ
  • 酩酊石打刑

2024年3月のお気に入られ登録
3

  • ちくわ
  • よみこ
  • 酩酊石打刑

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

やまはるか
 金原ひとみ初読み。山本文緒が死の直前に書き綴った闘病日記に「死ぬことを忘れる程面白い」と書いていた。確かに面白いが吾輩は空腹さえ克服できなかった。ただし、作家の目には面白いと映るのかも。20代から30代の恋愛関係にある女と男が登場する5つの中編でセックスなど似たシチュエーションが繰り返すが、最初のストロングゼロから最後のテクノブレイクに向かってのっぴきならない方にじわじわと深まっていく。アンソーシャルディスタンスは語り手が男女交互に入れ替わる仕掛けで最後の場面を男に語らせて心憎い効果を上げている。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
11

やまはるか
 5つの短篇集で最初がaqua、ラテン語の水とある。田中水面が小学生3年の時に転校して田中汀と友達になる。田の水面と汀、川上弘美100%の設定ではじまる。穴の開いた靴を履いていた貧しい家の汀がいつの間にか大きな邸宅の娘になっている。5編ともリアルな世界に足を置きながら異世界の匂いがする。少女らしい女性が風でスカートの後ろを膨らませて自転車を漕いでいる表紙カバー、こっくりさんが登場する箇所に既視感、既読感があって読書自体が異世界にある気分だった。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 原書は1,934年、昭和9年の刊行であるが、翻訳が新しいせいか時代を感じさせない。「はい、ご主人様」「よしきた、ホーだな、ジーバス」慇懃で頭脳明晰な執事と軽くてお人好しの若主人の決まり文句。男女間に起こったトラブルを解決するために「ある特定の人物に対する強力な嫌悪感の共有ほど、不幸にも仲たがいをするに至った諸個人を十分満足に結束させるものはない」と言うジーバスの周到な策略により一件落着するが、たった一件の落着のために350ページを費やすのは物語として古めかしい。しかし、一件落着の爽快感はなかなかのもの。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 「17歳は星か獣になる季節だって。今日、やった英文読解にね、書いてあった」城山くんの一人称語りではじまり、級友たちは星になる人と獣になる人とに分かれた。次の「正しさの季節」は語り手が19歳になった渡瀬に代わり、「昔、読んだ英文だったか現代文だったかで、17歳は人でなしなるんだって読んだ」ではじまる。「正しさの季節」は謎解きの章で、霧の中に浮んでいたような景色がようやくすっきりと見えはじめる。正しさの季節のラストに唸った「空気に、植物が溶けているみたいだ。命がのぼっていくような、夏の夜の匂いがした」
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やまはるか
 ローマ字は妻に読まれないためと自ら述べているが、文学的な試みの意味もあったようで、最も長い日は原稿用紙18枚に及び、ローマ字表記により描写が深く精密になったと桑原武夫の巻末解説に。「社にいると、早く時間が経てばよいと思っている。それが、別に仕事がいやなのでもなく、あたりのことが不愉快なためでもない。早く帰って何かしなければならぬような気に追ったてられている。」啄木24歳、青春の苦悩が全編に滲んでいる。ローマ字で読むべきと解説あったが、時々照合する程度でほとんど訳文で読んだ。
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やまはるか
 古代インドに人生を学生期、家住期、林住期、遊行期に分ける考え方がある。林住期は50歳から75歳までの25年、働くことを終えた最も輝かしい時期と定義する。人生50年の時代であれば納得できるが現代では50歳で仕事を終えることは不可能であるが、年齢を修正する記述はない。社会での役割や人との関りを意識せず、退屈に倦まず心身健康に自由に生きることを説く。著者のことは健康診断を受けない健康人として生き方の指標と思ってきたが、彼の奥さんが医師であること、年に2回風邪を引くことを知って少しがっかりした。
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やまはるか
 トルコの海賊船に襲われて奴隷として売られた先で対面した師は信じられないほど私に似ていた。「あたかも、そこにわたしがいるがごとしである」17世紀トルコを舞台にアラビアの物語を思わせる仕掛けで展開する。「人は唯一、夢の中でしか目にしえない」城は丘の頂にあって、天守は落日でうっすらと赤く染められ純白の旗がなびいている。城を攻める皇帝の軍隊に師とともに加わって、物語は仕掛によって大きく展開する。「自分とは何か」の問いを師とともに互いの人生を賭けて確かめようとする究極の物語である。
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やまはるか
63の短編集。「濃い髪の色のストレート・ヘア、すらりとしていながら適度に曲線のあるスタイル、ほんのり色づいている白い肌、可愛らしい鼻、いたずらっぽい微笑」と好みを言ってセックスロボットを注文するが、意図に反してソフィアは僕を愛しはじめる。プラクティカル・コンセプツ社の表につけた車にソフィアを待たせておいて、オフィスで事情を説明した。社のデレクは承知しましたといってソフィアを回収してくれた。あとがきにも説明はないが「ソフィア」の主人公が愛を返品した男、作者であると言うらしい。多彩な作品で面白く読んだ。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 金原ひとみ初読み。山本文緒が死の直前に書き綴った闘病日記に「死ぬことを忘れる程面白い」と書いていた。確かに面白いが吾輩は空腹さえ克服できなかった。ただし、作家の目には面白いと映るのかも。20代から30代の恋愛関係にある女と男が登場する5つの中編でセックスなど似たシチュエーションが繰り返すが、最初のストロングゼロから最後のテクノブレイクに向かってのっぴきならない方にじわじわと深まっていく。アンソーシャルディスタンスは語り手が男女交互に入れ替わる仕掛けで最後の場面を男に語らせて心憎い効果を上げている。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
共著者の対談形式、要所で原典と訳文を引用する。光る源氏と恋人たちの逢瀬で、曖昧な場面では、男女の事実のあったかを二人が論ずる。斎宮として伊勢に下る娘とともに京を去る決意をした六条御息所のもとで一夜を明かした源氏。原典は「思ほし残すことなき御中らいに聞えし給ふ事どもまねびやらむ方なし。やうやう明けゆく空のけしきことさらに作り出でたらむようなり」訳は「思い残すこともないまで睦みあうお二人がどんなことを語り合ったか、伝へるすぺもないのが惜しまれる」体温が今に伝わるような描写であることが訳を読んではじめて判る。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
インドに1652の言語あり、うち15が公用語として認められていると訳者あとがき。様々な言語で書かれた物語が英訳されて雑誌に掲載されたうちの13篇を収録した短編集。現代インドの表題に相応しくカーストなど社会的なテーマが多く扱われている。インドといえばカオスであるが、一つ一つを切り取って完結している。井戸を飛び越えるスポーツを編み出した男の話が面白かった。「郵便局員」は少し前に読んだ「幼い未亡人」のインドの郵便配達夫の家庭と繋がって興味深かく読んだ。というより、この既読感は何だろうと首をひねったらそれだった。
が「ナイス!」と言っています。
やまはるか
 38の短編集 短い話が詰まった本は長編のような進展がないため、はじまりと終わりの繰り返しに飽きて来ることが多いが、この本は割に飽きなかった。願い事を3つだけ叶える金魚など奇想天外な話しもあるが38の物語に38組の異なる人物が登場して異なる個性を発揮する。38編の内どれが一番かは中ほどまで読むと「この物語はこの本で最高の話です」と作者が教えてくれる。親切心、サービス精神あふれる短編集である。テルアビブ在住の若い作家の作品でヘブライ語版を英語版を参考にして邦訳された。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/15(2173日経過)
記録初日
2018/05/17(2171日経過)
読んだ本
496冊(1日平均0.23冊)
読んだページ
150162ページ(1日平均69ページ)
感想・レビュー
477件(投稿率96.2%)
本棚
2棚
性別
自己紹介

 読書メーター登録から5年で読んだ本は400冊、登録前の5年間は600冊だった。これまで気の向くままに読んで来たが、近ごろはそれ以上に本と向き合っている。読書時間が増えているのに読む量は減っている。読書は理解と鑑賞の度合いだから、川の流れが急流から中流、やがて下流域へと移れば、流れの速さも川底の様も変わるのだろう。

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