個人は色んなパターンの他者から影響される複数の分人で構成される。個性は分人の構成比率により決められ、しかも人の出会いが増えることで個性は変化し続ける。本書の考え方を採り入れることで随分勇気づけられる人も多いと思う。自分という檻の中に自ら閉じこもり、迷ったりもがき苦しんだりする発想から解き放たれる。他者により違う面を見せることを多重人格とレッテルを貼られ、否定的な文脈で語られることが良くあるが、分人という概念を用い、肯定的に個人を捉え直す視座を与えてくれている。目から鱗の内容だった。

仏教の中に霊魂の存在を肯定的に認める考え方は基本的にはないが、浄土真宗を除き霊魂の存在を前提とした宗教儀式は各宗派に見られる。教義的には困難であっても日本人の感情を鑑みると仏教の儀式に霊魂を前提とした所作や思想を採り入れざるを得ない土壌が日本にはあったのだろう。霊魂を認めることで精神的な安らぎを得ることができ、救われる人も多い。先祖や親しい人の霊魂の存在を認め、生きている者と関係性を築いてくれているという世界観を持てることは、ある意味で幸せなことなのかもしれない。

個人は色んなパターンの他者から影響される複数の分人で構成される。個性は分人の構成比率により決められ、しかも人の出会いが増えることで個性は変化し続ける。本書の考え方を採り入れることで随分勇気づけられる人も多いと思う。自分という檻の中に自ら閉じこもり、迷ったりもがき苦しんだりする発想から解き放たれる。他者により違う面を見せることを多重人格とレッテルを貼られ、否定的な文脈で語られることが良くあるが、分人という概念を用い、肯定的に個人を捉え直す視座を与えてくれている。目から鱗の内容だった。