源氏の年甲斐もないセクハラっぷりにドン引きするけど、かつて全ての女性の憧れであった(それも正直どうかと思うが)源氏が、若い子にとってはもはや王子さまではないというのがきちんと描かれているとも言える。蛇足であるが、アニメ版「ベルサイユのばら」にもこういうのいたなと思って調べてみた。19話「さよなら、妹よ!」11歳の女の子に「やらしいことしちゃうぞー」と嬉しそうにセクハラしまくる43歳ロリコンオヤジで屈指の鬱回と紹介されていた。
明石と紫の上がちい姫を通じて心を通わせるところはとてもいい。会っていないどころか文のやり取りすらしていないのに分かり合えてるこの表現は素晴らしい。「こんな立場じゃなければ友達になれたかも」とはいうものの、源氏がいなければこの二人を結ぶ縁もなかったと思うとなぜか悔しい。旧頭中将である中納言と源氏の張り合いが爽やかさの欠片もない後宮政治になっているのもちょっと悲しい。太政大臣と藤壺逝去。冷泉帝は己の罪(じゃないと思うんだけどなあ)を自覚する。こうしてみると源氏物語ってすごく波乱万丈だ。
物の怪になった六条の御息所を見た後だと、「院は私の見舞いは喜ばない」とひっそりと控えた弘徽殿大后が刺さりまくる。この人だって生霊になっておかしくないほどの物思いをしたんだろうなと思うと、単なる悪役として憎めない。源氏サイドは故院の思し召しとか言うけど、六条をおろそかにしてはならないという院の思し召しを無視したのもまた源氏。因果よのう。
思えば今手元に持っている本で一番古いのがこれだ。紙の色も変色しているけど、これを機に電子版に買い替えようかなとも思ったけど、やっぱりこれは紙の本で持っていたい。
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