悟浄出世(Kindle)

悟浄出世の感想・レビュー(61)

嶮しい途を選んで苦しみ抜いた揚句に、さて結局救われないとなったら取返しのつかない損だ、という気持が知らず知らずの間に、自分の不決断に作用していたのだ。骨折り損を避けるために、骨はさして折れない代わりに決定的な損亡へしか導かない途に留まろうというのが、不精で愚かで卑しい俺の気持だったのだ。(中略)躊躇する前に試みよう。結果の成否は考えずに、ただ、試みるために全力を挙げて試みよう。決定的な失敗に帰したっていいのだ。今までいつも、失敗への危惧から努力を抛棄していた渠が、骨折り損を厭わないところにまで昇華されてき
★2 - コメント(0) - 3月21日

昔初めて読んだときは自分のことが書いてあるのかと思うたこともある。「実は彼が微かすかな声で呟つぶやいているのである。「俺おれはばかだ」とか、「どうして俺はこうなんだろう」とか、「もうだめだ。俺は」とか、」とかのくだりね。さすがに自分が堕天使だと思うたことはないけどね。それつてつまり元は天使だつたつてことでせう。これはいまも変はらない。成長してゐないことが確認できたのでよしとしたい。
- コメント(0) - 2016年11月18日

昨夜の文ストでふと中島敦を思い出したので読了。作者特有の漢文を懸念していたが思いの外読みやすかった。この話に出てくる悟浄は考え事に行き詰まっている人間そのものだなと思った。小さい疑問が肥大化して疑問そのものがよく分からなくなって苦しんでいる様子がよく分かった。様々な妖怪に教えを請うが結局は解決しない場面で悟浄が言った「偉そうに見えてお互いに解っているフリをしているだけだ」という台詞が好き。知っているようで知らなかった悟浄が三蔵に従った理由も書かれていてスッキリした。悟浄歎異も楽しみに残しておく。
★4 - コメント(0) - 2016年11月3日

西遊記の沙悟浄と云うと、日本では河童と云うことになっている。恐らくは手塚治虫の漫画がその起源だろう。実は河入道である。沙門であるらしい。絵的に子どもにわかりずらいので、河童になったのだろう。 実は仏道に仕える者であるので、思索する。玄奘に出会うまでの、沙悟浄の思弁の道筋が描かれている。
★1 - コメント(0) - 2016年6月21日

作家の開高健は、中島敦についてこう述べている。「「文字禍」にしても「悟浄出世」にしても、作品としてはまことに心なごむ仕上げとなっていて、ことに澄明であたたかくて鋭いユーモアの功徳は他の何ものにもかえられないほどのものなのだが、誰も論ずる人がいない。(中略)作者が面白がっていることのよくわかる作品は見て見ぬふりをしてとりあげないというこの国の奇習から、見捨てられるままになってしまった。」開高の嘆きがいいほうに影響したのか、中島敦の作品群の評価は現代になって高まる一方だと思うが、その代表がこの作品ではないか。
★14 - コメント(0) - 2016年5月3日

『西遊記』の三蔵法師のお供として有名な悟浄が、玄奘三蔵の弟子になるまでの惑いと遍歴を描く短編。悟浄について詳しく、こんなだったのかな?西遊記も再読してみないと…と思ったところ、どうも中島は西遊記を題材に悟浄を主人公とした一大小説『わが西遊記』を執筆予定または途上で、本作はその一遍を成すものだったらしい。漢詩に始まり漢語や妖怪、仏典の人物が多数出てきて日頃馴れない漢字尽くしにひるみそうになるが、文体はリズミカルで内容も深遠さと諧謔がない交ぜになっていて興味深く、逆についわかる速度より早読みしがちになった…。
★10 - コメント(0) - 2016年4月19日

玄奘三蔵、斉天大聖孫悟空、天蓬元帥猪悟能と出会ふ前の悩み多き捲簾大将沙悟浄は、かくも哲學者なりしや。悩める者に邪心なし。夏目雅子、堺正章、西田敏行(二代目は左とん平)と侍りしに、最も悩み深き哲學者と見ゆるは岸部シローなり。配役に狂ひなし。
★29 - コメント(0) - 2016年4月5日

沙悟浄の自分探しのお話だけど、頭でっかちの沙悟浄が馬鹿馬鹿しく思えないのは中島敦の筆が沙悟浄に優しいからか。
★3 - コメント(0) - 2015年11月5日

映画『バケモノの子』繋がりで読んでみました。悟浄が三蔵法師一行に合流する前のサイドストーリー。モラトリアム期まっしぐらな悟浄が、お腹に一物を抱えたまま煩悶する様子に、深い共感を覚えてしまうわけです。なんとなく『特撮』の『オム・ライズ』を思い出しました。https://youtu.be/8b4mqX1v1Pc
★15 - コメント(0) - 2015年8月22日

万城目学『悟浄出立』を読んだので元ネタチェック。何といっても、西遊記の中で最も存在感がなくて地味な沙悟浄を主人公にするという発想がすごい。舞台は中国古典の世界なのに、内容は悩める現代青年の思想遍歴というギャップがすごい。悟浄が訪ねる哲人・達人がすべてヘンテコな妖怪なのもすごい。
★4 - コメント(0) - 2015年6月17日

「私」とは何だろうと時々考える。「世界」とは何だろうと今も考える。どちらも幼い問いだと分かっている。答えなどない。「私」という小さな存在の内的世界は広大であり、自身で全て知ることは叶わない。同時に「私」という存在の外に表すものも自身では律することが難しい。そんな私が茫漠とした「世界」を知ることなど出来はしない。そもそも「世界」を知るとはどのようなことだろう。私はそれすら定義を出来ずにいる。それなのに「世界」を知りたいという欲求は意識に生じ、それは必ず焦燥となり、私を責め苛む。コメントに続く
★6 - コメント(2) - 2015年5月25日

こうして読んでみると、沙悟浄がおっさん臭い……(2006年版のドラマをイメージしたせいか?)/テンポ感がよく、即読了した。
★25 - コメント(0) - 2015年5月19日

題名を見て万城目学『悟浄出立』を思い出し、手に取る。なぜ、という疑問を持ち続ける悟浄は、心中のもやもやを晴らすために、様々な賢人たちを訪れるが中々答えは見つからない。彼は、三蔵法師たちとの旅で、何かを見出していくことになるのだろう。答えを探し続ける彼が出した一つの答えは、他人の考えを聞くばかりではなく、自分から学び取るということではないかと思う。思索にふけるだけでなく、三蔵法師らとの旅のなかで、実際に考えて行動して生きる人たちから何かを得ることが悟浄の旅の目的だったのかなと色々想像を巡らすと面白い。
★21 - コメント(0) - 2015年5月14日

魑魅魍魎たる妖怪世界。俺は誰?世界って一体?答えの出ない問を延々と考える沙悟浄くん。そんな彼が世界の真理、もとい自分の納得できる答えと心の安寧を求めて旅に出る。奇々怪々様々な真理探求の師匠たちにつきながら、彼の魂はやっぱり悩むばかり。鬱々と考える状態がまるっきりうつ状態のグルグル思考。あるあるー!そんなこと考えるよね!中島敦と沙悟浄に親近感。文章がとにかく美しく、また思索に満ちていて、中島敦の教養の深さを感じる。ラストは観世音菩薩様に導かれて玄奘法師と旅に出る沙悟浄くん。西遊記は未読だが手を出してみたい。
★20 - コメント(0) - 2015年4月1日

中島敦といえば教科書で読まされた「山月記」が凄惨重厚難解で短編なのにお腹一杯もう結構ですな感じで他を読んだことがなかったが最近万城目学氏が本作の面白さを紹介していて、興味を持ったところ青空文庫にあった。早世の恵み!内向的でパッとしない悟浄青年がぐずぐず悩むようすが、なんだか笑いを誘う。冒頭、水底で物憂げにブツブツ言う姿が「指輪物語」のゴクリみたい。実り少ない自分探しの旅に見切りをつけ実体のある冒険へと旅立っていく様を特に目覚ましい感動もなく淡々と述べて結ばれている。高校生に読ませるならこっちのほうがいい。
★10 - コメント(0) - 2015年2月28日

久々にKindleを取り出しダウンロード。研ぎ澄まされた中島敦の文体は、やはり素晴らしい。論語の読み下しをしているようにリズミカルに読める。無駄のない文章の中に深い思索が語られ、読書の醍醐味を改めて味わうことが出来た。秀逸の短編。映画やアニメでも語られる西遊記。その中では一番影が薄い沙悟浄が主人公で彼を通して哲学的思索が語られる。そのアンパランスがまさにヒューモアを含みながら読み応えのある作品となっている。この作品を書いた時の著者よりはるかな年長者になってしまっている自分を発見。
★8 - コメント(0) - 2015年2月20日

奇々怪々の妖怪たち。その中で沙悟浄は何故を考え嘲笑の的となっていた。その何故を各々の妖怪に教えを請いた。ようやく答えが出るかと期待するが、これは違うとすぐに辞めてしまう。何故の答えは出ず時間ばかりが経つ。更には付け焼き刃で以前よりも浮いている自身が居た…。
★9 - コメント(1) - 2015年2月17日

Kindle ◆『悟浄歎異 —沙門悟浄の手記—』と併せ読む ◆若き悟浄の悩みが手に取るよう。自分の心中あるいはものの見方をズバリ見透かされ言い当てられた……これは喜びでありつつも、実は愕然…… ◆「悟浄はやっぱり岸部シロー」と『悟浄歎異 —沙門悟浄の手記—』の感想で申し述べたが、加えて、けっしてバンコランではないとの確信に至る……いや、バンコランの心中実はいかなるものか?! などとどんどんドヨドヨするあたりが悟浄的なのだ私は…… ◆しかし悟浄よ、それでいいのだ!! 天然だけじゃ世界は回らんのだ!!
★13 - コメント(0) - 2015年2月9日

鬱々と考えて前に進めない現代人に必読の書。-究極の正真正銘の神様だけがご存じの『なぜ?』を考えようとするのじゃ。-生きておる智慧が、そんな文字などという死物で書留められる訳がない。絵にならまだしも画けようが。-遠き慮のみすれば、必ず近き憂あり。達人は大観せぬものじゃ。-観ることが愛することであり、愛することが創造ことである。-賢者が他人について知るよりも、愚者が己について知るほうが多いものゆえ、自分の病は自分で治さねばならぬ-一切の思念を棄て、ただただ身を働かすことによって自らを救おうと心がけるがよい。
★63 - コメント(7) - 2015年1月14日

玄奘法師達に出会う前の悩める沙悟浄のお話。「『我』とは何か?」その答えを探し求め、教えを請うべく、あらゆる賢人を訪ねます。最終的には夢のお告げなんですね(笑)分からないことを強いて尋ねようとしない。身の程知らずの『何故』を一切打ち捨てる。考えるな!感じろ!!いや?行動しろ・・・ってことかな。歌うような流れるようなテンポの良い文章♪しかしながら、私自身に漢詩の素養がなく、ボキャブラリーも不足しているため、堪能するまでには至らず(´▽`;)ゞひたすら読み込むべきかな。
★53 - コメント(0) - 2014年12月16日

悟浄さんも苦労人ですね……。
★2 - コメント(0) - 2014年11月11日

万城目学「悟浄出立」を読んでこちらも読みました。面白い。そしてわかりやすい。岸辺シローの沙悟浄が頭から離れない世代ではありますが、今更ながら読めてよかった。万城目さんに感謝。
★16 - コメント(0) - 2014年11月5日

★★★★
★3 - コメント(0) - 2014年11月1日

とてもおもしろく楽しく読んだ。折に触れて再読したい。情景描写がため息が出るほど美しい。ただ、読んでいてよくわからない部分は、永井均の本を読んでいてどうも理解できなかった部分と同じことを言っているのだと思う。私も、悟浄と同じようなことを考えているようでいて、実は私はまるで考えておらず、悟浄のほうが、より深く思索しているのだろう。よくわからないところはわからないまま読み進めてしまったことからも、それは明らかだ。
★24 - コメント(1) - 2014年10月4日

初読。kindle。万城目学さんの『悟浄出立』を読んだので、気になって読んでみた。っていう人は私以外にも大勢いるだろうな。なるほど万城目さんはこれを読んで書いてみたくなったのか。こうなると『西遊記』をきちんと読まないとなあ。
★1 - コメント(0) - 2014年9月20日

「悟浄歎異」を読んだのであはせて読んだ。中に出てくる「西遊記」の抜粋を読むと、「西遊記」全篇をこの文体で読んでみたいといふくるほしい思ひにかられる。
- コメント(0) - 2014年8月1日

いやこれ面白いわ。読み易いし、文体が美しい。そして、鬱々とした悟浄の心情の描写や愚かしさに身をつまされる思いでいっぱいになる。多くの現代人にとって普遍的な悟浄の懊悩とそんな彼に対する様々な回答。ダウナーな人々はきっとどこか共感せざるを得ないだろう。ていうか、鯰の仙人、いいキャラしてるわ。
★2 - コメント(0) - 2014年3月17日

わかったような、わからんような・・・
★1 - コメント(0) - 2014年1月7日

ちょっと摩訶不思議な読後感…
★4 - コメント(0) - 2013年7月3日

とてもシンプルな答え…世界は、概観によるときは無意味のごとくなれども、その細部に直接働きかけるときはじめて無限の意味を有つのじゃ。
★8 - コメント(0) - 2013年6月14日

★★★☆☆
- コメント(0) - 2013年5月19日

この作者は現代人の僕にとって読みにくかった。疑問を持つこと
★3 - コメント(0) - 2013年1月30日

「信じた先の失敗を恐れ半端な懐疑論者としての苦しみに浸るのは、狂信者よりも救えない」と悟浄が悟るシーンには何か思わざるをえない。文が綺麗だつたと感じた。
★3 - コメント(0) - 2012年12月11日

Kindle価格:¥0/memo::自分は今まで自己の幸福を求めてきたのではなく、世界の意味を尋ねてきたと自分では思っていたが、それはとんでもない間違いで、実は、そういう変わった形式のもとに、最も執念深く自己の幸福を探していたのだということが、悟浄に解りかけてきた::この病に侵された者はな、すべての物事を素直に受取ることができぬ。何を見ても、何に出会うても『なぜ?』とすぐに考える。::「聖なる狂気を知る者は幸いじゃ。彼はみずからを殺すことによって、みずからを救うからじゃ。
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