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2024年4月の読書メーターまとめ

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読んだ本
8
読んだページ
2779ページ
感想・レビュー
8
ナイス
304ナイス

2024年4月に読んだ本
8

2024年4月のお気に入り登録
2

  • 伝奇羊
  • よもぎだ

2024年4月のお気に入られ登録
2

  • 伝奇羊
  • よもぎだ

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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『天冥の標』大団円となる最終巻。本シリーズを手に取る前はあまりにも大作過ぎて尻込みしてしまったが、読み終えた今ならこの長さはやはり必要だったのだと断言できる。 「他者を理解しようと心がけ、互いに尊重することの大切さ」という本シリーズに通底する、ある意味素朴すぎるテーマを上滑りすることなく受け入れることができたのは、長大な歴史や人々の営みを克明に描き登場人物たちにしっかりと感情移入させてくれたからこそ。使い古された言葉かもしれないが「物語の力」というものを改めて感じさせてくれた。
コーヒー豆焙煎中
2024/04/20 16:26

他にも新型コロナを予見したかのような冥王斑のリアリティ、際限のないスケールとイマジネーションの拡がり、時系列を入れ替えることによって生まれる謎と大河小説的な味わいと、長丁場を苦と思わせない筆力・構成力は見事の一言。 終盤の大風呂敷の畳み方がやや性急だったり、いくらでも掘り下げられそうなキャラクターがあっさり流されたりといくばくかの不満はあるが、それらを差し引いてもSF史上に残る傑作という評価は揺らがない。

が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
8

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怪奇・ミステリ・時代小説家の倉阪鬼一郎の校正者時代を描いたエッセイ。数ある小説群を差し置いてこれを最高傑作として挙げるのは少し気が引けるが、面白いんだから仕方ない。 校正や印刷業界の唖然とするエピソードや奇人変人たちも愉快だが、一番の読みどころは社会不適合者を自任し日本的企業風土に全く馴染めない著者の姿。文筆だけでは食えないからと嫌々会社勤めをするも、QC活動を押しつけてくる上司や目標を大声で叫ばせる体育会系ノリに本気で腹を立てる様子には笑いながらも共感してしまう。
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2024/04/28 18:40

こういった作家が会社員時代を回顧するエッセイは、馴染めない自分の方に問題があるんだとコンプレックスを抱いていたり批判するにしても恨みがましくならないようにするものだが、倉阪にそんな遠慮は皆無。自分はおかしい、しかしあいつらもおかしいという一貫した態度で毒を吐き散らすのがなんとも爽快。非難があまりに苛烈すぎると思う部分はあるが、それでも一会社員として勤務先の空気に辟易させられることのある身としては大いに頷くものがあった。 著者の会社員生活の凄絶な末路を見るに筆一本で食えるようになれて本当に良かったと思う。

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ネタバレカーの第一短編集。ベストはマーチ大佐が登場する「新透明人間」。『黒死荘の殺人』と同じく子供の頃にミステリクイズ本でネタバレを喰らっていたので読み始めてすぐにトリックが分かってしまったが、意外と面白かった。「傍迷惑なレベルで他人を詮索する隣人」という昔の探偵小説にありがちな証人の存在が、そのまま動機に繋がっているという皮肉の利かせ方が良かった。奇術趣味的なトリックだけでなく伏線の張り方の上手さにも注目したい。ただ他のマーチ大佐ものは古びてる感が否めず。
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『天冥の標』大団円となる最終巻。本シリーズを手に取る前はあまりにも大作過ぎて尻込みしてしまったが、読み終えた今ならこの長さはやはり必要だったのだと断言できる。 「他者を理解しようと心がけ、互いに尊重することの大切さ」という本シリーズに通底する、ある意味素朴すぎるテーマを上滑りすることなく受け入れることができたのは、長大な歴史や人々の営みを克明に描き登場人物たちにしっかりと感情移入させてくれたからこそ。使い古された言葉かもしれないが「物語の力」というものを改めて感じさせてくれた。
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2024/04/20 16:26

他にも新型コロナを予見したかのような冥王斑のリアリティ、際限のないスケールとイマジネーションの拡がり、時系列を入れ替えることによって生まれる謎と大河小説的な味わいと、長丁場を苦と思わせない筆力・構成力は見事の一言。 終盤の大風呂敷の畳み方がやや性急だったり、いくらでも掘り下げられそうなキャラクターがあっさり流されたりといくばくかの不満はあるが、それらを差し引いてもSF史上に残る傑作という評価は揺らがない。

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ネタバレミヒルとの決着や超銀河団諸族とのコンタクトなど見所は多いが、最もインパクトがあったのが冥王斑の致死率があまりにも高い理由。 宿主が死んでしまうとウイルスも一緒に死んでしまうため伝染病は収束あるいは弱毒化するというセオリーに対し、冥王斑はわずかに生存者を残すことで人類の恒星間航行を促し宇宙規模で拡散させるという特性を持たされていたとは。色々と強引な部分がある気もするが、現実のウイルスもまるで知性を持っているかのような不思議な挙動をとることがあるし、ましてやミスチフ製ならなぁ…とちょっと怖くなってしまった。
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ネタバレ『天冥の標』最終部、そのPART1で描かれるのは冥王斑患者の権利確立のために《救世群》という枠組みを作りその生涯を懸けた千茅の晩年、そして第6部『宿怨』に登場したブレイド・ヴァンディがあの冥王斑テロを生き延びていたというまさかまさかのエピソード。 千茅と青葉の終生変わらぬ友誼やブレイドの亡きシュタンドーレへの敬意など、過酷な歴史の中の光ともいうべき人々に再び出会えて暖かな気持ちになれた。
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ネタバレ古本エッセイシリーズ第三弾。ちょっとネタが苦しくなってきたかなと思う部分もあるがそれでも面白かった。 特に良かったのが前作で好評だったらしい日下三蔵邸探訪記の第二回となる「二つの本の引っ越し」「奇偶な交差点」。足の踏み場もない日下邸と本人の茫洋としたキャラクターは相変わらず。「何冊も同じ本を購入してるのはどうして?」という問いかけに「売っていたからです」と返すくだりは何度読んでも理解できない(笑)。 他にも北原尚彦と東雅夫という二人の作家・評論家の家にも訪問しており、書痴の未知なる生態を堪能できた。
が「ナイス!」と言っています。
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なるほどこのネタは他言禁止だ。宗教団体の二代目争いというサスペンスっぽい話なのに妙に緊迫感に欠ける話だなと不満に思いながら読んでいたが、ラストで明かされる大仕掛けのインパクトで一気に評価がひっくり返った。 新本格勃興前の謎解き不遇の時代にこれほどまでに遊び心に溢れた作品をものにしてしまう情熱には感心どころか感動してしまう。 それにしてもウェットなドラマ性を重視した小説で泉鏡花賞や直木賞を受賞したのとほぼ同時期にこういった技巧と遊戯性の極北のような怪作を執筆していたとは…。そっちの方が驚きかも。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ冒頭の船上での語りや瓶詰のくだりなど綾辻行人『十角館の殺人』を意識していそうな孤島もの。不朽の名作に正面からではなく変化球で挑むのが悪いとは思わないけど、いくらなんでもストライクゾーンのギリギリを攻めすぎで受け入れられる人が限られそうな感じ。 そもそも事件の一因となる月島凪は正面からその活躍を描かれることがない変わったシリーズキャラクター。読んでいるこちらがその凄さをあまり理解できないのに、登場人物だけがその特異性を認識してこのオチを持ってこられても呑み込みにくいと思わざるをえなかった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/03/15(789日経過)
記録初日
2022/03/01(803日経過)
読んだ本
297冊(1日平均0.37冊)
読んだページ
114830ページ(1日平均143ページ)
感想・レビュー
293件(投稿率98.7%)
本棚
16棚
性別
自己紹介

お気に入りの喫茶店でコーヒー片手に読書をするのが数少ない趣味。                                ※レビューはネタバレしていることが多いのでご注意ください。

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