ネタバレ救いはあったのに、身近な大人に壊されていく様が辛かった。粗末で自己愛的な周囲の大人たちとは対照的に、二人の秘密の友情が美しくて身震いする。大人たちを見ていると、無知は罪だと思ってしまう。

ネタバレ複数のキャラクターの視点に次々と切り替わって、徐々に全貌が明らかになっていく話。序盤では変な、狂った、脇役だった彼らが重要性を帯びてくる。その過程に起きる事件がどれも重たくて、鬱々とした気持ちで読み終えた。救いはあったのか？魔術師と葉巻屋のその後を知りたい。

ネタバレコージーミステリーって言葉にここで出会った。一話がテンポ良く短めで読みやすいので、時間を忘れて読みふけってしまう。語り手の影が薄いのも珍しいような。ありえざるアレルギーの謎と、謎の喪中はがきは特に「そうきたか！」という感じだった。

ネタバレ『きみの長靴でいいです』の妻川が信じられない！恥ずかしげもなくクサいセリフを言う人間も、恋愛対象じゃない相手から好意を向けられた時に妻川みたいな態度をとる人間も、どちらもいるからその点はリアルで、だけどその二つが一人の人間の中に共存するのはフィクションに感じられて。歪な印象がクセになる。 『愛について語るときに我々の騙ること』、男女の友情、三つ巴はあらゆる作家がテーマにするけど、これが一番すっきりしているよう。鳴花のブレない芯が、恋愛と友愛のどろっとした部分をスカッと読ませてくれるのかもしれない。