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2024年4月の読書メーターまとめ

Sakie
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294ナイス

2024年4月に読んだ本
10

2024年4月のお気に入られ登録
1

  • おおたん

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Sakie
山頭火の句が沁みるのは、その自然の只中における静けさや透明感だけでなく、どうしようもない我が身の、苦悩や諦観も込みで共感するからだ。しかし町田康を案内にその生涯を追うと、簡単に共感しえない業の深さや絶望が露わになる。町田康もまた自分を同じ側に置いて行為を重ね、心中を慮る。真面目、ゆえに懊悩し、酒に逃げ、見失い、全てをふいにしてしまう。ひと所を守る日常すら辛かった山頭火が行乞の旅に出たのは45歳。"解くすべもない惑い"を、見ぬふりや、自分を赦すことなく、直視し続ける人生は苦行だ。我が句は成ったと思えたのか。
Sakie
2024/04/08 16:46

放哉亡き後、井泉水から山頭火に南郷庵、堂守引継ぎの打診もあったという。断ったのは歩き続けることへの切迫感、らしい。昨日、放哉忌の記念行事が西光寺で営まれた。大勢が墓石に日本酒を注いだと新聞にある。酒に狂い、酒を断ち得ない自分、酔って乱行に及ぶ自分、どうしようもない自身を生涯抱えて、満たされることなく死んだ彼らが、孤高の俳人、地域の宝などと呼ばれて弔われることは、今はとても不思議に感じる。

が「ナイス!」と言っています。

2024年4月にナイスが最も多かったつぶやき

Sakie

山頭火随筆集 (講談社文芸文庫) >> 夕飯前に日本酒を呑みながら本を読んでいると、猫がもの言いたげな顔で猪口を見つめている。前にちょっと舐めさせて以来、猪口は天敵である。

山頭火随筆集 (講談社文芸文庫) >> 夕飯前に日本酒を呑みながら本を読んでいると、猫がもの言いたげな顔で猪口を見つめている。前にちょっと舐めさせて以来、猪口は天敵である。
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2024年4月の感想・レビュー一覧
9

Sakie
連載開始から半世紀。環境汚染、食品添加物、化学肥料、農薬。私たちはずっと同じことを心配してきたし、これからもそうなんだろう。科学技術は確かに人の生活を便利にしたけれど、やりすぎては健康や自然を損なう。著者は興味を持ったら突撃していく。専門家研究者にも地場の労働者にも、農家から屠畜場まで、"地べた"からの声を集めて書く。科学は、必ずしも全体を説明しえないし、物事を解決に導くとは限らない。日々の営みの中で、何かおかしいと感じ取る肌感覚こそ、自分が大切に思うものを守るために備わった人間の能力だと結論する。
Sakie
2024/04/30 14:37

著者の考察。英国紳士の嗜みとされたガーデニングは、農夫でない者が、時候や土と生命の関わり合いに気を留め、肌感覚を保つための社会装置だったと指摘する。日本人は戦後、経済成長のために労働者と農家を切り離してしまった。労働者は土や食物に対する感覚を失って、結果的に公害や農薬・食物添加物による健康被害を受けるまで気づかない鈍感な生き物になってしまった。それは現代、生産の場から遠く離れた消費者根性はますます、サプリやらトクホやら、本質を見失った情報に振り回される弱さを体現しているように思える。

Sakie
2024/04/30 14:39

いつから日本人は田畑に生える草を一本残らず抜かなければ気が済まなくなったのかの考察も興味深い。海外の有機農業の畑が草だらけなことに著者は驚く。自然農法なら草は味方だ。科学的にも理解が進んできた草と土の関係を考えれば、草を全て抜くのは合理的でない。著者はそれが始まったのは元禄時代ではないかと考察する。百姓は草の役割を骨身で知っており、全て抜いたりはしなかったはずだ。それを抜き始めたのは、農作業を知らないお上が口出しをするようになってからなのではないかと。では現代、草を抜くのはなぜかを、調べてみたい。

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Sakie
気候は常に変動している。国連やメディアが喧伝している"気候危機"は、人類が蓄積したデータが示す事実と食い違っている。科学を情報提供ではなく説得のために歪める現状を憂えた一流科学者による告発である。つまり、進行形で変動している気候の、それぞれの事象は真に変動しているか、一貫した長期トレンドを形成しているか、人為由来と証明できるか。それが明確でないまま脱炭素に莫大な公金と資源をつぎ込むことは、一部の人に利して、本当の問題から目を逸らさせるように感じる。国連や公益団体のレポートであっても、鵜呑みにしない事。
Sakie
2024/04/24 17:45

人為由来の異変と結論づけられないはずの研究結果を、一部研究者は語弊を許容し、政府や国連の公式報告書は明らかな作為や虚偽で社会的意思決定を誤誘導し、メディアは気候危機と恐怖を煽る。信じてよい科学を見定めるのがこれほど難しいとは。『極端な気象・気候現象の多くは自然気候変動(エルニーニョなどの現象を含む)の結果であり、10年または数十年規模の気候の自然変動は人為起源の気候変化の背景を成す。気候に人為起源の変化がなくても、極端な気象・気候現象は自然に発生する』。IPCC「極端現象に関する特別報告書(SREX)」

Sakie
2024/04/24 17:45

4月17日、ドバイで12時間に1年分の降雨があり、大規模な洪水が起きたとCNNが報じた。その締めくくりに『人為的な要因による気候変動で、ゲリラ豪雨は今後増えることが予想される』と述べた。これは虚偽の報道である。ゲリラ豪雨はたまの異常気象としてありうべき範囲で、人為起源であるかは証明されていないし、今の科学では人為由来と断定できない。そしてひとつの異常気象と気候変動の間を、一足飛びに結びつけてはならない。ただ気候変動により降水のムラが激しくなり、豪雨現象が増えている傾向があり得る、とは覚えておく。

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Sakie
引き続き山頭火。焼き捨てた以降の日記や、「三八九」などに掲載した随筆を集めたもの。随筆は真面目に論じよう、努めて前向きになろうとする気配が無理っぽくてしんどい。かといって泥酔、乱行や不義理の自省と言い訳も度重なればうんざりする。働いて稼がずに生きる世過ぎが、そもそも私には理解しがたい。貧しい人にいただいた喜捨を、いい宿や酒に費やす是非やいかん。と眉をひそめたところで、こちらだって読みながら呑む酒が過ぎており、人のことを言えた義理じゃない。『ほろほろ酔うて木の葉ふる』。風流ではない。この降り積もる苦さよ。
Sakie
2024/04/16 15:58

『事実や気持の奥に、叙するよりも、述べるよりも、詠うべき或物が存在すると思う』。

Sakie
2024/04/16 16:30

『二時で高城、二時間ほど行乞、また二里で有水、もう二里歩むつもりだったが、何だか腹工合がよくないので、豆腐で一杯ひっかけて山村の閑寂をしんみりエンジョイする』。

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Sakie
ひとりひとりがそうありたいと思う働きかた。それを"わがまま"というワードで"より良い会社"を導きだそうという試み。それにはひとりひとりの社員がわがままを表明する力、上司・経営側にはわがままを引き出す力が必要になる。そのための取組みが種々書かれている。意見を表明する場のハードルを下げる、多数決は取らず議論して決める人を決める、決定権を分散・委譲する、情報の共有・透明化など。だからどれも経営側が仕掛けるべき案件なんだけどね。著者がサイボウズチームワーク総研になっているあたりも、経営陣の企みを感じる。
Sakie
2024/04/10 16:22

タイトルで社員の気を惹こうプロジェクト。

Sakie
2024/04/10 16:22

『手が空いていてぶらぶらしている人がいるくらいの余力がある組織じゃないと、イノベーションは起きない』。これは意見が分かれるところだ。"手が空いていてぶらぶらしている人がいる"のは経営者の精神衛生上、ラクではない。どちらかといえば、「社員には能力の120%くらいの負荷(業務量)をかけたほうが工夫し、結果として業務改善が進む」のほうが受け入れやすい。まあ、こう並べて見ると業務改善とイノベーションは異なるもの、とは言える。そして働かないアリ理論から言っても、余力論のほうが正しい。…と割り切れるかどうか。

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Sakie
ジャンル「ブラッドベリ」。架空の世界で起こる出来事も、どこかにありそうな世界で起こる異変もあって、いずれも意表を突かれる。意外性のあるアイデアを組み合わせたというより、物語が勝手にそうなってしまった感が好い。自選と先に知っているせいかどれも読みごたえがある。広島の原爆報道に着想を得たと自ら語った「やさしく雨ぞ降りしきる」は世界の終末の一瞬を描いたもので、西暦2026年の設定である。こんな時世では、ほんとうに2026年にこのような光景が地球のどこかに現れるのではないかと、美しい一瞬が印象を残すゆえに哀しい。
Sakie
2024/04/10 17:24

読んだことのある短編に行き当たって混乱したが、創元のベスト本なので、ハヤカワで読んだものも混じっていて当然なのだった。「たんぽぽのお酒」もハードカバーで以前読んだはずだが、確か手放してしまった。「イルミネーション」も、「彫像」も、こんなに鮮やかに輝いている物語を、なぜ手放したのか後悔しきりだ。ちなみにお気に入りの「つくろい」は入っていない。

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Sakie
山頭火の句が沁みるのは、その自然の只中における静けさや透明感だけでなく、どうしようもない我が身の、苦悩や諦観も込みで共感するからだ。しかし町田康を案内にその生涯を追うと、簡単に共感しえない業の深さや絶望が露わになる。町田康もまた自分を同じ側に置いて行為を重ね、心中を慮る。真面目、ゆえに懊悩し、酒に逃げ、見失い、全てをふいにしてしまう。ひと所を守る日常すら辛かった山頭火が行乞の旅に出たのは45歳。"解くすべもない惑い"を、見ぬふりや、自分を赦すことなく、直視し続ける人生は苦行だ。我が句は成ったと思えたのか。
Sakie
2024/04/08 16:46

放哉亡き後、井泉水から山頭火に南郷庵、堂守引継ぎの打診もあったという。断ったのは歩き続けることへの切迫感、らしい。昨日、放哉忌の記念行事が西光寺で営まれた。大勢が墓石に日本酒を注いだと新聞にある。酒に狂い、酒を断ち得ない自分、酔って乱行に及ぶ自分、どうしようもない自身を生涯抱えて、満たされることなく死んだ彼らが、孤高の俳人、地域の宝などと呼ばれて弔われることは、今はとても不思議に感じる。

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Sakie
SNSのようなものをattention economyと定義し、それらに対して意識的かつ積極的に抵抗する行為として「何もしない」と題している。結果としては自分の時間を取り戻し、オフラインでありローカルであり自然への回帰などに結論する。そこまでの哲学やアートを引用したアプローチが、私には迂遠ではあった。ただ、「何もしない」ことは責任や義務の回避ではありえないという指摘、「注意」を向ける対象を選別するトレーニング、"外側に可能性をつくりだす"重要性などは興味深かった。『しないほうがよろしいのです』。
Sakie
2024/04/06 15:25

原題「How to Do Nothing: Resisting the Attention Economy」

Sakie
2024/04/06 15:26

図解本「14歳からの水と環境問題」を読んだ際に、現代人の選択としてダムを撤去するという方向性があり得るかと疑問に思ったが、実際にカリフォルニアでサンクレメンテダムが撤去されたという。劣化に対し、手を加えて耐震性を強化するのでなく撤去を決定し、それもダムの傍らに川をつくって水を迂回させることにより、上流の堆積物を流すとともにニジマスが通れるような設計を経たのち、コンクリートを撤去する工程だ。『ダム破壊という進歩』。それを選べることが、現代人にとっての進歩、つまり真に希望を持ちうる行動と感じる。

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Sakie
タイトル買い。これも中国異文化ものね、と読み始めたら、そうでないもののほうが多いと気づいた。異文化=すべての知らないことと位置付けているためだ。異文化に触れると人間の幅は広がる。それにしても話題の振れ幅、というより、ネタの豊富さに驚嘆する。いち一般人の生活でこんなにネタある?ってくらい。東京在住で国際高校に進学する人生はこんなドラマチックになるんだろうか。いや、地方だから語ることが何もないなんてことはないし著者も転勤組なんだけど。中国の家族の話がやっぱり興味深いな。冷たい烏龍茶、まさに文化の深ーい相違。
Sakie
2024/04/06 16:18

著者は大川史織さんと共にマーシャルのドキュメンタリー映画製作に関わっていたと知る。そもそも大学時代の友人が寄稿している縁でいただいた本「マーシャル、父の戦場」に思いがけず繋がり、マーシャルへの旅、映画バリアフリーガイドなど映画製作にまつわるエピソードも興味深かった。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」も行きたい、と改めて。

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Sakie
ロバの姿はなんとなくわかる。著者も、ごく普通の日本男子だ。しかし、彼らが歩いているのはいったいどこなのか、どのような風景でどんな匂いがするのか見当がつかない。イラン、トルコ、モロッコ。それぞれの土地でロバを手に入れ、共に歩く。ムフタールや警官は善意と職責から、歩く著者に声をかけたり世話したりする。豊かな土地であっても、複雑な民族問題など世情に不安定をはらむからこそ、理不尽とわかっているルールでも旅人に強制しないとならない。そこを徒歩でなんて、そりゃ疑わしく思われても仕方ない。よくぞ無事だったものだ。
Sakie
2024/04/04 14:43

最近はロバが流行りなんかなと思ったら、Twitterで見るクサツネを連れているのは著者本人と知った。なんと、小豆島の内澤さんのとこを訪れていたのがそうか。本文にも内澤さんの文章が引用されている。内澤さんとこはヤギだけど。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/09/01(4628日経過)
記録初日
2010/02/14(5192日経過)
読んだ本
2332冊(1日平均0.45冊)
読んだページ
661191ページ(1日平均127ページ)
感想・レビュー
2052件(投稿率88.0%)
本棚
14棚
性別
血液型
B型
職業
役員・管理職
現住所
香川県
自己紹介

本は買って読む派。
本棚とKindleの両方で積読しています。

<ジャンルの配分目標>
フィクション(小説)45%
ノンフィクション(エッセイ)10%
ノンフィクション(ルポ、学術、趣味実用)45%
環境、自然、動物、人間、武術に関心があるみたいです。

歳を重ねるごと興味が広がり、読みたい本が増える加速度との板挟みです。できるだけ偏らないように、1冊読み終えたら違う種類の本を選ぶようにしています。
その結果、一見しっちゃかめっちゃかな選本ですが、大切にしたい核はしっかり一貫していることに、自信を覚えはじめています。

お気に入りは関心の似た方、感想に尊敬の感を持った方にしています。お義理では返しません。読み友さんの感想やつぶやきを読むのは楽しみですが、本に関係ないつぶやきが余りに多い方には、そっとさよならします。


<好きな作家リスト>
◆国内◆ 内澤旬子 内田樹 小野不由美 開高健 小松左京 佐野洋子 高野秀行 田口ランディ 種田山頭火 恒川光太郎 寺田寅彦 中島敦 中島らも 南木佳士 半藤一利 福岡伸一 森下典子 養老孟司
◆国外◆ アゴタ・クリストフ イーユン・リー オリヴァー・サックス ケン・リュウ サキ サマセット・モーム ジュンパ・ラヒリ ショーン・タン スティーヴン・キング マイケル・クライトン メイ・サートン (50音順)

<好きな出版社リスト>
亜紀書房 英治出版 光文社(古典新訳文庫) 草思社 築地書館 早川書房 ポプラ社(百年文庫) みすず書房 (50音順)

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