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2024年3月の読書メーターまとめ

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感想・レビュー
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2012ナイス

2024年3月に読んだ本
11

2024年3月のお気に入られ登録
5

  • やれやれ
  • Key
  • ニコぴよ
  • 若様
  • やばとん

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

エドワード
時は応仁の乱。室町幕府の申次衆を務める有力武家、備中伊勢氏の次男・新九郎は、備中での庶民との交流から、新しい武士の在り方に目覚めていく。「殿は“頼うだる人”とならねばなりませぬ。」京都では足利将軍家と管領・細川氏等が争い、関東では、古河公方・足利成氏、堀越公方・足利政知、関東管領・上杉氏等が入り乱れ、果てしなく戦が続いていた。新九郎は<民のための世を築く>べく、戦につき進む。足利政知の子・茶々丸を殺したことで、新九郎改め宗瑞は、再びの下剋上、戦国時代の嚆矢と呼ばれた。彼こそ後に北条早雲と呼ばれる男だ。
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2024/03/10 08:54

とにかくうんざりするほど戦に次ぐ戦である。応仁の乱直後は「下剋上を行った者は、在俗のままでは、私欲による戦をなしたとみなされる。」らしい。そこで伊勢新九郎は早雲庵宗瑞と改名するのだが、北条氏を名乗るのは嫡男の氏綱とは、新しい知見である。彼の姉・桃子は今川氏に嫁ぎ、孫が今川義元である。関東は北条、東海は今川の時代がしばらく続き、織田信長が生まれるのは、宗瑞の死の15年後だ。その頃には下剋上は新しき日常となり、在俗の大名がしのぎを削って争う戦国時代が到来するのだ。

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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

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「古代メキシコ展」へ行きました(国立国際美術館)。小学生の頃、NHKで「未来への遺産」という古代文明ドキュメンタリーを放送していて、これが大好きでした。番組で紹介される、マヤ、アステカという古代文明は私の心に強烈な印象を残しました。中国や中央アジア、エジプト、ギリシャなどの展覧会はよくありますが、中米は多分初めてだと思います。色鮮やかな偶像や装飾品。絵が描かれた器や壷。羽のある蛇の石像。石に刻まれたマヤ文字。球技や生贄の祭祀に使われた石。よくわからないことが多いから興味深いのです。

「古代メキシコ展」へ行きました(国立国際美術館)。小学生の頃、NHKで「未来への遺産」という古代文明ドキュメンタリーを放送していて、これが大好きでした。番組で紹介される、マヤ、アステカという古代文明は私の心に強烈な印象を残しました。中国や中央アジア、エジプト、ギリシャなどの展覧会はよくありますが、中米は多分初めてだと思います。色鮮やかな偶像や装飾品。絵が描かれた器や壷。羽のある蛇の石像。石に刻まれたマヤ文字。球技や生贄の祭祀に使われた石。よくわからないことが多いから興味深いのです。
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2024年3月の感想・レビュー一覧
11

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豊泉宏彦、富山県黒部市在住の18才。ある事情で進学せず、漫画家を目指し、東京の出版社へ原稿を持ち込む。ここは無法地帯だ。宏彦は、失踪癖のある人気漫画家の連載漫画「チューボー刑事」を手伝うことになる。女性編集者・伊勢崎聡子。平林、吉野、松屋、クセ者揃いの同僚たち。月3回発行のムチャクチャな漫画生活が始まった!富山から高速バスで通う宏彦、ひたすら書いて描いてのブラックバイト!伊勢崎は宏彦を新人として売り出そうとビシビシ鍛える。富山出身の宏彦、日本海の味覚が吉と出る。最後は蜃気楼、消えてたまるか!明日も描くぞ!
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2024/03/29 08:31

漫画家に憧れる若者は多い。漫画は雑誌に掲載されて初めて世に出る。雑誌は当然売れなければならない。そこで編集者が奮闘して「売れる漫画」を描かせる。厳しい商業原理だ。週刊誌ともなると、本当に自転車操業のような、冗談じゃない!制作現場に陥るわけだ。「売れる漫画」って何だ?オレは何を描きたいんだ?多忙と競争の中で成功できる漫画家には、ハガネの神経が必要だ。ヤリ甲斐搾取に負けるな!がんばれ、宏彦!だけど心と身体だけは壊さないように。稼ぐだけ稼がされて、捨てられた漫画家が山ほどいるのだから。

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うららかな春。学生の梓一朗は、学生課の紹介で猫シッターのアルバイトの面接を受けに行く。駅で出会う、裸体モデルのアルバイトをする予定の日暮星。二人の依頼主は<猫飼亭>。面接するのは駒形芳白なる美青年。そう、長野さん描くところのキスの嵐だ。日暮星は駒形の弟だった。猫シッターとは、一朗が猫になること。桜の降りしきる<猫飼亭>での交歓。文章は美しく、男たちは妖しい。三人の男性が<猫飼亭>を訪れた後、最終章では、ある冬の日、一朗は寒空の下で懸命に働く宣伝嬢に気を留め、昼食を共にする。彼女の正体は読んでのお楽しみ。
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1990年代、イヤミスという言葉もない時代。人の心のほのかに暗い感情を描く小池さんの想像力がすごい。標題作は、再会した小学校の親友に、容貌の激変と何ともいえない違和感を感じる物語。「結婚式の客」は結婚式を挙げた男が、パーティーで見かけた老婆を昔の恋人の母親と思い込み、悪夢に憑りつかれる物語。「寄生虫」の友だち親娘の怖さ。「運の問題」のオチの上手さ。日常に突然現れる深い溝。待ち合わせた喫茶店に電話がかかる場面、72円切手など、物語の背景が懐かしい。「木影の墓」の怪しい穴が<大きな栗の木の下で>なのはご愛嬌。
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最近、江戸初期の作品をよく読む。視点が変われば、人物像も変わるのが歴史の醍醐味だ。後水尾天皇と東福門院和子の長い生涯。徳川秀忠の娘で十四才の和子が入内するのは大坂の陣の時代。天真爛漫な少女は、複雑怪奇な都で孤軍奮闘し、様々な人々を受け入れていく。盤石の幕府の威信が時に効き、時に弱点となる。片や血気盛んな天皇は、幕府の法度「天皇諸芸能の事、第一御学問也。」に激怒しながら、逆手に取って、京都を文化の都とすべく励む。実に大勢の血縁の人々が来ては去る。東西の反発は融和を産み、文化の実り豊かな二人の晩年が美しい。
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2024/03/22 07:23

後水尾天皇が紫衣事件を契機に幕府に猛反発し、和子の娘の明正天皇に譲位した後、後光明天皇、後西天皇、霊元天皇と図らずも四代の院政を行う歴史の面白さ。後光明天皇の血気盛んなセリフ「朝廷がこれほど衰微してしまったのは、『源氏物語』のせいです。あれはすこぶる淫乱の書、人を軟弱にして堕落させる元凶です。それより儒学です。」天皇が儒学を極め、上下定分の理を理解すれば、後鳥羽天皇や後醍醐天皇のように倒幕に走ると危惧し「血は争えん」と苦笑しつつ、必死で訓戒書を認める後水尾院が人間臭くて良い。修学院離宮も素晴らしいですよ。

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吉本ばななさんも還暦ですね。でも一貫して若者の愛や悩みを描く姿勢が変わらない。それも、LGBTやバツイチ等、少数派の人々。愛する人を失った人。標題作は、病気で子宮を取ったゆき世と外山君は、両方の母親から結婚に反対される。それでも彼らはヘルシンキへ旅立つ。零下の地で忘れてきたミトンを買う。ふびんは?「この上ないふびんさを自明のこととして持つ人類と、その輝かしい幸せを乗せて、地球は回っているんだな。」これは彼女の小説全体に通じる。悲しみとユーモア。台北やローマや八丈島の人々も優しい。何とか人は生きていけるさ。
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先日放送していた映画を見て再読。映画は1986年、著者は1992年に亡くなっている。時の経つのは早い。作品は永遠だ。離婚する両親と二人の兄弟。痛々しいほど気をつかっている。離婚が少ない時代。無邪気を装う子供たちの瑞々しさが光る表題作。翻って今は、何か気に入らないと即離婚だ。良いのか悪いのかわからない令和。「プラネタリウム」の小学生男女の心の動き、こんな時代もあったな。「雲とブラウス」は60年代だ。ラーメン25円に安保闘争。映画の母親・十朱幸代の服装が懐かしい。私の妻もあんな服装であんな街角で待っていたよ。
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2024/03/15 07:40

離婚した母と祖母の会話、「母から『後家さんは身をつつしみなさい。』と言われ、離婚の場合も後家さんと言うのかな、と辞書を引いてみたら、確かにあった。『もと、そろっていたもののかたわれ。例=箸の後家』―それなら、手袋の後家とか、イヤリングの後家というのもあるのだとおかしかった。」というくだりが面白い。向田邦子さんの趣きがある。40年前の福武文庫。

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「アメリカ人を好きになってわかったこと。」の改題。アメリカ人に恋した日本女性5人の物語。ハリウッド映画や大統領選挙などを見るたび、国民性の違いを感じる。婉曲表現を知らない。アメリカンドリームって結局何だ?喜々として狩猟をする夫を嫌悪するかすみ。働き蜂の夫や日系セレブの集いに愛想を尽かし、インド系アメリカ人と結婚したるり子は、今まで全く見聞したことのないアメリカを体験する。自由を振りかざして、形にはまった行動を押し付ける。平等を叫んで平然と差別する。彼らの大げさなセリフが本当に映画の吹替のようで笑うよ。
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エドワード
時は応仁の乱。室町幕府の申次衆を務める有力武家、備中伊勢氏の次男・新九郎は、備中での庶民との交流から、新しい武士の在り方に目覚めていく。「殿は“頼うだる人”とならねばなりませぬ。」京都では足利将軍家と管領・細川氏等が争い、関東では、古河公方・足利成氏、堀越公方・足利政知、関東管領・上杉氏等が入り乱れ、果てしなく戦が続いていた。新九郎は<民のための世を築く>べく、戦につき進む。足利政知の子・茶々丸を殺したことで、新九郎改め宗瑞は、再びの下剋上、戦国時代の嚆矢と呼ばれた。彼こそ後に北条早雲と呼ばれる男だ。
エドワード
2024/03/10 08:54

とにかくうんざりするほど戦に次ぐ戦である。応仁の乱直後は「下剋上を行った者は、在俗のままでは、私欲による戦をなしたとみなされる。」らしい。そこで伊勢新九郎は早雲庵宗瑞と改名するのだが、北条氏を名乗るのは嫡男の氏綱とは、新しい知見である。彼の姉・桃子は今川氏に嫁ぎ、孫が今川義元である。関東は北条、東海は今川の時代がしばらく続き、織田信長が生まれるのは、宗瑞の死の15年後だ。その頃には下剋上は新しき日常となり、在俗の大名がしのぎを削って争う戦国時代が到来するのだ。

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美術が大好きな桜野優彩は、勤務先の画材店が閉店し、沈んでいた。そこへ舞い込む「アート旅」モニター参加の招待状。旅行会社のガイド付き旅行だ。試しに参加する優彩は、ガイドの志比桐子と出会う。直島への旅で、桐子の豊富な知識と迅速な対応に驚く優彩に、桐子は「あなたとは随分前に面識があるのよ」と告げる…。優彩は桐子の会社に就職し「アート旅」を企画する。参加者の日常の憂鬱と、桐子との接点を探す優彩が同時平行で進む。どこで出会った?4つの美術館が出てくるが、私は全て行っていない。読む「アート旅」の面白さ。続編を望む。
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エドワード
源氏物語が書かれたのは平安遷都から200年、平安時代の真ん中だ。古代日本の基盤である律令制度の崩壊とよくいわれるが、中国製の律令制が日本に合わず、変容するのは必然であり、その過程が詳細に語られる。しかし何より重要なのは、男も女も、実力第一ではなく、出自や家柄が重視される社会へ変容したことだ。まさに平成令和と続く現代日本に重なるよね。私は、たとえ停滞の時代と言われても、下剋上の戦国時代がいいとは決して思わない。平易な文章と文系理系や雇用の創出やオタクといった現代的比喩が効いており、実にわかりやすい。
エドワード
2024/03/04 07:29

ゼロから律令政治を始めた奈良時代の人々は本当に偉大だと思う。だが奈良時代は気の休まらない激動の時代だった。平安初期も負けず劣らず、油断すると失脚する時代だ。みな平穏を望むよね。三十段階あった役人の位階が平安時代前期に十六段階になり、蔭位の制も機能して、政治が有力貴族のみのものとなる。紫式部の父・藤原為時は「お前が男であればのう」と言う。宮中の女性が公務員の女官から貴族の女房へと変わる。階級が流動性を失っても、毎日、毎年、同じ日々が続くことを平和というならば、平安中期がまさにそうだった、と私は思う。

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エドワード
台湾を描く2編、デジャヴとたくさんの神様、実によく観察されている。そこへ「カアサン、ボクノアノボウシ、ドウシタノデセウネ」と来るから涙が出るよ。表題作の儚い雰囲気がまさにバレエだ。命短し踊れよ乙女。字体が変わる、犬と猫の物語、いとしいね。エジプト、ギリシャ、奈良の時間旅行も楽しいね。「我々は、わがくにの土となってわがくにを見守ろう」がいい。生命が萌える4月、生命の猛々しい夏、それこそ死者の季節、に共感する。最終ページの「交信」は、手塚治虫の漫画を連想したよ。ああ、書ききれない。珠玉の不思議が満載の短編集。
エドワード
2024/03/01 08:26

「アンヌ、僕は、僕はね、人間じゃないんだよ。M78星雲から来た、ウルトラセブンなんだ。」パラン!パラン!パラン!おおっ!「二人でお茶を」でスウィングしていたら、きたー!リパッティによる演奏、シューマンのピアノ協奏曲、もう、これしかないですよ!怪獣のように突然襲ってくるから、恩田さんは油断できません。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/01/18(4842日経過)
記録初日
2011/01/19(4841日経過)
読んだ本
2174冊(1日平均0.45冊)
読んだページ
698241ページ(1日平均144ページ)
感想・レビュー
2174件(投稿率100.0%)
本棚
12棚
性別
血液型
AB型
自己紹介

 活字中毒を自認する者であります。小学生の頃から図書室が好きで、20代までは、司馬遼太郎、松本清張、横溝正史、五木寛之などをむさぼるように読んでいました。この時期の読書は、ライフスタイルの形成にまで大きな影響を受けたように感じます。
 やがて気がつくと、興味を惹かれる作家の年齢が自分と同輩か年下になり、女性作家に傾いていきます。江國香織、森絵都、角田光代、小川洋子、梨木香歩などは出る本はたいてい読みます。彼女達の作品は、ファンタジー性のあるものからリアルに現在の日本の社会を描きだすものまで様々ですが、今の世の中を懸命に生きている人々の上を吹きわたる風を感じるのが爽快です。辻村深月、飛鳥井千砂、瀬尾まいこ、宮下奈都など、新しい人にも注目しています。歴史ものも好きですが、江戸時代ものよりも、古代、中世、戦国時代ものが好きです。

 前に最近あまり本屋で本を買わなくなったと書きましたが、最近再び本買いの虫が復活してきました。人生において、食品を除いてもっとも頻繁に購入するものは“本”ではないでしょうか。小さな軽い本が、遠い異国へも、過去へも未来へも、見知らぬ感情のうずまく世界へも連れて行ってくれる。何と素晴らしいことではないでしょうか。
 本以外にも、マンガオタク、映画オタク、怪獣オタク、アイドルオタク、歌謡曲オタクでもありました。しかし平成が進むにつれ、私が夢中になったモノたちは総じて懐かしい昭和と称されるようになりました。娘と息子が成長し、もはや彼らの時代であると実感します。二人ともディープに物事を追求すること、誰に似たのかなと苦笑いしつつ、ついていくことを諦めている自分がいます。

 年をとると何事も好き嫌いがはっきりしてきますね。それでも読書だけは冒険をして、今の空気を思いっきり吸って行きたいと思います。

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