短編でもさすが今村夏子。私たちと同じ世界線から30度くらいズレた微かな気持ち悪さを提供してくれる。ポップな響きの表題作は、不器用な人間を微笑ましく見守る話などでは勿論無く、丘崎さんは最後完全に狂ってしまっている。「良夫婦」は近所のネグレクトされてる様子の小学生に一方的に思い入れる妻だけがおかしいのかと思いきや、そのおかしさを一見守るようで甘やかしている（とも少し違うような…）夫もおかしい。本人たちにとっては平和な時間がただ過ぎていくので、今村夏子作品はいつも理解できない私がおかしいのかな？と思わされる

鈴木光司「浮遊する水」は既読感があったが映画「仄暗い水の底から」の原作だったらしい。映画と違いそれとわかる怪異は登場しないが、怪異がいるのが怖いのではなくいると思うことが怖いのだと「それが大事」の歌詞みたいなことを思う（笑）名だたる作家ばかりでどれも王道の素晴らしいホラーだが、有栖川有栖「赤い月、廃駅の上に」が特に好み。明らかに物語が怖い方向に向かう空気感と、怪異に囲まれる臨場感、廃駅が舞台というのも色んなマニア向けだし郷愁もあって良き。

短編でもさすが今村夏子。私たちと同じ世界線から30度くらいズレた微かな気持ち悪さを提供してくれる。ポップな響きの表題作は、不器用な人間を微笑ましく見守る話などでは勿論無く、丘崎さんは最後完全に狂ってしまっている。「良夫婦」は近所のネグレクトされてる様子の小学生に一方的に思い入れる妻だけがおかしいのかと思いきや、そのおかしさを一見守るようで甘やかしている（とも少し違うような…）夫もおかしい。本人たちにとっては平和な時間がただ過ぎていくので、今村夏子作品はいつも理解できない私がおかしいのかな？と思わされる