形式:新書
出版社:文藝春秋
一撃で3つの痣をつくったという、ケンシロウみたいな人が出てくる。中国、凄い~。
混沌とした物から生起していくダイナミックな面白さというのは著者のデビュー作「後宮小説」の名悪役、混沌がまさにその名をそのまま体現していて、著者の掴んだ中国文化の真髄がそのまま小説にも活かされているのは明白、酒見作品が好きなら過去作に通じる原点を楽しめる一冊とも言える。分量も形式張った解説書の体裁を無視して中国拳法だけで分量のかなりを占めたり自由気ままそのもの。中国拳法の本当かどうかわからない逸話の数々や気功の極意もこの融通無碍な語りに乗るとそういう小説、エンターテイメントとしてなんだか楽しめてしまう不思議
最終章は意拳の大成者 王向斎の話。上海でのハンガリー人ボクサーとの戦いや蒋介石の武術師範との果し合いで会場に入る前の人知れずの当て身で敵前逃亡させる話、日本人徒弟の澤井健一など素敵なエピソード満載です。著者にはぜひこの後半部分をさらに詳細にした著作をお願いしたいところ。
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