「人は自分に累が及ばないことに関しては、一貫して野次馬なのだ」「法律はどうしてこのような不公平を生んで平気でいるのか。きっと国家というものは、個々の事情を切り捨てるところで成り立っているのだ。だから弱者の側に回ると、話も聞いてもらえない」「どうして学校に規則や決まり事があるかわかるか。それは君らが大人になったとき、社会には法律というものが待ち構えているからだ。それが守れないものは、法律で裁かれ、刑罰が科せられる。自分勝手は許されないということだ。だから、そのための訓練として、学校にも規則がある」
「この小説のいちばんの手柄は、未完成な人間としての中学生たちの肖像を鮮やかに捉えている点だろう。〝命の尊さも、人生の意義も、人の気持ちさえも、ちゃんとわかってはいない〟子供たち。人間の未熟さが引き起こす悪意や中傷や暴力といったものを、逃げずに正面からしっかりと描ききっていて、真摯で誠実だ」——池上冬樹(解説より)
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