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2024年3月の読書メーターまとめ

tenori
読んだ本
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感想・レビュー
12
ナイス
1194ナイス

2024年3月に読んだ本
12

2024年3月のお気に入り登録
6

  • アンジー
  • りんご
  • 春霞
  • 中玉ケビン砂糖
  • もぐもぐ
  • こけしママ

2024年3月のお気に入られ登録
8

  • toshi
  • アンジー
  • りんご
  • 春霞
  • 中玉ケビン砂糖
  • 山本拓哉
  • こけしママ
  • もぐもぐ

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

tenori
本そのものにトリックが仕込まれていて、この仕掛けは紙の本でしか実現不可能。すごいと感じさせるのは校正・校閲、さらには製本まで、作家vs読者の枠を越えて出版に関わる人の熱量がタイトルの静けさとは裏腹にひしひしと伝わってくること。宮沢賢治から引用したエピグラフに始まり、遺稿探索の過程から浮かび上がる一人の作家の奔放な生きざまと父親としての愛情。未完の作品の意図と遺された「 」に込められたもの。ストーリーも練られています。京極夏彦さん、泡坂妻夫さんの作品も読みたくなります。これは魔法の一冊です。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

tenori

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2024年3月の感想・レビュー一覧
12

tenori
近未来の日本とアジアを描いたなかなかにシュールな6篇の短編。日本は二度の津波と原発事故によって国土の半分を喪い事実上消滅した。『ふたたび自然に戻るとき』では高齢者だけが暮らす首都域のタワーマンションが再自然化し、カラスとコミュニケートした居住者が鳥葬を依頼するに至る経緯が人間(遠隔で建物の管理をしている)とカラスとの双方の視点から語られる。『赤ちゃん泥棒』での生殖と人工子宮の発想は川上未映子さんや村田沙耶香さんほどの衝撃はないものの、社会に対する疑念や危機的意識としては似たような匂いを感じた。
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tenori
会社や団体(組織)に属していようがいまいが、自分の居場所は自分で作れるような準備はしておくべきだろうと後れ馳せながら気がついて手にした参考書。思ったのは、企画書や提案書の作成は、自分を棚卸しした上で価値を上積みする手段だということ。実際に提出するかもさることながら、やりたいことを整理して考えを冷静に分析してみるのは面白いかもしれない。本の内容としては新入社員(初心者)向けで平易。これ一冊で基本はカバーできる。インプットしたらアウトプット。鉄は熱いうちに打とう。
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tenori
コロナ禍初期。作家の叔父とサッカー好きな姪が、それぞれに「書くこと」「蹴ること」の練習をしながら千葉県我孫子市から茨城県鹿島市まで利根川沿いを徒歩紀行する静かなロードノベル。植物や鳥の生態、地層や野仏の姿、偶然に出逢った女子大生との交流により、ゴールまでの数日で学びを得ていくのだが。最期の一頁で単なる回想録に留まらない事実が明かされる。人生は川の流れの如し。支流は本流を作り、本流が海を作る終わりのない旅。途上の出来事は生きるための練習だ。何かを引き受けるのではなく、記憶の中に痛みをもって刻むことだ。
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tenori
痛快だ。強くなって恐れられ尊敬されたい。単純で純粋な夢と野望も表現の仕方がわからない。自分のことには小心だが、敬愛する先輩のためなら何の根拠もなく突き進める無鉄砲さ加減。田舎の息苦しいほどの閉塞さには不満を持っていながら、周囲が抱く東京への憧は面白くない。そんな少年ヤンキーの暴走劇。その果てに訪れる終末が意味するものは破滅なのか。いや、こいつはしぶとく生きるのだろう。自分と田舎を肯定するために。息をもつかせぬ疾走感と九州弁で綴られた文体が強烈な印象を残す。
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tenori
本そのものにトリックが仕込まれていて、この仕掛けは紙の本でしか実現不可能。すごいと感じさせるのは校正・校閲、さらには製本まで、作家vs読者の枠を越えて出版に関わる人の熱量がタイトルの静けさとは裏腹にひしひしと伝わってくること。宮沢賢治から引用したエピグラフに始まり、遺稿探索の過程から浮かび上がる一人の作家の奔放な生きざまと父親としての愛情。未完の作品の意図と遺された「 」に込められたもの。ストーリーも練られています。京極夏彦さん、泡坂妻夫さんの作品も読みたくなります。これは魔法の一冊です。
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tenori
篤志面接委員(受刑者や在院者に面接や指導教育を行い、更正や社会復帰を援助する民間ボランティア)の認知度は低いのではないか。作品は女子中学生が同級生を殺害するところから始まる。少女と面接委員が対峙する場面の張りつめた空気感。会話から導かれる真の動機。が、核心はそこだけにあらず。終盤、読者は著者の持ち味である復讐劇の伏線が見事に織り込まれていたことに気づかされる。命の平等。法と責任論。SNSによる誹謗中傷。既視感のある問題提起も独特の感性と視点で単なるミステリーに終わらせないところが小林由香さんの魅力だ。
ガジュマル
2024/03/21 15:35

篤志面接委員、初めて聞きます。しかも民間のボランティアとは( ⊙⊙)!! 世の中知らないことだらけ!読書はそれを知れて本当に面白いですね。

tenori
2024/03/21 18:00

ガジュマル様 コメントありがとうございます。おっしゃるとおりで、恥ずかしながら私もこの作品を読んで知りました。本は視野を広げてくれますね。

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tenori
同じコロナ禍を題材とした「アンソーシャルディスタンス」が陰ならこちらは陽。意図的に句読点を少なくすることで混沌とした閉塞感を、ラップみたいな会話の裏で冷静に状況分析する誰かの視点を入れ込むことで温度差が表現されている。コロナ禍での疑心暗鬼と集団心理は人が普通でいられることを壊した。普通は尊い。普通は貴重だ。普通はむしろ普通ではない。翻って普通とは何なのか。激辛フェスの場面に集約された極端な嗜好や過度な攻撃性の中でバランスを保つ困難さ。これまでの金原作品とは一線を画すテンションの高さも魅力。
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tenori
ネタバレなしでのミステリー作品のレビューは難しい。ということで、やはり本作の肝は「帯がある状態での装丁の妙」だろう。帯があることに意味を持たせる。帯に何が書かれているかは問題ではない。この仕掛けには脱帽。どんでん返しを狙ったことで、登場人物達に表裏を持たせすぎているし、何か無意味に猟奇性があったり、力業で落とし込んだなと思えるシーンはあるものの、中盤以降の展開は間違いなく面白い。そして、感じるのだ。ここまで読者を誘導してしまえるのが受賞作品の持つ凄みなんだと。
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tenori
推し(鈴木絢音さん)が読んだ一冊として紹介していたので手にしてみた。日記の体でありながらも、あふれる言葉を奔放に綴った骨太で社会風刺の効いた自伝的エッセイ。晩年にして老体に鞭打っている感がまったくない。訳者も記しているが恐るべき老人力だ。自分大好きな自信家で、偏見もあるが足の爪を切るのが苦手。反面、繊細で優れた観察眼を持った人物であると想像できる。歴史が彼を作家ではなく哲学者だったと言わしめる日が来るのかもしれない。トランプ元大統領と対談させたら絶対面白かっただろうと思う。海外作品もたまには読もう。
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tenori
丸いだけ、満ちているだけが月ではない。むしろ欠けているほうが月らしさなのではないか。そんな寄り添いかたをしてくれる本。誰かに『大丈夫?』と問われたときに『大丈夫じゃない』と答えられる人はどれだけいるだろう。日々訪れる変化や喪失。あふれ過ぎてしまった情報や道具への選択と順応。心の機能不全は日常と隣り合わせだ。この物語は出来すぎている。けれど、出来すぎているからこそ点る灯りがある。過剰な自己肯定はいらない。ただ自分の存在を認めてあげること。疲れたら物語に逃避しよう。クリニックは本の中にもあるのだから。
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tenori
非常に硬質なタッチと加害者家族の在り方という重いテーマが練り込まれていること。そこに端を発する事件の質と結末は完全に解決されるものではないため、読後の疲労感も相当。加害者家族が自分達を守るために作りだしたコミュニティが本来の目的とは異なる思想へ。犯罪者の血は子供に受け継がれるのか。危うい結束ゆえの集団心理。血の浄化を希求する非科学的な儀式。中盤で『魔女の原罪』なる冊子が明かされるまでの前振りが長いが、後半は怒涛。真に信ずることとは何かを問う、考えさせられる内容で、私個人としては傑作と思えた一冊。
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tenori
2000年に初版が出て、長きに渡って読み継がれている本を今さら手にしてみた。ベストセラー書であることに納得。この本には自己啓発書にありがちな「べき論」による方向性の誘導がない。読書にとっての『チーズ』とは何か。ある日、それが損なわれたとして、その先をどう考えてどう動くか。物語としての例示はありつつも、基本は読書が想像するしかなく、それが大きな意味を持たせている。核となる50ページ程度の物語は平易なので年代を問わないところも魅力。今、話題のアスリート達が愛読していたというのも頷ける一冊だ。価値のある良書。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/01/01(1942日経過)
記録初日
2019/01/02(1941日経過)
読んだ本
614冊(1日平均0.32冊)
読んだページ
154542ページ(1日平均79ページ)
感想・レビュー
614件(投稿率100.0%)
本棚
14棚
性別
年齢
54歳
血液型
B型
職業
技術系
現住所
岩手県
自己紹介

年間100冊は読みたい。読んだ本は少しでも感想を残すこと。気にいったフレーズは記録しておくこと。
そんな目標から2019年、読書メーターをスタートさせました。
通勤時間を利用して実用書(←車通勤になったのでできなくなってしまった)を、就寝前や休日は小説・文芸書を。平行して読み進めるようにしていますが、速読派ではありません。
たまにFBでも発信。

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