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2024年3月の読書メーターまとめ

レイノー
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2024年3月に読んだ本
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2024年3月のお気に入られ登録
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  • 三井剛一
  • 遊学の隠居🌊

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

レイノー
2019年刊行(フォーサイト誌及び朝雲紙初出2014~19年)。著者は東京大学名誉教授・国際協力機構(JICA)理事長。◇図。◆国際関係は多様である。多義的である。多元的である。二国間関係に限定した理解の仕方では足元を掬われると。これが国連大使を経験したこともある著者の経験的認識である。本書は、例えば、日露関係を考えるにあたっては、ロシアの他、フィンランド、グルジア、ウクライナまで含めて考え、俯瞰的かつ網目的に理解し、かかる網目状の関係性から日本の対露の立ち位置や行動準則を探り出していく。こういう観点で、
レイノー
2024/03/08 20:09

英語・仏語・西語はペラペラ。公衆を惹きつける話術も備えている。◇翻って日本の首相経験者。年寄りが多いからかも知れないが、退任後、まともに国際社会で影響力を行使できた人物がいただろうか?。著者自身、東大教授を退官後、国連職員として活動していた。これに比し、日本の首相経験者の体たらくは如何なものか。◆本筋とは関係ないかも知れないが、本書からは、外交・外交史・国際関係と地理・地質学、その変遷たる環境史はセットで理解する要があるなあと。◆参照文献。◇「物語ウクライナの歴史-ヨーロッパ最後の大国(中公新書)」

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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

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◆3/16WNまとめ(抄)。◆昭CNA。⑴インド総選挙に。①BJP。多額の政治献金受領問題。㈠選挙債購入。🉂宝くじ販売業者FUTURE GAMEING。1億6500万$。🉁メグハG。1億4300万$。㈣その他。天然資源大手ベダンタ社4800万$。通信第二位バーティG4800万$。②印最高裁。選挙債発行は憲法違反との判断。㈠購入者の匿名性。③FUTURE GAMEING。㈠詐欺と資金洗浄容疑で捜査対象。🉂数年前から。🉁一部の資産差押。④50%を占めるBJPやモディから何の説明なし。⑤野党国民会議派。

レイノー
2024/03/16 13:05

以軍の段階的撤退。🉁以軍捕虜1人あたり、50人のハマス指定のパレスチナ人捕虜・政治犯を解放。ここには終身刑判決を受けた30人を含むこと。㈣第2段階。恒常的停戦の公表と実施。これが人質解放の前提となること。㈤第3段階。封鎖解除と復興活動の開始。②以。㈠①は否定。🉂ドーハに交渉団を派遣はする。

レイノー
2024/03/16 20:32

◆中国・上海の報道を見る意味。共和中国政府が、今後何をしようとしているのか、どういう点を気にしているのか。このことを知る意味がある。共和中国政府がどういう主張を報道しているのかよりも、彼らが気にしている要素を知ることができ、これは有用。◆香港。林鄭月娥時代に比し、ダメダメ化がどんどん進んでいる。ただし米国を除く海外に関しては共和中国とは少し違う切り口がある。◆韓国はどうか。日本の地上波のテレビ報道より、遥かに政治的。日本のダメダメぶりよりは遥かにマシ。◆インドはモディ=政権与党礼賛が過ぎる。トルコも同様。

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2024年3月の感想・レビュー一覧
41

レイノー
2017年(原著「MAN (DIS)CONNECTED:How technology has sabotaged what it means to be male」2015年)刊行。著者ジンバルドーはスタンフォード大学心理学名誉教授。同クーロンはジンバルドー教授アシスタント。◇図。◆なんというか、男してはショッキングな著作である。他者との関係性が築けない男性。そのため、家族形成は勿論、職業からも脱落。その様と要因について解説する。◇具体的な模様としては、①前記のほか、肥満。ゲーム、ポルノへの耽溺。薬物、
レイノー
2024/03/31 09:35

違法ドラッグの過剰摂取などが挙げられている。◇要因としては、①変わらない男性役割像とその社会的強要。求めるニーズに対し、社会的にみて女性は認められるのに、男性は認められない法・社会的規範。②ネット環境の発展によるゲーム、ポルノへの耽溺(興奮性依存症)。③膨れ上がる自己愛と現実逃避といったことがあり、これらの相互連関も考えられると。◆いわゆる非モテ男の極北の苦悩を暴き出したということはできる。男女差別は女性が不利益を被るという形で語られるところであり、賃金格差など現実もまだ差別解消には至っていない。

レイノー
2024/03/31 09:37

ただ、これに隠れがちであるが、旧来型の男女役割分担において、男性が役割を果たせなかった場合の社会的侮蔑は男性の精神状態を長期に亘って蝕む危険性を多く孕んでいることも見過ごせない現実であろう。本書はその模様を赤裸々に解読している書だと。◆なお、対応策としては、ネット断ちと時間管理(時間割の設定かな)は兎も角、スポーツというのは目から鱗である。

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レイノー
2022年刊行。編著者新谷は㈱野村総合研究所プリンシパル(感染症流行と鉄道。未来予測。経営目線)。◇図。◆タイトルどおり、少子化・人口減少、縮退都市化の中で鉄道がいかに存続するのか、夢を語ることに意味はなく、只々廃線の時を待つのみなのか。本書では、この問題につき現状と対応策、実例など解説するが。人が居ないのに大量輸送機関の鉄道は不要だなど、身も蓋もないが、地に足をつけた当たり前の議論から出発する。そういう意味で、夢物語を語っているわけではない。ただし、富山や上士幌町など先進的取組についても解説しており、
レイノー
2024/03/31 08:57

未来への希望を失っているわけでもない。◆とはいえ、一般化することの難しさが伝わるのも確か。ある先進事例が別の場所でも成功するとは限らない。人口数、人口密度、年齢構成、学校や病院など基本的生活インフラの差、どこまで人口減少が進んでいるか、幹線・準幹線ルートとして貨物利用まで念頭に置いて維持せねばならないのか。地域性が色濃く出てくる。となれば、絵を描くのが地方自治体と市民であり、その構想力とこれを保障する権限委譲が必要となる。①駅の役割。②鉄路の機能と意義。③代替交通への変更とその帰結(とりわけ、ワゴンによる

レイノー
2024/03/31 08:57

巡回・予約制バス)。④町・村、そして都市のデザイン。⑤自動化と無人化を念頭に置くべきか。◆著者川手は同社シニアコンサルタント(ローカル線の歴史、残る鉄道・消える鉄道)、同稲垣は同社シニアコンサルタント(先進的取組と新しい地域交通像)、同衣松は同社シニアコンサルタント(生活インプラの継承)、同倉林は同社コンサルタント(生活インフラの継承)。

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レイノー
2010年刊行。東京大学新領域創成科学研究科国際協力分野准教授。◇図。◆途上国化する日本。これが見えてくるのが、購買力調整済みの一人当たりのGDPに関する国家間比較である。本書においては(2010年の段階)、既にシンガポールに抜かれ、韓国にも追いつかれようとしている。両国が途上国かは微妙なところであるが、少なくとも、日本がアジアのフロントランナーであったというのは、今から10年以上も前に過去のものとなったと見るべきであろう(元々、一人あたりのGDPは高いものではなかったが)。◆こういう現状認知に伴い、
レイノー
2024/03/31 08:02

この点は農業(の一部の産品)も同様であろう。ここで、先陣を切るファーストペンギンが必要だ。ODAなり、JICAの出番なのだろう。◇加えて、本書ではファーストペンギンとなる者の有力候補を示している。海外からの留学生である。◆ところで、本書を見ると、逆に、日本の教育・研究開発を含む弱点、企業支援政策の弱点を炙り出している印象も残る。一方で、本書においては、どのようなメカニズムでこの事態、特に生産性低迷という事態が生起したか明確ではない。ただの相関関係、つまり偶然の産物の可能性も残るところではある。また、

レイノー
2024/03/31 08:02

グローバル化=規制緩和=競争促進という単純化が顕著に過ぎる。どのような規制をどのように施し、どう展開させていくのか。これをもう少し細かく見ないと本書の調査・分析(他者の研究の引用が多いが)の価値を貶めよう。

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レイノー
2008年刊行。著者は東京大学大学院情報学環教授。◇図。◆熊本出生の在日という出自。東京大学学部生時代、全共闘世代を真正面に受け止めざるを得なかった著者。その出自からは半島統一の渇望と共に、当時の軍政下韓国に比し、自らは日本という微温湯に居たとの自覚を持つ。かつ、WWⅡを経過した日本において、政治思想の変遷を心裡に持った生活者・研究者が少なくなく、その影響下に自身も研究者の道を歩み始めた。本書はそんな戦後時代に学生時代を送った著者の青春遍歴、特に10~20歳代のそれを、著者の愛読書の追憶とともに回顧する
レイノー
2024/03/30 20:54

エッセイである。◆ちなみに、本書で紹介?される著作は、「三四郎」「悪の華」「韓国からの通信」「日本の思想」「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」である。

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レイノー
2012年(底本「古代景観の復原」1991年)刊行。著者は立命館大学名誉教授。◇図。◆地理学と考古学は共に、土地とその環境と遺物を観察・分析し、事象を解読するもの。著者が言うには、⑴人間の営為の結果として残されたものを調査する。⑵研究において地図・航空写真を利用する。⑶周到な現地調査が前提となるという共通性を有する。ここで考古学は、㈠物=物的証拠の解明に重点を置き、🉂人間の営みの時間的経過を解明目標とするが、地理学は、㈠場所=広義の遺跡を含む地域の環境・地質的状況の復原を解明目標とするものであり、
レイノー
2024/03/30 20:03

上町台地の東西貫通が実現し、その難波乃海(大阪湾)と難波灘とが水路で結ばれることとなった。著者は、この東側の開削は難工事であった(硬い天満層を開削せねばならなかったため)とするも、この水路貫通が難波津と、その東側との結節点を構築した意義を説く。初の人工津の形成であったという点でも無視できない。◆全体で見るに、内容は正直かなり細かい。考古史学という点でも、地質・地理学という点でもだ。また、本書では文献史料の言及も相当ある。文庫と侮るなかれ。密度は濃く量も半端ない。範囲は海外の地質の考古資料の言及もあって、

レイノー
2024/03/30 20:03

はっきり言って跳ね飛ばされた感満載の読後感。もう少し深めてから再読したい。

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レイノー
2016年刊行。著者は立教大学経済学部教授。◇図。◆斎藤幸平氏ら(多分著者もその1人かと)が言うように、カール・マルクスの主張は、未完の資本論では完結していない。それはマルクス晩年の変容を見なければ理解できない。マルクスの変容を把握するには資本論の静態的分析では足りず、青年期マルクスから最晩年(読書ノート)に至る思索遍歴から把握せねばならないと。かかる観点で、本書は全体を3分し、①青年期マルクス(1818年~48年)。②資本論執筆時マルクス(48年~67年)。③晩年のマルクス(67年~83年)とし、
レイノー
2024/03/29 20:28

意義を措定した。元々は自然循環のみの思考であったが、ここに人の営為と物質代謝との関係を措定し、人の営為が往々にして物質代謝連関を擾乱させることに意識が向いた。その端的な例が収奪農法による農地疲弊である。人の営為が環境の悪化を導いた典型例だと。◇他方、物質代謝連関を正常なものにするには、これが正常であった頃の社会システムに目を向ける必要がある。ここでマルクスが想起したのは古代共同体社会。共同体研究に精力を注ぐことになる。これは、若き日の自らとの決別でもあり、前近代共同体への回帰と反グローバニズムという

レイノー
2024/03/29 20:29

帰結に辿り着いた。◇ここでマルクスが考えたアソシエーション(組合)とは、生産手段国有化とか、国家的計画経済ということではない。アソシエーションの実現において、経済とその価値を構築する労働のシステム変化が必要になるのであり、それは協同組合が自主的な生産活動を行うものであり、かかる協同組合が複数で協同関係を結びあい、連合することで社会的生産を調整し合う。著者はかように解読している。

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レイノー
2017年(原著「Simpler」2013年)刊行。著者はハーヴァード大学ロースクール教授(憲法・行政法・環境法)、第一次オバマ政権行政管理予算局情報・規制問題室室長。◇図。◆国家による規制は必要だが、シンプルでなければならない。オバマ政権で情報・規制問題室のトップを務めた人物に依る国家規制論である。◇若干の具体例として、小児肥満問題、運転中の携帯電話仕様による脇見運転と交通事故問題などの政策課題について言及している。◇尤もオバマ政権への参画から政策立案の模様まで自叙伝的に回顧するところも少なくない。
レイノー
2024/03/26 23:21

◇あと、政策の事後検証と、政策変更に繋げる慣習の確立は必須の大前提だろう。◆参照文献。◇「マネーボール」→ https://bookmeter.com/reviews/31422658◇ ◇「隷従への道-全体主義と自由」→ https://bookmeter.com/reviews/79914757◇ ◇「ファスト&スロー-あなたの意思はどのように決まるか?(ハヤカワ文庫)」上→ https://bookmeter.com/reviews/68181452

レイノー
2024/03/26 23:22

下→ https://bookmeter.com/reviews/68501400◇ ◇「貧乏人の経済学-もういちど貧困問題を根っこから考える」→ https://bookmeter.com/reviews/60491226

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レイノー
2019年(原著「BANK4.0:Banking Everyhere,Never at a Bank」2018年)刊行。著者はテクノロジー・フューチャリスト。◇図。◆銀行が、通貨を取扱い、信用供与を基礎とする業態であるならば、通貨と信用供与のDXがどうなるか、予想は如何なるものかということになる。信用供与や預金に関してはインターフェイスがスマホなどになることや、信用度調査が定量的になるという可能性はある。あるいはアプリがポータルサイトの役割を果たし、口座開設者には金融情報を随時提供することも想定される。
レイノー
2024/03/25 18:51

◇尤も、通貨のDXはなかなか想像しにくい。決済機構がオンラインというだけなら、クレジットなど現金化されていない決済が既に多く存在していることからして現状と特に変わるとは思えない(ただし銀行業務としては別儀)。価値保持機能についても、①暗号資産の投機商品化状況が続けば、一般通貨を代替するのは不可能であるし、利用されないだろう。また、通貨の信用力の裏付けを想起できない点も利用されない理由だと。◆勿論、イノベーションのジレンマは当然起こり得る領域。◇もう一つ払拭できない点はマネロンのハードルが異様に下がること。

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レイノー
2019年刊行。著者はノンフィクションライター・慶應義塾SFC特別招聘教授・上智大学新聞学科非常勤講師。◇図。◆読売新聞(及び若干の日経新聞)、そしてヤフージャパンの電子ネットワーク時代の報道行為に関する奮闘記である。そして、何れもが、結局は、イノベーションのジレンマが現在進行形で発生していることに尽きる。◇しかしながら、大手新聞社は結局は紙に回帰していることは本書からは疑うべくもない。この点では、デジタル新聞提供機関としては、日経新聞に一日の長があると指摘されており、理解できるし納得できるところ。
レイノー
2024/03/24 18:44

だが、その上で、社内の透明性については、著者は疑問符をつけている。報道機関としても、ネットワークビジネスとしても、発展性に疑義を持ってしまうのは避けがたい。記者の顕名記事を増やしスター記者を生み出そうとしている日経。さらにはネット新聞の方が記事数が多い日経ですらこうなのだから、他は推して知るべし。

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レイノー
1998年(原著「HISTORY WAR:The Enola Gay and Other Battles for the American Past」1996年)刊行。◇図。◆スミソニアン国立航空博物館のエノラ・ゲイ展。これに伴う論争とその結末。これは米国人のアジア太平洋戦争観を雄弁に語り、正義を纏った粉飾ぶりは今更の感(尤も日本軍も褒められたものではない。念の為)。勿論エノラ・ゲイ展の推移に関し、概要は既知だったし、論争の核に米国政府が喧伝し続け、特に強力なロビー団体たる退役軍人協会が支持する米国聖戦・
レイノー
2024/03/22 19:47

同M.S.シェリーはノースウエスタン大学歴史科教授(米国人の愛国文化の変質-愛国から宗教、そして夢想)。同P.ボイアーはウィスコンシン大学マディソン校歴史学教授(原爆使用非正当化論の系譜と現代的意味)。同R.H.コーンはノースカロライナ大学チャペルヒル校歴史及び平和・戦争・国防教育課程講座教授、トライアングル防衛研究所事務局長、元軍事史協会会長(危険な状態-歴史研究の政軍による歪曲)。同M.ウォレスはニューヨーク市立大学ジョン・ジェイ・カレッジ歴史学教授(文化戦争-虚構に塗れた寓話vs.真実追求の歴史)。

レイノー
2024/03/22 19:47

同M.B.ヤングはニューヨーク大学歴史科教授(ヴェトナム戦争とアジア太平洋戦争)。

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レイノー
2014年刊行。著者は国士舘大学21世紀アジア学部教授(日本文化論、日本生活文化論)。◇図。◆タイトルからは一寸予期できなかったが、「農耕儀礼」としての動物供犠に関する解説書である。肉食を維持した中国大陸・朝鮮半島は勿論、沖縄でも当該供犠は存在する。他方、肉食を禁止した列島(南西諸島を除く)はどうか?、農耕儀礼はおろか、あらゆる動物供犠を行っていなかったように見える。確かに文献史上では明確ではない。しかし、仔細に見ると著者は異なる様相が見えてくるという。◆日本への動物供犠儀礼の流入に関して言うと、
レイノー
2024/03/22 05:39

かつて何故そこまで必要としたのか、それは共通の心性に基づくものか、それとも地域差があるのかは、タブーであるが故に追求する価値と責任が研究者にはあるのだと思う。◇とまあ色々あるが、動物供犠が農耕儀礼としても歴史的に列島の何処かでも行われていたという事実を知れたこと自体は意味がある。◆参考文献。◇「海上の道(岩波文庫)」→ https://bookmeter.com/reviews/59406899◇ ◇「南からの日本文化 上-新・海上の道(NHKブックス)」

レイノー
2024/03/22 05:40

→ https://bookmeter.com/reviews/57887068◇ ◇「南からの日本文化 下-南方農耕の探究(NHKブックス)」→ https://bookmeter.com/reviews/57912384

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レイノー
2017年刊行。著者山崎は首都大学東京名誉教授。同久保は早稲田大学教育・総合科学学術院教授(自然地理学・地形学)。◆タイトルどおりの書であり、特に、地域毎の地質・地形形成の特徴を開陳しているのが特異な部分であろう(ただし沖縄など南西諸島の特徴の言及はない)。◇関東平野は沈降している。大陸側プレートの端に位置している関東平野は太平洋側の各プレートの沈み込みにつれて沈降し続けている。そうであれば、東日本大震災の要因の如き揺り戻しが起きた場合、巨大地震の発生機縁となるのでは…。◇また、同地は海盆と呼ばれ、本来は
レイノー
2024/03/21 18:16

浅海を構成するはずであるが、伊豆半島が列島を北へ押上げることにより関東平野は西側からの隆起圧力があり、結果、関東平野域を海面上まで表出せしめるほどのもの。◆三陸リアス式海岸。⑴川がないか、流域が短い。⑵海水面から高すぎず、低すぎず。高すぎれば波に洗われることがなく、低すぎれば砂州が形成。通常時は隆起していればリアス式が維持されやすい。⑶地層の岩石が固いこと。などである◆参考文献。◇「富士山-大自然への道案内(岩波新書)」→ https://bookmeter.com/reviews/109935544

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レイノー
◆2010年刊行。萩博物館特別学芸員・山口福祉文化大学特任教授・防腐天満宮歴史館顧問。◇図。◆タイトルどおり、長州奇兵隊の高杉晋作の日記集積(現代語訳)とその簡単な解説、さらに高杉の人生行路について一応の解説を加えた書である。ただし、日記は1864年頃迄で、四国連合艦隊下関砲撃事件やそれ以降の日記は収録されていない。◇剣豪のイメージの強い高杉だが、意外に読書家。特に世子定広の小姓の時、また脱藩冤罪の入牢時の読書は相当である。入牢時の読書目録は日記にはないが、小姓時代には様々な漢書・和書に目を通している
レイノー
2024/03/20 22:05

(海国兵談と熊沢蕃山著作の書が印象に残る。ただし洋書は言及されていない)。◇また結核で死ぬことになるが、死の数年前から治らない風邪に悩まされていたことが判る。

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レイノー
1994年刊行。著者は立教大学教授(近現代文学、サブカルチャー・ポップカルチャーを含む総体的文化論)。◇図。◆昭和30年代。後半期に漸く高度成長が始まった時代。戦前の価値観が残存しつつ、新たに米国的価値観も肯定的に流入し始めた時代。純潔は当然視されつつ、それは純愛に基礎づけられるものでなければならなかった。本書はその時代相が、小説、映画、ポピュラーミュージックなどに反映されているとし、その様相をいくつかの作品と内容、さらにその叙述から敷衍的に解説する書である。著者流に言うと、純潔規範と向かい合うことで
レイノー
2024/03/20 21:12

研ぎ澄まされていった「純愛」思想を鍵として昭和30年代精神の形を明らかにしようとした書ということになる。◆確かに、純潔規範は(しかも、女子だけ規範というのが、昭和の時代相と男女偏頗ぶりを雄弁に語る)昭和最後期から平成初期にも、徐々にくずれ始めてはいたが、結婚における価値基準としては基本的には維持されていたことからして意味のない解析とは言いにくい。しかし、本書でアンチテーゼ的に提供される文部省の純潔教育委員会の提示する純潔教育基本要項(マニュアル)の歪さと気持ち悪さ。更に言うと、抑圧的で悪しき上からの啓蒙的

レイノー
2024/03/20 21:12

規範提示を見るにつけ、学校教育の気持ち悪さの部分が虫眼鏡で見るかように拡大されて示されていることは明らかである。◇典型が、国語の教科書に漱石の「こころ」を導入したことの意味解読である。これは「こころ」が国語教科書に登載されたことは文部省としては純潔教育の一環。道徳教育の発現であろう。鬱陶しいこと極まりないが、この問題が、学校教育営為の奏効性に対する過大評価、過剰な思い込み・思い入れであり、文部省の上から目線が雄弁に語られる要素とも言える。

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レイノー
2024年刊行。◇図。◆本号のメインテーマは、①ありえない物質を作る。サブテーマは、②ビックデータの幾何学である。◆①について。テーゼとしては、元素は混ぜると化けるというもの。まるで錬金術である。普通は元素を混ぜても化けずに、分離するだけであるが、その理由は還元スピードに差があるからだと。ならば、その差をなくせば良い。ということでその方法を模索することになったのだが、還元剤を一般的なエタノールからトリエチレングリコールにしたこと。◇ここでルテニウムとパラジウムを混ぜると疑似ロジウムができる(らしい)。
レイノー
2024/03/20 19:16

◇創傷治癒の過程で作用する血小板第4因子(PF4)というタンパク質が学習・記憶能力の改善を齎したというマウス実験結果が公表。老齢個体に精製PF4を血中投与すると、様々な免疫細胞が活性化し、若年個体のそれに近づいていったと。とりわけ海馬の有害な炎症が軽減していた。◇ドックレースとその開催縮小、レース参加犬の市井拡散が齎した耐性菌蔓延。◇ヒョウとヒトとの共存方法の模索。ヒョウの基本的行動パターンと攻撃衝動発動要因の正確な理解だという。印ムンバイをベースにした研究だが、ここでは市街地・民家近くのトラ出没を報道。

レイノー
2024/03/20 19:17

全国規模での報道である以上、極めて珍しい状況ではあるが、とはいえ、ネコ科の大型肉食動物との共存は地元においては重要な政策課題なのだろう。

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レイノー
◆2008年(原著「RETHINKING BRITISH DECLINE」2000年)刊行。◇図。◆経済衰退。それは経済成長の対極であり、米国、そして独・日。さらに中・印に追い抜かれたイギリスこそが、衰退論のメッカとして強い問題意識を有してきたと言える。しかもそれは1世紀以上にも及ぶ長期の問題意識。◇ここで本書編者が言う問題意識とは、具体的には、①19世紀末以来続く衰退論が、経済史・政治史に関する理解をどこまで、どういう意味で深められてきたか。②衰退論が繰り返し生起され、影響を与える理由如何である。
レイノー
2024/03/20 08:47

◇寄稿者R.エクレシャルはクィーンズ大学(ベルファスト)政治学教授(政治的に悪用される衰退論)。同M.J.スミスはシェフィールド大学政治学教授(衰退に応答する制度論)。同M=T.フェイは北アイルランド内暴力行為の対一般市民影響力分析プロジェクト研究員、元クィーンズ大学助手(EU統合とイギリス衰退)。同E.ミーハムはクィーンズ大学政治学教授兼ジャン・モネ記念欧州社会政策学講座教授(EU統合とイギリス衰退)。同H.ホーヘンベークはアムステルダム自由大学政治・行政学科教員(グローバリゼーションとイギリス衰退)。

レイノー
2024/03/20 08:47

同R.オーヴェンデイルは元ウェールズ大学国際政治学教授(帝国イギリスの終焉)。同R.イングリッシュはクィーンズ大学講師(イギリス衰退論総括)。同M.ケニーはシェフィールド大学政治学講師(イギリス衰退論総括)。

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レイノー
1983年刊行。著者は中京大学教授・名古屋大学講師。◇図。◆馬賊というのは様々な属性がある。日本人の大陸浪人くずれ、日中問わず壮士気取りの人物。日本軍・官憲の犬。中国人やモンゴル人の反満抗日分子や、満州国の大官就任者等々。総じて裸一貫、大陸で名を挙げ、富と権力を得ようと志す人物像が想起される。しかもその淵源は、日清戦争の頃に遡及でき、明治以降の近代日本と、清朝末~民国成立、満州事変後に至るまで、常に中国東北部や蒙古地帯で跳梁跋扈していた存在である。本書はその”馬賊”につき、頭目の為人や事績について
レイノー
2024/03/17 17:31

(28年1月)。⑵同年4月北伐再開。北京政府の重鎮かつ奉天軍閥総帥の張作霖の打倒目的。⑦張作霖支援の日本軍。⑴北伐進展に伴い。第二次山東出兵へ。⑵済南にて、北伐軍vs.日本軍の小競り合い。⑶⑵により、北伐軍は迂回して北京入城を目指す。津浦線(南京対岸の浦口・天津感)と京漢線(北京・漢口)の利用。⑷奉天軍敗退。北京落城間近。⑧日本軍、張作霖に要求。⑴北京撤退。⑵満州確保。もし受諾せぬ時は、奉天軍も北伐軍も長城以北への武装進入を許さないと。⑨張作霖vs.関東軍。⑴日本政府と日本軍中央は一応、張作霖支持・支援。

レイノー
2024/03/17 17:31

⑵ただし関東軍は中央とは同調せず。⑶⑵の理由。1925年から進んできた満鉄包囲・並行線建設計画とその実施。⑷1927年には具体化。同年10月。満鉄培養5線の敷設権につき、関東軍と満鉄理事による強迫的承認要求により張作霖が受諾。⑸1928年5月に正式妥結。⑹翌6月、河本大作による張作霖爆殺事件発生。

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レイノー
1986年刊行。著者は藤沢市立総合市民図書館参与・中央大学講師。◇図。◆現代図書館は、建物や書籍などハードの発展と共に、どんな図書を収蔵するかというソフトの部分とこれを支える基本的理念・思想、その思想を生む現実の学問・科学などの発展と緊密に連関している。本書は、その創始ともいうべきアレクサンドリアの模様から現代に至るまでの世界、そして日本の図書館の模様を開陳し、手書きから活字、そして現代(といっても前世紀)の情報化時代へ至る図書館の変遷を解説する。◆まずは図書館の歴史。プトレマイオス朝のアレクサンドリア。
レイノー
2024/03/16 16:50

種類の豊富さ、雑誌文化の価値の向上などであって、目を引くところは多くない。また、図書館のオンライン化も本書にあるのはその端緒に過ぎず、現在、有料・無料の動画配信サービスなど、動画すら配信に乗る時代からするといかんせん古い。府県単位で1冊しかないような著作の場合(古い著作)、画像配信のような形で提供した方がより広範かつ高利便性を実現できるはずだが、当然、そのようなことは本書では書かれていない(刊行時からして無理もないが)。◆参考文献。◇「歴史を動かした発明-小さな技術史事典(岩波ジュニア新書)」

レイノー
2024/03/16 16:50

→ https://bookmeter.com/reviews/96823900◇ ◇「江戸の本屋(中公新書)」上→ https://bookmeter.com/reviews/110004411 ◇下→ https://bookmeter.com/reviews/110030235◇ ◇「増補版 現代政治の思想と行動」→ https://bookmeter.com/reviews/112196305

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レイノー
2012年刊行。著者は株式会社ダイナミックプロダクション出版企画部部長・作家。◇図。◆トキワ荘。昭和戦後時代のマンガ家の梁山泊であり、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄の2人など多くの人材が育ち、巣立っていった。ただ、そのメンツが共同・独力でアニメ制作会社を設立した話は公知とは言えない。私自身、本書読破までよく知らなかった存在。本書監修者鈴木のほか、石森章太郎(当時)、赤塚不二夫(後に)、藤子不二雄の2人とつのだじろう等が設立した「スタジオゼロ」の伝記的回顧録。これが本書。「おそ松くん」(第一作)、
レイノー
2024/03/15 19:56

内容は何ということはないが、後年、超時空要塞マクロスなど超時空シリーズ(マクロスシリーズではない。念の為)や、輪るピングドラム、魔法少女まどか☆マギカなど、放映局は東京のTBS系列だが、製作は大阪の毎日放送が担当した作品が数多く存在している。その萌芽とも言うべきエピソードだからである。◆参考文献。◇「作画汗まみれ(アニメージュ文庫)」→ https://bookmeter.com/reviews/31834862◇ ◇「テレビアニメ魂(講談社現代新書)」

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レイノー
2015年(底本2012年。「小説すばる」誌初出11~12年)刊行。著者はノンフィクションライター。◇図。◆GNPならぬGNH提唱で知られるブータン。そこにいるとされた伝説の雪男ミゲ。この話しを生物研究者から聞いた著者は、ブータン政府・農業省の肝煎りで共同プロジェクトを立ち上げることを奇貨として(というより、体よく当該研究者に利用された感なきにしもあらず)ブータン訪問を決断。本書はその道中を記した著である。◇ではミゲとは何か?。巨大で毛むくじゃら、大きさは変化する。その匂いは臭く、まるで山椒と腋臭とが
レイノー
2024/03/14 18:47

していくことは十分納得できた。著者は次のように言う。一般にはブータンは、長き鎖国国家→近代に乗り遅れた国家→周回遅れが高じ、却って現代社会にてブータンの環境重視・循環型社会を見直すようになったとされている。しかし、それは違うのだと。著者は、ブータンは伝統性と西洋近代性とが人為的に丹念にブレンドされた人工国家である。国民に如何にストレスを与えず、幸福な人生を全うしてもらうかを考え抜いたディズニーランドのような社会であると。その根拠として著者が提起するのは、(充実の)英語教育、経済と分離した環境政策、

レイノー
2024/03/14 18:47

行政機構の丁寧なインフォームドコンセントと指導、伝統と近代化の統一(統合・合一)であるが、なるほど感が強い。また、経済成長ではなく、経済一辺倒ではないGNH指標の活用もこの一に加えることができるだろう。◆ところで、あの中尾佐助氏のお弟子さんが、JICA職員としてブータンで生活し、プータンのために尽くし、結局、骨を埋めるまでに至ったのはちょっと驚く。

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レイノー
2020年刊行(朝日新聞連載初出2018~20年)。◇図。◆2018年から2020年、すなわち、トランプ米政権と習近平政権下の米中関係、これに付随する国際・経済・交易問題に関する朝日新聞の連載記事を、加筆訂正の上で纏めた書である。トランプ政権の対中政策をバイデンも踏襲しており、本書記載の状態が継続中と見ることも可能だ。◇勿論、もしトラの場合は、第二次トランプ政権が当該政策を踏襲することも想定され、そういう意味で、ある種の未来の書と言えないわけではない。◇ただ叙述内容にさほど意外なものはなく、おさらいの
レイノー
2024/03/13 20:44

2018年には民国中国と断交、共和中国との国交を樹立した。さらにFMLN政権を選挙で破った新大統領も、当初は米国(トランプ政権)の意向を踏まえようとしたが、自国の財政的な脆弱さから、逡巡しつつも共和中国との関係を重視する姿勢を隠してはいない。⑥ちなみに、ラウニオン港は、元々は日本がODAにより、円借款で工事費の半額の支援を受けて建設されたものである。アフターケアは勿論、すぐに泥土で埋まってしまうような場所に港湾建設をすることの吟味もせずになされたことは明らかである。◇逆に言うと、共和中国系企業の行動が

レイノー
2024/03/13 20:44

経済的合理性に依拠したものではないことの証左とも言える。そしてこの実例は、他の地域、例えばマーシャル諸島など、太平洋島嶼国にも妥当していることが本書で示されている。

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レイノー
2010年刊行。著者は管理栄養士(元一等海佐。なお護衛艦補給長歴あり)。◇図。◆海軍食レシピ47選が章立てされているものの、タイトルどおりの書とは一寸言い難い。特に戦艦大和限定の食堂の話しは少なく、基本的には海軍艦艇の食につき多くの紙幅を割く。また旧海軍とは無関係の自衛隊時代の思い出話も少なくない。◆さて貴重な真水。風呂の残り湯で飯を炊いたとか炊かなかったとか…。◇メシの美味さは調理員長次第。特に小型艦艇では影響が大。◇沢山いる下士官向けには学校給食的な大量調理が必要で、それに即した調理であることが
レイノー
2024/03/13 20:16

要求される(だから、カレーとか肉じゃがのようなものが重宝される)。が、士官は少ないので、手の込んだ専用の料理を用意できる(肉の網焼き)。◇仏に淵源のある料理が少なくない(といっても揚げドーナツの材料として小麦ではなく米を使うなど、日本流アレンジは少なくないが…)のは、海軍のスノピシズムの表出といったら怒られるかな。

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レイノー
2012年(原著「HEART OF A SAMURAI」2010年)刊行。著者は劇作家・児童文学者。◇図。◆言わずと知れたジョン万次郎、中濱万次郎の評伝的小説である。著者初の小説らしい。万次郎の行動において、随所にアメリカ人が好きそうなところが見え隠れする。実際、万次郎のように、異国の少年が、人種の枠を越えて、未知のアメリカにたどり着き、成功を遂げることは、その開拓精神と好奇心が彼の行動なり思考として発現しており、好みの存在と言えるのだろう。◆とはいえ、実は万次郎の生き様の面白さ帰国後にあるのかも、と。
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レイノー
1999年(原著「THE MIND OF A SAVANT」1995年)刊行。著者らの略歴不明。◇図。◆邦題は少し誤解を招きそうである。原題からすればサバン症候群の症例紹介であり、得心した。が、逆に関心が薄れた面もあった。◇とはいえ、多数の言語を操りながら、意味との関係で文法的な間違いを来すというのは、理解してはいても、腑に落とすことは容易ではない。またサバン症候群の青年の言語の働きとモジュール性を明らかにするために、ギリシャ語など多数の言語を用いた質問の他、人造言語あるいは文法的にありえない語用を用いて
レイノー
2024/03/11 21:01

モジュールを措定することはできない。ただし、中央集権的に影響を及ぼすモジュール(心の理論がこれに相当するという)も断片的・部分的には存在する。⑤第2言語習得時においても、普遍文法(UG)能力が活用される。ただし、第1言語習得に際してパラメータが既定されていることもあり、その修正に時間を要するというもの。◇なお、著者略歴が訳者あとがきなどにも書かれておらず、難がある。◆参考文献。◇「言語を生み出す本能(NHKブックス)」上→ https://bookmeter.com/reviews/32266533

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レイノー
2001年(原著「THE INNOVATO`S DILEMMA」2000年(初版原著1997年))刊行。著者はハーバード・ビジネス・スクール教授(元ボストン・コンサルティング・グループ製品製造戦略コンサルティング担当)。◇図。◆いわゆる大企業病にメスを入れた本書は、ビジネス・イノベーション、企業体イノベーションを議論される際、殆ど常に引用される書だ。それ故、内容は多くの関連著作で語られており、逆に驚くべき点は多くはない。◆が、破壊的技術の取込みに関しては、流石に先駆的論考だけあって、納得いくものである。
レイノー
2024/03/11 18:34

⑴破壊的技術は、顧客がそれを必要とする組織に任せ、中核は資源投入を行うのみ。⑵⑴の組織は小規模・独立的なものとする。⑶失敗は厭わず。初期の努力は学習機会と捉え、データ収集を重視。修正は収集データで適宜。⑷破壊的技術の対象市場は、主流市場とは別のどちらかというと魅力の薄いもの。市場形成とその確立が重要。とある。そして⑸市場形成にあたっては、顧客との対話・顧客訴求に対する嗅覚こそが重要で、性能は二義的でしかない。本書においては、その具体例が提示されているのは言うまでもない。◆なるほどなぁ、と思わされた実例は、

レイノー
2024/03/11 18:34

ハーレー(ダビッドソン)対ホンダ(スーパーカブ)の対抗関係(とはいえ、両者の主戦場は違う)。そしてハーレーの小型バイク参入の失敗(販売店の反乱)。

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レイノー
2013年刊行。著者は慶應義塾大学、聖心女子大学、ビジネス・ブレイクスルー大学講師。◆タイトルどおりの書。本書の肝は、①質問力(他人や、他者の著作や表現は勿論、自分に対しても)と②書くことの重要性であろうか。後者②については、結局のところ、理解のためにも、記憶のためにも、整理するためにも、書くという作業による可視化が不可欠・不可避であるという点であり、十分首肯できる。◆前者①については、質問力を磨く姿勢というか、指向というようなものが意義深い。質問力のコツは、視点と緻密さだと。視点に関しては、立場・地位・
レイノー
2024/03/10 17:10

考え方・好悪の情など多義的・多様な方向で行うという点が強調される。その際、やはり本書が指摘するように弁証法的発想で見て、思考するというのが簡明かつ有用なスタイルなのだろう。◇ただバカ正直に質問を考えるというだけではなくて、イジワルな視点で質問を組み立てて見ると、粗が見えてくるというは理解できる(酒井順子氏的な視座かな)。◆これに対して緻密さに関しては、例えば、質問において、⑴5W1Hを考えに組み込む。⑵ファクトの重視と、その根拠を詰めていくことといった点が目に止まった。

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レイノー
2017年刊行。著者はジャーナリスト。◇図。◆今は昔、TPPを梃子に米産豚肉を日本市場に大量投入しようとしていた。その米交易業者とその組合の強圧的交渉の実像、その淵源としての豚肉輸入の歴史や豚肉絡みの交流の歴史を開陳する書である。また、農業関連でいうと、買い負け日本ということで共和中国の行動が出てくるのはもはや自明。そして畜産業分野でも鍔迫り合いが続き、米中のルール構築競争に発展している。その様も車の両輪の如く叙述の柱に据えている。◆端的に物足りない。①アメリカについて。⑴安全性の毀損の科学的・化学的・
レイノー
2024/03/09 13:15

それは基準値を大きく上回るものであった。⑸問題は都市化・工業化だけではなかった。農業自体も単収増を狙い、化学肥料などを大量に利用するようになった。これを緑の革命と言えるにしても、土壌汚染は深刻化し、さらに地下水ばかりか河川も汚染するようになった。⑹⑶⑷⑸が相俟って、出来たのが豚の死骸と米の汚染。米のカドミウム含有量が基準値を大幅超過している事実と、上海の川に豚死骸が大量流出していることを見れば、その深刻さは筆舌に尽くし難いことが判ろうもの。◇この点習近平は福建省勤務時代、この事実を公言し、「毒食」危機を

レイノー
2024/03/09 13:18

訴えたことで知られている。意外なエピではある。◆さて、食品の安全性検査の点では、実は米中ともどっちもどっちで、あえて言うなら、対外的に欧州基準に合わせようとする共和中国の方が厳格対応とも見える。他方、日本の基準は国産と輸入品とでダブスタだというのが、著者の解読だ。当然、競争条件が違うのは勿論。だからこそ、米国産の長所たる安価につき、その淵源が国の補助金支給にあることを疑い、競争条件が同一かを緻密に調べる必要がある。後者の点は、本書は全く触れないが、逆にこのことの意味を感じさせられた。そういう一書。

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レイノー
2019年刊行(フォーサイト誌及び朝雲紙初出2014~19年)。著者は東京大学名誉教授・国際協力機構(JICA)理事長。◇図。◆国際関係は多様である。多義的である。多元的である。二国間関係に限定した理解の仕方では足元を掬われると。これが国連大使を経験したこともある著者の経験的認識である。本書は、例えば、日露関係を考えるにあたっては、ロシアの他、フィンランド、グルジア、ウクライナまで含めて考え、俯瞰的かつ網目的に理解し、かかる網目状の関係性から日本の対露の立ち位置や行動準則を探り出していく。こういう観点で、
レイノー
2024/03/08 20:09

英語・仏語・西語はペラペラ。公衆を惹きつける話術も備えている。◇翻って日本の首相経験者。年寄りが多いからかも知れないが、退任後、まともに国際社会で影響力を行使できた人物がいただろうか?。著者自身、東大教授を退官後、国連職員として活動していた。これに比し、日本の首相経験者の体たらくは如何なものか。◆本筋とは関係ないかも知れないが、本書からは、外交・外交史・国際関係と地理・地質学、その変遷たる環境史はセットで理解する要があるなあと。◆参照文献。◇「物語ウクライナの歴史-ヨーロッパ最後の大国(中公新書)」

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レイノー
2007年刊行。著者は東京都江戸東京博物館学芸員・國學院大学非常勤講師(日本近世史)。◇図。◆タイトルからして天璋院篤姫、あるいは皇女和宮を想起するのは明らかだが、本書を読むと、対象はもう少し広く、大奥概論-天璋院篤姫伝を中心に-との趣きの書ではなかろうか。◇本書が解読した史料から見ると、篤姫とは相当に気の強い女性であったことが伺える。気位も決して低くはなかったよう。◇一方で、鳥羽・伏見戦の後、東下する官軍に対し徳川宗家を守るべく、和宮と共に奔走した様、徳川宗家に残留し、後進の育成に尽くした様を見れば、
レイノー
2024/03/10 16:53

京へと移る中、将軍御台あるいは前将軍御台としての影響力を行使できたかは難しい。実際、本書の叙述でも、1858年の家定死去から一気に1862年の和宮降嫁の辺りに飛んでいる。つまり日米修好通商条約、安政の大獄、桜田門外の変は全く触れられず(史料に乏しいのかも)、和宮降嫁からさらに幕末鳥羽伏見の戦いに飛んでいる。このことが篤姫輿入れの実の無さを雄弁に語っている。が、篤姫に何ら責任がないことを考えると、酷に過ぎるか。◆なお、あの島津斉彬の死因が毒殺ではなく、病死(赤痢)というのはトリビア(当時、コレラ疑惑も)。

レイノー
2024/03/10 16:53

◆参考文献。◇「最後の江戸留守居役(ちくま新書)」→ https://bookmeter.com/reviews/12468070◇ ◇「幕末・維新-シリーズ日本近現代史1(岩波新書)」→ https://bookmeter.com/reviews/12765537◇ ◇「旗本夫人が見た江戸のたそがれ-井関隆子のエスプリ日記(文春新書)」→ https://bookmeter.com/reviews/12735077

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レイノー
2003年刊行。著者は白百合女子大学教授・東北大学名誉教授(古代ギリシャ哲学)。◇図。◆ヨーロッパ思想の基底には、①ギリシャ思想と②ヘブライ信仰とがある。そして、①は、⑴人間の自由と平等に対する自覚。⑵理性主義。他方、②については、⑴唯一の絶対神への帰依。⑵人はその神に擬えてできた優越的存在。⑶イエスが教えた愛。といったものが存する。かかる著者の立場から、西洋哲学に解説を加え、西洋の文明的淵源を解読しようと試みる書である。◇とまぁ、一見して目指すところは気宇壮大。とても新書レベルで収まりが付くとは
レイノー
2024/03/08 12:39

思えないし、現に収まっていない。アリストテレス(と+αとしてのプラトン)、新約聖書(+αとしての創世記)に絞るという手もあったように思うが…。◆そして後半は近代哲学。理性・認識。社会哲学と正義。実存・生き方に筆が及ぶ。ここになると、元より一読了解というわけにはいかないものの、叙述に対するリアリティを感じ取れるので、宗教や神話、古代哲学とは一線を画したものとして読み進められた。◆本書は大学の学部生で専門科目を一度通した3回生終わりくらいに読むと、各科目の礎を感得しやすくなるのかなと。

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レイノー
2018年(原著「MATH DOESN`T SUCK:How to Survive Middle-School Math without Losing Your Mind or Breaking a Nail」07年)刊行。著者は女優・声優(カリフォルニア大学ロサンゼルス校卒・数学学位取得者)。◇図。◆タイトルどおり数学、というよりも算数の基本的計算手法を様々に説明する書。素数・素因数分解、分数・小数やその計算に言及。こういう書でいつも思うが、この書をスラスラ読めるなら、おそらく小学算数では躓いていない。
レイノー
2024/03/06 13:02

他方、算数で躓いている子は、この本をスラスラ読めないといったことが想起される。◇あるいはLDの一種とされる算数障害の人たちにこの本が役に立つのかというのは、正直なんとも言えない。◆それ以上に拙いのは、本書では、分数の割算が、なぜ逆数の積として計算されるのかということの意味。÷という数式の持つ意味が全く説明されておらず、単に計算練習の方法論の解説に留まっている。こういう書であれば、ごちゃごちゃ説明しないで、公文式のようなスモールステップでの練習、端的にスピード上げるための百ます計算(十マス計算)や、

レイノー
2024/03/06 13:02

算盤のような計算のイメージング化の方が良いのではないかと思う。◇勿論、こういう書では中学受験の算数の基礎の基礎にすらならない。つまり、割算、その帰結としての分数が、小学校最大の算数のヤマである比(つまり数的関係性の把握)とどのように繋がっていくのか見えてこない。

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レイノー
再読。旧石器捏造問題の発覚前における、旧石器時代、縄文時代の著作ということに注意が必要。
が「ナイス!」と言っています。
レイノー
2001年刊行。著者は新潟大学人文学部助教授(モンゴル歴史研究所研究員歴あり)。◇図。◆タイトルどおりの書だが、勿論、モンゴル帝国成立前史の他、チンギス・カーン死亡後にも言及されており、「モンゴル帝国の考古学」の方がしっくりくる。また遺跡というか、長城や城などの建築物も相当程度言及される。また、当たり前といえば当たり前だが、チンギス・カーンは皇帝であっても遊牧民であるから、季節移動は常態化していた。移動距離は17km/日を越えない。一箇所で一泊のみで、連泊はしない、と。◇ところで、あの「元朝秘史」の
レイノー
2024/03/05 19:23

実施も宜なるかな。◆元の滅亡。⑴1350年頃からの気候変動が中国穀倉地帯を直撃。食糧不足が民衆を暴徒化・難民化に。朱元璋の下への結集・大規模反乱。⑵元朝最後の皇帝・順帝トゴン・テムルはモンゴル高原に退避。その際、彼を迎えるための「パルス・ホト城」をヘルレン河辺りに建設したと。が、ここに入るまでに崩御(1370年)。後継のアユルシリダラ(あの奇皇后との子)はカラコルムを拠点に抗明運動を展開(北元)。が、1380年には明軍がカラコルムを攻撃、そして1388年、北元皇帝トグス・テムルの暗殺の後はカラコルムの

レイノー
2024/03/05 19:23

情報は出なくなる。◆補足的な指摘として注意すべき事項。①モンゴルの遺跡分析にはレンガの編年調査・分析が不可欠。核は尺度から見る同時代性と編年である。◆参考文献。◇「遊牧民から見た世界史-民族も国境もこえて」→ https://bookmeter.com/reviews/29045310 ◇

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レイノー
2011年(原著「PORTRAITS OF THE MIND:Visualizing the Brain from Antiquity to the 21st Century」2010年)刊行。著者は米国国立科学財団(NSF)大学院研究員・コロンビア大学大学院博士課程。◇図。◆以前、脳トレブームがあり、その際、東北大学の川島隆太氏の、脳画像を提示した説明が頻出した。そもそも、非侵襲的な方法で脳の機能的分析が外形的に表出可能になったのは、ごく最近。PET(陽電子断層法)やMRI(磁気共鳴画像法)が現実化・
レイノー
2024/03/05 19:14

同デフェリペはマドリード工科大学カハール研究所所属(現代神経科学の誕生)。同セインズはハーヴァード大学所属(カハール以後。カラー化の道)。同マートン及び同エリスマンはカリフォルニア大学サンディエゴ校所属(回析の壁を破る)。冒頭用インタビューイ・ゴールドバーグはコロンビア大学所属(脳のなかの電気)。各章冒頭執筆者セイノフスキーはワーク生物学研究所(回路としての脳)。同ハーシュはコロンビア大学(脳の構造から機能へ)。

レイノー
2024/03/05 19:14

◆参考文献。◇「妻を帽子とまちがえた男」→ https://bookmeter.com/reviews/23759901◇ ◇「脳のなかの幽霊(角川21世紀叢書)」→ https://bookmeter.com/reviews/20287865

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レイノー
2000年刊行。著者は大阪教育大学名誉教授(古代史・文化人類学)。◇図。◆中国古代文明は黄河中流域で発生し、これが各地に伝搬・拡大したとされてきた。しかし、(水田)稲作・漁撈文明たる長江文明の源流が黄河文明とすることは、時期の先後関係からも、文化的内容から見ても明らかに誤りであり、むしろ、中国大陸では複数の文明が屹立する状況であったと見るのが自然かつ合理的である。本書はかかる観点で、中国大陸に成立した文明群を紹介し、中原源流史観の脱却を考古学的観点から跡付け、この具体的様相を紹介しようとする書である。
レイノー
2024/03/04 19:01

これは(山東)龍山文化へと繋がっていく。◇続いて西からの影響を受けたとされる東北(満州)地域。ここで盛んとなった彩陶は、タリム盆地北ルートを経由として満州地域に入ってきたと見ている(このあたりは異論もある)。◆さらに倭との関わりでいうと、重要なのは四川・雲南。著者は雲南史を概観するが、さらに三星堆遺跡を詳述する。4600年前に遡及する該遺跡は龍山文化と同時期に大発展していたと。この独自性は青銅器。確かに、一部は殷・周と共通する製法、鋳造技術によるが、多くは独自製法で鋳造されている。また中国古代語では、

レイノー
2024/03/04 19:01

倭=越の音がwoで共通していることから、これらを同一とみて、タイ北部(チェンライ県)とベトナム(南部のメコン川デルタ)にまで、四川・雲南文明の即席が残されているという。◆著者が言うように関連性が皆無とまでは思わないが、各地の文明の独自性はもっと強調されても良いはずだ。特に黄河中流域と下流域とでは差異があるというのは無視できないだろう。

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レイノー
2017年(初版2011年)刊行。編著者小池は農業開発センター会長理事。同新山は教徒大学大学院農学研究科教授。同秋津は同職。◇図。◆現代農林畜産業を多角的に解説。農林・畜産業とその経済・経営に関わる専門研究者が集結し執筆を担当。農林畜産業の百科事典の趣きだ。ただ逆に言うと、網羅的な分、一つ一つのテーマの掘下げは浅い。また発展的情報収集のための参考文献を提示しているのは良しとせねばならないが、多くはゼロ年代(精々10年代初期)に留まり、データや現状分析書としては心許ない。また農業の他、林業・畜産業まで
レイノー
2024/03/04 19:31

◆参考文献。◇「水戦争-水資源争奪の最終戦争が始まった(角川SSC新書)」→ https://bookmeter.com/reviews/12594630◇ ◇「バナナと日本人-フィリピン農園と食卓のあいだ(岩波新書)」→ https://bookmeter.com/reviews/38943679◇ ◇「地球最後のオイルショック(新潮選書)」→ https://bookmeter.com/reviews/70530868◇ ◇「牛肉のフードシステム-欧米と日本の比較分析」

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レイノー
2016年(原著「INSIDE IS:10Tage im Islamischen Staat」2015年)刊行。著者はドイツ人ジャーナリスト。◇図。◆ISに欧州ジャーナリストが、許可を得て滞在し、斬首に合うことなくドイツに帰国した。その体験録を叙述したものである。◇ISとの前線に自ら赴くことから始まり、⑴独人ジハーティスト・IS職員とのコンタクト。⑵彼との間での”入国”交渉に始まり、その許諾。⑶同人の母に対する裏取り取材を経て、⑷トルコ経由でIS内部への入国するという、余人には代えがたい経験を持っている。
レイノー
2024/03/03 22:15

むしろ、キリスト・ユダヤ・仏教など非イスラム教徒に対し、人頭税を払えば生存も生活も保障するという建前的言動の方が遥かに温和である。しかも、IS以外は真のイスラム教徒はなく、同じスンニ派であるはずのサウジは勿論、シリア反政府行動として同じ立場にあるはずの自由シリア軍にも厳しい目を向けており、非難轟々。まして、神の法ではなく、民の法を優先する西側諸国内のイスラム教徒はスンニ・シーアを問わず、唾棄すべき背教徒だと、口汚く批判する。端的に、彼らの発想は、IS以外は全て異教徒か背教徒で、全て敵だということ。

レイノー
2024/03/03 22:15

◇もう一つ。武装闘争を継続しているからか、コーランの規定に従っている(つまり中世的規範を現代にそのまま現出されている)からか、人の死、残虐刑罰の執行に頓着していない点。

が「ナイス!」と言っています。
レイノー
2022年刊行。著者は一橋大学名誉教授。◇図。◆金融政策に依る円安誘導は、アベノミクスが典型であり、現状を見ればその状況が今も持続していると言うべきだ。が、著者は、この誘導策は既に2003年には始まっており、旧民主党政権下でもその趨勢は変わらなかったという。勿論、アベノミクスがこれを促進したことは明快であり、円安誘導の責任はこの政策にあるとする。◇繰り返しになるが、円安が金融政策に由来する以上、昨今の円安(=コストプッシュ型インフレ。経済成長なきインフレ)の中心要因であり(というより、アベノミクスのような
レイノー
2024/03/03 21:55

飛び級(要は入試に合格すれば年齢は関係ない)の肯定。科目は数学と現代国語と外国語。条件次第では社会人入学の拡充。というような法螺を吹くぐらいになってほしい。◇なお、個人的には(前から思っているが)、文科系学部において数学、理科系学部で現代国語と世界史を必須にすべきだと思う。難易度を上げる必要はない。高校で数学や世界史を放棄することのないようにするだけでも十分。殊に私立大学において、これを遵守しないならば、受験費用と入学金を学生・保護者から徴収禁止くらいにすべき。◇上原正三脚本のゲッターロボを見ながら

レイノー
2024/03/03 21:55

書いているが、確実にウィスキーに酔ってますな…。

が「ナイス!」と言っています。
レイノー
2015年刊行。著者は甲南大学理学部教授(植物生理学)。◇図。◆動かない植物がどのように子孫を残していくか。そして環境に適応していくか。あるいは進化を遂げていくか。動けない以上、環境適応という観点では動物以上の工夫が必要なのは想像に難くない。本書は、著名な植物(桜、朝顔、ゴーヤ、トマト、とうもろこし、苺、チューリップ)を題材にその”不思議”を解読していく。数式も化学的解読もないので、意欲的な中学生であれば、読めないわけではない。派手とは言い難いので、興味を持つかどうかは別儀であろうが…。◆備忘録。
レイノー
2024/03/01 19:00

朝顔の花の色が、青から赤に変化するのは老化現象。また分厚く固い種は蝉の幼虫戦略と同じ。◇連作困難なゴーヤは病原体などに強いカボチャを台木にして接ぎ木して栽培。◇日の長さの変化で時季を感じるものが意外と多い。◆参考文献。◇「植物はすごい-生き残りをかけたしくみと工夫(中公新書)」→ https://bookmeter.com/reviews/63979718

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レイノー
2020年刊行。著者は朝日新聞編集委員・日田支局長、ライター、評論家。◇図。◆一風変わった略歴を有する著者の文章論。◇意外に熱血漢で、内容も悪くない。◆緩急(長短)の付けた文章、意外性の強調、”写経”の価値の他、図書館利用法(新聞書評からセレクト→予約)や辞書活用術(類語辞典から芋蔓式。除く専門用語)、そしてナラティブ(話術、語り口)の意義。◇さらに、公知・推薦される”課題図書”を読むクセをつける(日本文学、海外文学、自然科学・社会科学、詩集の其々を15分/日ずつ、1時間/日)など面白い指摘に溢れている。
レイノー
2024/03/01 18:46

これらを学生時代にやっておけば、恐ろしく力がつくだろうな。

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レイノー
2017年(原著「SUPER INTELLIGENCE:Paths,Danges,Strategies」2014年)刊行。著者はOxford大学マーティンスクール哲学科教授・同大人類未来研究所所長・同大戦略的人工知能研究センター所長(分析哲学・数理論理学・計算論的神経科学・物理学)。◇図。◆AI(それが進展したSUPER-INTELLIGENCE。SI)が生き物としてのヒト、そして人間社会にどのような影響を及ぼすのか。すなわち、どのようなSIが、どういう点で進展・進歩し、どの程度の速さで社会に浸透するか
レイノー
2024/03/01 06:53

◆ただ、どうにも理解しにくいのは、SIが自己複製、そしてその前提となる自己保存指向(欲求とは言わないが)を措定する点。当然、ここには目標設定指向をも包含される。議論を進めるために、SIにそういう設計仕様を組み込んでいるとか、SIはヒトの性質を継承しているという前提を所与としているけれど…。◇その上でであるが、一番恐ろしいのは、実はこれらを使う人間の方ではないかとの疑念が拭い去れない。欲望や悪意に満ちた存在がどのようにSIを利用していくのかの方が数万倍も恐怖を感じる。独裁スイッチやデス・ノートを想起する

レイノー
2024/03/01 06:53

までもないだろう。◆備忘録。生物学的認知エンハンスメント(特に、遺伝的選択技術エンハンスメント。要は遺伝子操作)アプローチと、巨大知形成アプローチとでは、前者の方が成果を挙げられる。この点、後者の場合は、長期的・漸進的ではあるが、人類全体の底上げに繋がる他、早期に分野毎の進展の違いが明瞭になり、社会・科学に重要なインパクトを齎す。ただし数世代のスパンで見れば、生物学的認知エンハンスメントアプローチの方が高い成果を挙げられる。◇複数のSIにおいては間接的倫理規範の提供がよりよき結論・過程を導くことができる。

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読書データ

プロフィール

登録日
2011/03/10(4791日経過)
記録初日
2006/01/14(6672日経過)
読んだ本
19750冊(1日平均2.96冊)
読んだページ
4988576ページ(1日平均747ページ)
感想・レビュー
16686件(投稿率84.5%)
本棚
2787棚
性別
現住所
大阪府
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