鬼滅でいちばんブチアガったのはこの10巻、82話、「人間と鬼」。己を追い込んで戦った炭治郎の肉体が限界を迎える。ここからの【人間には限界がある　では鬼なら？】というアナウンスと共に仕上がったネズコが堂々の入場。これは盛り上がります。これが試合なら会場はネズココールで震動していたでしょう。

忘れてしまった恐怖を求め、サッパリ系女子カナタが出向く、魑魅魍魎の心霊地。小池ノクトの最新作はヤバい所に出向いてオバケを浴びようと(？)する主人公を軸にした連作短編集的なシロモノ。主人公カナタは恐怖をブチギメたいだけなので、訪問するだけ。せいぜい近場にいた人にアドバイスする程度である。それゆえ案件に救いや解決など用意されていない。そもそも手に負えぬレベルばかりなのでどうしようもないのだ。宙ぶらりんの意地悪さ厭さがいい出汁になっている。ただ巻の最後に怖がってるので、次からはどうするのかな、と思ったりもする。

99年、世紀末とノストラダムスに沸く日本。オカルト記事を送り出す犬吠埼と霊感のあるカメラマン浅間が遭遇する、手に負えない諸々の怪異。ありていに言えば民俗学的ホラーとSCPを混ぜた……となろうが、この漫画はまず第一話からひと捻り加えてある。さらに怪異のビジュアルがグロテスクで素晴らしい。多眼、集合体。蟲、毛などをゴンゴン投入したヤバいモノドモが呵責なく投入され、神経質な絵柄と合わさって至上の異形。ホラーMやサスペリアで育った私もエビス顔。いわばゴールが決まっている物語で、さてこれからどうなるか……

コミックDAYSにて。いま一番面白くて、一番読み返しているマンガです。荒馬のような作品ですが、書籍化多数の器のデカい原作者のOKと技巧が確かな漫画家の頭脳と腕っぷしが見事に合致して、今のところ一粒で5粒(ギャグ、ヒューマンドラマ、戦略バトル、アウトロー、頭脳戦)美味しい稀有な代物となっている。これをリアルタイムで読めている幸福。

実は本作、中国の武侠小説やブルース・リー以前のカンフー映画のノリを知っていると、さほど突飛な内容ではない。武侠小説もカンフー映画もマジでこんくらいの感じでコトが進む。なので免疫(？)ができていたし、力強さに満ちているのでほぼ全編楽しめた。楽しめた、のだが、拳聖五歌仙編はそれらのノリとゆでたまごのライブ感が合体して、ここだけは筆舌に尽くしがたい章となっている。

全身全霊、力一杯、魂を燃やして走りきったマンガだった。コロナの恐怖が猖獗を極める中、リアタイでこれを読めたことは幸福だったと思う。好ましいキャラは伊之助と不死川兄弟と童麿ちゃんです。

鬼滅の刃でいちばんヤバいキャラ、御館様だと思うんですよ。

鬼滅でいちばんブチアガったのはこの10巻、82話、「人間と鬼」。己を追い込んで戦った炭治郎の肉体が限界を迎える。ここからの【人間には限界がある　では鬼なら？】というアナウンスと共に仕上がったネズコが堂々の入場。これは盛り上がります。これが試合なら会場はネズココールで震動していたでしょう。

再読。3巻後半・この巻あたりから「輪郭線」に迷いが一切なくなる。私は絵描きでもマンガ描きでもないので難しいことはわからないが、迷いなく引かれている輪郭線はくっきりとしていてキャラクタが浮き立つようで、抜群に読みやすい。●▽●みたいな「手抜き絵」やリアクションデフォルメ顔も適度に織り混ぜてあり、読んでいて疲れない。スクリーントーンがほぼ使われていないのも物凄い。

インターネットでは例のお母さんの下りばかり取り沙汰されるし、思い返せば似たような展開が幾度となくあった気がしないでもないが、なんかもうそういう小理屈は通用しない作品ですね。そういう理屈は少年たちのまっすぐなパワーで粉砕されます。いやはや、ストレートにいい漫画を読んだなぁ……余力も残さず走り切った作品だから逆に語る人が少ないということですわ……