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2024年10月の読書メーターまとめ

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読んだ本
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感想・レビュー
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252ナイス

2024年10月に読んだ本
11

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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報道部からイベント事業部へ異動してきた守谷に指導役の名乗りをあげた吾妻が見せた1枚の絵。その絵からはじまるミステリであり、ある一族をめぐる人間ドラマ。ひとつの謎が明らかになると、付随して新たな謎が浮かびあがる。それらを追ううちに、気がつけば、ずいぶん遠くに来たような気分になった。追う側の必然性と一族の在りよう、それを許した閉鎖性。国家や時代の影響もからめて、なにがあったのかが丹念に描かれていく。最後は、それまでのさまざまな出来事や思いが去来し胸が熱くなった。
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2024年10月の感想・レビュー一覧
11

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先日、映画「薔薇の名前」を観に行った。何度観ても面白い。そこで、原作を読んでみることに。年老いたベネディクト会修道士アドソが見習だったころの出来事を語る形式で話は進む。師であるフランチェスコ会修道士のウィリアムとともに訪れた修道院で事件に遭遇、修道院長から解明を依頼される。ここからはウイリアムとアドソはホームズとワトソンのような様相。しかし、著者は哲学者であり記号学者。ミステリにとどまらない含意を持たせている。映画では描かれなかった、あるいは描ききれなかった場面もあって、読み応えあり。下巻へ。
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労働と読書の関係を明治時代までさかのぼり、時系列に沿って各時代を考察。かつて読書はエリート層の教養であったが、次第に大衆化し、いつしか娯楽となり、現代ではノイズと位置づけられる。そうした位置づけの変化には、労働環境や質の変化が影響。現代は自発的に頑張りすぎる疲労社会なのだという。たしかにその傾向は感じる。著者は「人はパンのみにて生くるにあらず」を読書として示したのだろうか。
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報道部からイベント事業部へ異動してきた守谷に指導役の名乗りをあげた吾妻が見せた1枚の絵。その絵からはじまるミステリであり、ある一族をめぐる人間ドラマ。ひとつの謎が明らかになると、付随して新たな謎が浮かびあがる。それらを追ううちに、気がつけば、ずいぶん遠くに来たような気分になった。追う側の必然性と一族の在りよう、それを許した閉鎖性。国家や時代の影響もからめて、なにがあったのかが丹念に描かれていく。最後は、それまでのさまざまな出来事や思いが去来し胸が熱くなった。
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古代ギリシア、中世、ルネサンス、それぞれの時代の哲学について編者の斎藤氏が概要を示したあと、各研究者がインタビュー形式で解説。哲学の巨人たちが後世にどのように受容されたのか、どのような影響を与えたのか。今日、偉大とされる哲学者であっても、つねに重視されていたのではなく時代の要請にしたがっていたことがうかがえた。とりわけ、宗教との関係は見逃せない。ルネサンス期の哲学、ブルーノが受けた影響、神秘思想などに興味。
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今回はホーソーンが過去に関わった事件をホロヴィッツが執筆するという趣向。2人が出会う前の事件であるため、ホロヴィッツが危険な目に遭うことはない。少し安心する。とはいえ、事件は事件で一筋縄ではいかない。そもそも、そういう人物が登場していたら、ごく自然に疑いを持ってしまう。しかし、本シリーズのなかでは、その疑わしさがトラップに感じられてくる。というか、すっきりしない。これまでのパターンとは違った展開に、本シリーズが次の段階に入ったであろうことがうかがえる。そうした大枠の構成も気になるところ。
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なにがあっても不思議ではない京都にまつわる2編。「三月の局さわぎ」では、主人公は、『坊ちゃん』に出てくる《キヨ》が好きなのだという。『坊ちゃん』をオマージュした『鹿男あをによし』がよぎる。つづく「六月のぶりぶりぎっちょう」では、大阪女学館、京都女学館、奈良女学館の三校持ち回りの合同研究発表会《大和会》が京都で開かれるという。またしても『鹿男』ではないか。どれだけ奇妙奇天烈でも、通り過ぎたものへの思いとやさしさを感じさせてくれるので、最後はほっこりできる。
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泥棒と画家が探偵役で、盗作と贋作が関係するという洒落の利いた設定。次から次へと人物たちが登場しカオスの様相。謎解きがはじまると、カオスが整理されていく。こちらのシリーズの面白さは、大正時代の雰囲気と整理されていくプロセスにあるなあと感じる。再読するならば、景色がまるで違っていそう。そしてここからの場面に息をのむ。タナトスの誘惑に満ちた仕掛は肉体にも精神にも過酷を強いる。薔薇の花にどんな意味を込めたのかも気になった。
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先端技術によって、かつてならば諦めなければならなかったことに希望が持てるようになり、世界が広がっていく。そこで気になるのが人間性。どんなに優れた先端技術であっても、使いかたによってはどうなのか、優先順位は上級国民の影響を受けるのかなど、気になる問題も織り込まれ、手に汗握る展開。迎えるラストは予想外。先端技術ばかりでなく人間の能力も進化していくのかと驚く一方で、恐怖と不安に苛まれていたであろうなかにあって、変わらないでいてほしいことが息づいていたことに感動。
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2つの物語「野生の棕櫚」「オールド・マン」が交互に進められていく構成。2つの物語は交わることはないが、対比によって、1つの物語だけでは見えてこなかったものが見えてきた。たとえば、生と死や道徳的な逸脱と法律上の逸脱など。そして、そんなことは想像することもなかっただろうと思われたのが、最後の物語を読み終えたとき。構成の作用が印象を深くしたのだと思う。
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根強く残っている女だから、男だからという社会的な要請。男性は賃金労働、女性は家事育児、結果としての家庭不和から破綻へ。本書は離婚した男性が家事を通してさまざまなことに気づいていく物語。政治的に都合のいい働きかたのシステム、家事労働の軽視、女性にかかる負担の大きさなどにもさりげなく言及し、「らしさ」は後天的であることを示している。かつては声を張り上げて平等を叫んだ時代もあったと思う。結果、人権や参政権など女性の得たものは多いが、著者の物語のうまさは、男性と女性双方にとっての幸せな関係を模索しているところ。
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緻密で丁寧。説明するための喩えに意表を突かれ、笑うこともしばしば。それまでのニーチェの印象から解き放とうとしているかのよう。気になるのは、著者が翻訳した『ツァラトゥストラはこう言った』の「訳者あとがき」での解釈。本書でも丁寧に述べられている。念のため、ニーチェの他の著書で関係しそうな箇所を読み返してみたりもしたが、著者は著者で、調べて考えた結果なのだろうと推察。ということで、ふたたび保留。岡潔のいう「感情が納得しなければ」なのかもしれないが、内心ワクワクもしていて、結論は急がないことにする。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/02/27(2087日経過)
記録初日
2019/03/07(2079日経過)
読んだ本
883冊(1日平均0.42冊)
読んだページ
252708ページ(1日平均121ページ)
感想・レビュー
822件(投稿率93.1%)
本棚
6棚
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