言葉を吸収して気がつけば飲み込まれていて……きっと誰もが通過する不可逆的なイベントなのでしょうね。それでも、心に浸透する言葉に出会えるうちはまだやっていける気がします。
考えたのだから常識の力はすごい。新しいパラダイムでは「いや当たり前じゃん」と思うことも、以前のパラダイムでは「とんでもない」とされるのだから、歴史に名を残す学者たちの苦労はやはりとてつもないものなのだろう。多世界解釈も数ある理論のうちの一つくらいの認識でいたが、業界ではすでに(といってもこの本は10年前に刊行されたのだけど)デフォルトになっているとのことで驚いた。「解釈」という言葉に引っ張られていたが、オリジナルの「世界アンサンブル」や「多宇宙ヴィジョン」という呼び方、量子力学における「強制」の考え方を
知れたのは大きかった。インフレーション・モデルの提唱者として強調されていた佐藤勝彦さん、お名前はよく見るがたしかにその印象はなかったので、意外と知らないものなのだと思った。初めは人間原理を毛嫌いしていたという青木さんがどういう結末をもって筆を擱くのか最後まで分からなかったが、さすがに科学の本領とこれからへの期待で締めくくられておりさわやかな読了感だった。こうした破格のスケールでの話題には時おり足がすくむような感覚になるが、まさにパラダイムシフトを経験できるかもしれない時代に生きていることを幸運に思う。
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考えたのだから常識の力はすごい。新しいパラダイムでは「いや当たり前じゃん」と思うことも、以前のパラダイムでは「とんでもない」とされるのだから、歴史に名を残す学者たちの苦労はやはりとてつもないものなのだろう。多世界解釈も数ある理論のうちの一つくらいの認識でいたが、業界ではすでに(といってもこの本は10年前に刊行されたのだけど)デフォルトになっているとのことで驚いた。「解釈」という言葉に引っ張られていたが、オリジナルの「世界アンサンブル」や「多宇宙ヴィジョン」という呼び方、量子力学における「強制」の考え方を
知れたのは大きかった。インフレーション・モデルの提唱者として強調されていた佐藤勝彦さん、お名前はよく見るがたしかにその印象はなかったので、意外と知らないものなのだと思った。初めは人間原理を毛嫌いしていたという青木さんがどういう結末をもって筆を擱くのか最後まで分からなかったが、さすがに科学の本領とこれからへの期待で締めくくられておりさわやかな読了感だった。こうした破格のスケールでの話題には時おり足がすくむような感覚になるが、まさにパラダイムシフトを経験できるかもしれない時代に生きていることを幸運に思う。