安部公房生誕100年で電子書籍化されたので、これまでどうしても読み通せなかった「鏡と呼子」を読むために購入し、全体を再読。やっぱり「鏡と呼子」はよくわかりませんでした。『飢餓同盟』もそうでしたが、安部公房の中には田舎の土着的なものを描きたいという欲望もあったのでしょう。久しぶりに読んだ表題2作、特に「鉛の卵」はよかったです。立派なSFで、人間性を超えた残酷さがあります。

涙。すべてが愛しく、切ないです。ちょうど一年生になった息子に読み聞かせました。息子もすごく気に入っていましたが、死神のところと離婚のところは読みませんでした。

めちゃくちゃ面白いのですが、サーッと読んでいくだけでは論旨が腑に落ちないところも多く、要再読。

古代というより古代から中世までの話ですが、コンパクトな分量の中にものすごい情報量が詰め込まれています。「人間はこんなふうに考える」というサンプル集としてめちゃくちゃ面白いです。ただ、読み飛ばしてしまったのかもしれませんが、なぜスンナ派イスラームで「もうこれ以上のエンディングは生まれない」となるのかはよくわかりませんでした。

安部公房でとても重要なのは「眼」なのですが、それに関して注目すべき事例が、ここに収録されている「なわ」と「人魚伝」です。前者では覗き穴が重要な役割を果たし、後者では眼が消化器官としてはたらきます。これは興味深い。久しぶりに読んだ「なわ」は独特の面白さがありました。「人魚伝」は、もともとピンときていませんでしたが、やはりあまりいい作品ではない気が。テーマと物語が切実にからみ合っていなくて、「だから何？」と思ってしまいます。あと、「時の崖」に出てくる、牛乳が「自分で自分を食う」という話も、じつは頻出モチーフ。

電子書籍になってくれたので、これまでどうしても読み通せなかった「鉄砲屋」を読むために購入。おかげで読み通せました。「鉄砲屋」は最初はどういう話かきわめてわかりにくく、わかってみれば単純な話。演劇にするといいんじゃないかなと思いました。それにしても、久しぶりにドナルド・キーンの解説を読み、安部公房ってやっぱり一種のオリエンタリズムで読まれていた（いる）んだなーと再認識しました。コモン君が植物になったのは疎外の結果に決まっているのに、それを見ないって、やっぱりオリエンタリズムでしょう。

安部公房生誕100年で電子書籍化されたので、これまでどうしても読み通せなかった「鏡と呼子」を読むために購入し、全体を再読。やっぱり「鏡と呼子」はよくわかりませんでした。『飢餓同盟』もそうでしたが、安部公房の中には田舎の土着的なものを描きたいという欲望もあったのでしょう。久しぶりに読んだ表題2作、特に「鉛の卵」はよかったです。立派なSFで、人間性を超えた残酷さがあります。