最後は哲学でお馴染みのトロッコ問題──つまり5人を助けるために1人を殺すか──のようなところに行き着く。だが私は昔から、映画などでヒーローが悪の巣窟に乗り込み、片っ端から敵を殺しまくるたびに、この人たち一人ひとりにも家族がいたり、やむを得ない理由でここにいたりすることだってあるんだろうになあ、とよく思っていたよね。

最初に間取り図を見た時の印象は、随分と生活動線の悪い家だな、ということだった。そしてよく見ると、柱の位置が通っていない！　その時点で、そういう小説ではないのだと自分に言い聞かせた。▼だがミステリーとして読み終わっても、いくつか判然としない。一つは、綾乃・柚希姉妹の父は何故洋一を殺害したのか？　もう一つは東京の家の近くで見つかったバラバラ死体はいったい誰で、誰が殺したのか？▼丹念に読み直せばわかるのだろうけど、そこまでする気は起きない。おそらく柱も通っていないこの家の話は私にとってリアリティがないのだ。

最後は哲学でお馴染みのトロッコ問題──つまり5人を助けるために1人を殺すか──のようなところに行き着く。だが私は昔から、映画などでヒーローが悪の巣窟に乗り込み、片っ端から敵を殺しまくるたびに、この人たち一人ひとりにも家族がいたり、やむを得ない理由でここにいたりすることだってあるんだろうになあ、とよく思っていたよね。

感想は下巻で