原田マハ様。あちこちでの露出が目に付いた。キュレーターという高尚な活躍の場をもつ女史から一段だけ市井の場に降臨して貰えたという思いで本作を手に取る機会を貰った。表紙は氏の真骨頂である美術、芸術に絡めたミステリだと印象付けられるけどその実は彼の映画「奇跡の人」の再構築版だった。その映画作品をここで披露する余白はない。ときは明治。女子の立ち位置と家制度なんかを絡めながら三重苦のれんと教師、安との教育という格闘を描く。本家の映画に無かったキワの存在の去り際の妙と巻末の脚光ぶり。印象に訴えかける芸術作、降臨。

原田マハ様。あちこちでの露出が目に付いた。キュレーターという高尚な活躍の場をもつ女史から一段だけ市井の場に降臨して貰えたという思いで本作を手に取る機会を貰った。表紙は氏の真骨頂である美術、芸術に絡めたミステリだと印象付けられるけどその実は彼の映画「奇跡の人」の再構築版だった。その映画作品をここで披露する余白はない。ときは明治。女子の立ち位置と家制度なんかを絡めながら三重苦のれんと教師、安との教育という格闘を描く。本家の映画に無かったキワの存在の去り際の妙と巻末の脚光ぶり。印象に訴えかける芸術作、降臨。

これと同じ作品を何度も手に取った。これは新装版だそうた。触手が伸びた。読み終えることができた。カバーデザインが読み手に与える衝撃は、死語の類になるだろう、彼のジュケ買いを彷彿させる。カバーが手招きしてくれた。時はポツダム宣言受諾の五日前。本土決戦のための軍費の名目で引き出された財宝を戦後復興の原資として隠匿するよう、密命を受けた者の奮闘が描かれる。歴史の時間軸と現代という幅を持たせつつ、「日本のいちばん長い日」を支流に描いた圧巻ものでした。巻頭と巻末の挺身隊の女学生。ここだけで話の九割が持って行かれた。