大きくみれば、ナチスを悪、連合国特殊部隊をヒーローとする話。よって、書かれる人間像に全く深みがない。例えば、スパイ役のギリシャ人は如何にしてそうなったのかが、サッパリわからない。書こうと思えばいくらでも書けるところだが、悪者としてバッサリである。無敵のサイボーグ的存在も鼻につく…まぁ、もうこの歳になれば、いかにもパターン化した話で、つまらなかった…だけで済むが、文学が、こういう勧善懲悪を戦争でやるのは、本当に感心しない。

感想というのも面映いが、作者の意気込み、勢いを感じる作品。中身に関係ないが、人物がみんな若々しく溌剌としている。そこら当たりに、この作品の惹きつける力があったのではないか、と思った。

登場人物が多く、それぞれの立場がなかなかわからなくて、最後まで先行きを気にさせる。ただ、ヒロイン役に対する、ちょっと雑な扱いが穴になって、崩壊に繋がっていくので、この手の話としては、甘ったるいのは否めない。翻訳も少し固い気がする。しかし、最後に至って、主人公は一体どこに行けるというのだろうか？

感想は下巻で。話は脇道にそれて…というか、どれが本筋かわからない…なかなか進まない。まぁ現実に近いのかも。ル・カレの方が読みやすい。

まだらの紐、赤毛組合は有名だけど、既読…ということは、おそらく全部既読ではないか？と思われる。王冠の話はなんとなく頭にあるが、全く覚えてない。翻訳は大変読みやすい。

一気に読んだ。ソコソコ身近だったので勉強もしたから、すぐに自閉症スペクトラムとわかった。数字へのコダワリ、変化への恐怖、非常に良く書けている。入門書を読むより、理解が深まるような気すらする。男の方が出現率が高く程度も深い事例が多いと言われている。日本では村田沙耶香が「コンビニ人間」を書いたけれども、主人公は女性で、本書の主人公と比べればずっと異端性は低く、社会性が高い。彼を発端として、人間関係が壊れていく姿、家族、本人の大変さもしっかり書かれている。その大変さの方向が全く違うこと、それが一番の問題。

みんなが好きそうなイッヌのお話。しかし犬嫌いのため、こんなデカい犬は近くにいるだけで嫌である。

これも今更。踊る人形を始め、いくつかは読んだ記憶があるということは、多分再読なんだろう。自分にとって何が魅力なのか、表現が難しい。が、退屈せずにドンドン読めてしまう。動機とか正義感の部分で、クリスティに多大な影響を与えているーイギリスの文化や精神ということだけなのかもしれないがーのもわかる。暗号を「踊る人形」に仕立てるというセンスなのかも。センスじゃ仕方ない。

大きくみれば、ナチスを悪、連合国特殊部隊をヒーローとする話。よって、書かれる人間像に全く深みがない。例えば、スパイ役のギリシャ人は如何にしてそうなったのかが、サッパリわからない。書こうと思えばいくらでも書けるところだが、悪者としてバッサリである。無敵のサイボーグ的存在も鼻につく…まぁ、もうこの歳になれば、いかにもパターン化した話で、つまらなかった…だけで済むが、文学が、こういう勧善懲悪を戦争でやるのは、本当に感心しない。

まあ、謎の続出で、退屈はしなかったけど、何かがヒットしたかというと。謎が解っても特に納得感はない。仕掛けが大仰な…、というか犯罪…の割に、それで出てくる中身はありふれた話のような感。人間性も最後まで特にそう変化も無いようだし、むしろ意地になってる感もある。ミッドフォードのようにバサッとやってしまいそうな気がする。自分。うーん…女にもてないわけだな。