さすが三体の作者だけあってアイデアの量がすごいし見せ方も巧み。 鯨を使って麻薬を密輸する「鯨歌」 命が長くないことを自覚しながら子供達を教える教師の話「郷村教師」 オリンピックが代理戦争になった世界で走るランナーの少女の話「栄光と夢」 シャボン玉好きな少女がシャボン玉好きな博士になる話「円円のシャボン玉」 胎児が母と同一の記憶を併せ持つ「人生」など粒揃いの短編集 「人生」はグレッグ・イーガンっぽさも感じられて冷たくてダークなSFって感じで良かった。 天真爛漫でシャボン玉を愛する女の子から広がる話もいい。

体から希少金属が生えてくる代わりに長くとも25歳で死ぬ奇病を患った少女たち。 彼女らの家族には手厚い補助金が出るが、彼女らは専用施設に隔離され、資源として一生を保護されて過ごすことになる。 脇腹からジスプロシウムが生える17歳の少女と施設の職員の江波は禁じられた恋に落ちる… 子供たちが隔離施設で生育され資源として消費される様はカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」などとも近いかも。 17の少女が40過ぎの男を好きになってしまうのはストックホルム症候群的なものを感じて悲しい。多分それは愛ではない。

さすが三体の作者だけあってアイデアの量がすごいし見せ方も巧み。 鯨を使って麻薬を密輸する「鯨歌」 命が長くないことを自覚しながら子供達を教える教師の話「郷村教師」 オリンピックが代理戦争になった世界で走るランナーの少女の話「栄光と夢」 シャボン玉好きな少女がシャボン玉好きな博士になる話「円円のシャボン玉」 胎児が母と同一の記憶を併せ持つ「人生」など粒揃いの短編集 「人生」はグレッグ・イーガンっぽさも感じられて冷たくてダークなSFって感じで良かった。 天真爛漫でシャボン玉を愛する女の子から広がる話もいい。

「すべての美しい馬」のジョン・グレイディと「越境」のビリーのタッグものでもあり、ジョン・グレイディの激烈な恋の話でもあり、女を奪いあう男たちの争いでもある。 ジョンは娼婦と恋に落ち、財産を投げ打って女を逃亡させようと奔走するがビリーはそれを呆れながらも手伝う。 これは完全に「馬」と「越境」の交錯だった。立ち位置も含めて。 ナイフでの決闘のシーンは息が詰まる迫力だった。 思弁的な要素も多数あるが、正直難しくてよくわからなかった。わからなくても面白いよ。