とにかく温かい作品でした。読了してから自分自身がどれだけ多くの人に支えられて生きてきてこれたのか？考えずにはいられませんでした。お世話になった人の顔を思い浮かべながら、その受けた恩を今度は別の人に恩送りしていきたくなる、そんな優しい作品でした。

大学生時代以来、久々に読みました。クールな感じは最初からだなという印象を受けたのと、描写よりはセリフが多めで、他の作品と比べるとまだ未成熟な印象であったものの内容は当時読んだ時と比べて、とても面白かった。

ヒデミス2023で紹介されており気になり読んでみて、結果とても面白い作品でした。初めはハワイを舞台にしつつ、香港、日本へと舞台が移っていき、太平洋戦争の渦中に巻き込まれながらも犯人を追いかけていくというストーリーで、とても読み応えがありました。

とにかく温かい作品でした。読了してから自分自身がどれだけ多くの人に支えられて生きてきてこれたのか？考えずにはいられませんでした。お世話になった人の顔を思い浮かべながら、その受けた恩を今度は別の人に恩送りしていきたくなる、そんな優しい作品でした。

大人の恋愛小説であり、音楽家の再生物語でもあると一読して感じました。大枠のテーマの他にも、イラク戦争、サププライム問題、アイデンティティ等々、複合的な要素が入り混じりながら物語が進んでいため、深みを感じました。心情描写も丁寧で、全てではないにせよ主人公2人の気持ちに寄り添いつつ最後まで読み切ることができました。

川上未映子さんの作品は初めて読んだけれど、心理描写が丁寧で、それに重ねるように描かれる風景描写も良かったです。女性とはなんなのか？根源的な問いをつど投げかけられているような気がして、考えながら最後まで読むことができました。

読書の仕方を考えさせられる一冊となりました。読書を通じて得られるものは何か？それは「自分自身の理解を得られると共に、人間全体についての理解を得られることでもあります」ということ。まさにその通りだと思いました。自身について理解を深め、今を生きる社会やそれらを構築するシステム（os）などを理解することで、メタ思考ができる。納得です。また本の読み方は自由で、最初から最後まで必ずしも読む必要がなく、何かを得られれば良い、という言葉には、ハッとさせられました。

上巻と同じく冒険譚ではあるんだけど、より主人公のバスチアンの内面が表面化していく内容で、彼の意志がファンタジーエンの世界で具現化されていくことで、喜びや絶望、怒りや悲しみといった経験を経て最終的に愛を知るという成長を描いた物語と感じました。彼の前に現れるキャラクターは魅力的なんだけれど、何か掴みどころのない存在で、何かのメタファーなのか？と考えながら読み進めたものの掴み取れませんでした。まるで宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか？」バリの抽象度で、多分読み返すたびに違う感想を抱きそうな作品で読んでよかった！