「ケチる貴方」はふくよかだけど冷え性の主人公。丸いタンクとの対比が面白い。「その周囲、五十八センチ」は脂肪吸引の話。思わず自分の太ももを測ってしまった。エッジの効いた文章と少し毒を含んだユーモア。着眼点の意外性。所謂「売れているいまどきの（不幸な育ちや日常を描いた）小説」ではない。癖になる作者さんだと思う。いつか大きな賞が取れると思う。

アメリカでのセミの大量発生のニュースを見たことがある。その間隔は決まって13年や17年で同じ場所で繰り返している。謎を解くカギは氷河期と素数にあった！イラストも良くて大変面白かった。生存するための本能と何千年何万年という長い間に素数がもたらすマジック。こういう研究ってわくわくするだろうなあ。素数ゼミは料理すると美味しいらしいけれど、私は無理だ・・・

hinadanのゲームアプリで有名な方。パソコンを始めたのは５８歳の時。たいしたものだと感心する。理想は「デジタルおひとりさま」かあ、なるほど。テクノロジーに老後を助けてもらうと思えば不安は幾分か減るかも。

広島と呉を訪れた際に、平和祈念館始めたくさんの戦争の足跡をたどった。広島は山を背負い豊かな川が流れ海が近く明るい日差しに満ちた街だったが、哀しみも併せ持っているように感じた。著者は広島生まれの同世代。こんな風に柔らかに、でも心に響くように、平和を訴えてくれている。今は過去から繋がっているのだから、忘れてはならない。

釧路の海岸に打ち上げられた老人の遺体。捜査にあたった刑事は孤独に暮らしていた老人の過去を遡っていく。ミステリ要素と人間ドラマの要素で読ませる。釧路の湿気を含んだ空気が重みを加える。でも著者のやや持って回った文章は少し苦手かもしれないな。

「ケチる貴方」はふくよかだけど冷え性の主人公。丸いタンクとの対比が面白い。「その周囲、五十八センチ」は脂肪吸引の話。思わず自分の太ももを測ってしまった。エッジの効いた文章と少し毒を含んだユーモア。着眼点の意外性。所謂「売れているいまどきの（不幸な育ちや日常を描いた）小説」ではない。癖になる作者さんだと思う。いつか大きな賞が取れると思う。