乳幼児健診で診る「微妙」な境界児のフォロー方法に焦点を当てた一冊。気になる点や、健診で注意すべき点がしっかり書かれていて、特に乳幼児期の発達障害疑いの対応について書かれているのはありがたいです。ただ、性別役割分業を当然の前提としている箇所があったりといくつか残念な点もありますね。（2010年の本なので「広汎性発達障害」という病名が使われています）

ロジャーズの生涯と思想、そしてクライエント中心療法についてコンパクトにまとめたテキスト。コンパクトだけに記述は教科書的ですが、クライエント中心療法が、どのような立場への批判から生まれたものかなどの背景も書かれているのですが、のちの時代に開発される心理療法への批判になることをすでに言っているのはすごいですね。

ACTを基本的なところから丁寧に解説した本の下巻。目標のたて方やセルフコンパッション、文脈としての自己など他流派でも使えそうなテクニックも色々紹介されています。一通り読みましたけど、エッセンスだけならともかく実臨床でこの内容を真面目にするのは結構きついかもしれない…

家族理解の基本的ツールであるジェノグラムの作成方法と使い方を平易に解説した入門書。コンパクトながら、事例も豊富で実臨床での聞き取りや家族理解の実際がわかるようになっていて、実際に活かすことができるようにという著者の心遣いを感じます。

実践向けの研究をしている教育心理学者の先生が有効な学習方略についての現在の知見を今学んでいる学生向けにわかりやすく解説した一冊。言われてみれば当然の内容も多いのですが、勉強が苦手な人が陥りやすいポイントやどう工夫すればいいのかが研究知見にもとづいてわかりやすく解説されているので、学習のアドバイスをする側の人にもおすすめできる本です。ただ、この本を中学生が読むのは難しいのではないかな…（あと、精緻化方略はたしかに有効なんですけど、時間がかかるのですよね）

差次感受性が専門の飯村先生が、高校進学に伴う「つまずき」の原因となる要因について当事者向けにわかりやすく解説した新書。「環境の変化」とざっくばらんに言われがちな部分を、青年心理学の研究をもとに著者の経験も交えながら詳しく解説しています。著者の専門であるHSPの話題は直接的には触れられていなくて、関連する話題がちょっとコラムにでてくる程度です。

当時の価値観や文化が丁寧に描かれていることもさることながら、リタの感情表現がかなり豊かになっていてとても楽しく読める一冊でした。

SCの経験豊富な著者が自らの臨床経験をもとに、子どもの要求を全て受け入れることを批判し、あるべき世界からの「押し返し」について論じた新書。キャッチーなタイトルですが、同業者向けと思われる議論など内容は深めで、誤読されるリスクも高そうな本です。ただ、地域性もあると思うんですが、わたしの地域は著者が描くほどには子どもに甘くないんですよね。理念型として例を出しているのかもですけど（あと、世界からの「押し返し」の方法が「叱る」である必要はないような気がしたのですけど）

一読では理解しきれなかったので、また読み直さないといけないかな…

段々と周囲の人間関係が広がってくる3巻。主人公も含めて靴を巡る様々な人生模様が描かれます。著者の作風もあって、男性含めて登場人物みんな可愛げがありますね。

ACTの大家、ラス・ハリスが基本的なところから実際のセラピーまでを丁寧に解説した入門書。チョイスポイントという概念が導入されていて、見た目にもわかりやすいように進化してきていることを感じますね。あと、読むだけでなく練習することをかなり要求してきます。

個性的な刑事たちが集まった少年課を舞台にしたマンガ。少女漫画誌に連載されている作品で、確かにギャグはそんな感じのノリですが、裏社会の怖い人達とか少女漫画ではなかなかみない人たちがリアルの絵柄でいっぱい出てくる意欲作です。あと、読んでいるうちに白湯が飲みたくなります。

このマンガは人生を感じさせるような描写が本当にうまいですよね。