13年後に日本へ戻ってからの後半では実業家として活躍しつつ、なんと茶道の家元としても日本の伝統を守り育てていく。まさしく明治男、ここにあり!と思える本w。▼建築家、伊東忠太との長きにわたる友情の証とも言える頻繁に交わされたハガキや書簡文も多数掲載されており、そこから山田寅次郎の人柄を直接うかがい知ることができる。挿絵も上手で驚く。▼著者は山田寅次郎の孫娘で、自分の祖父がこんな大活躍をした人物だったのか!と知ったら、そりゃあ本の一冊ぐらい書きたくなるだろうw。
著者は大谷翔平選手が日本ハム時代のコーチで、すでに抜きんでた才能を示していた大谷には怪我がないようにだけ気をつかったという話は良く分かるw。ちなみに、水原一平通訳の賭博事件は誠に残念で、MBL2024開幕の高揚感が一気に萎えた。お金は怖いな。個人レベルでは無為な60万の借金を背負っても気が重くなりそうなのに、それが600万円でも6000万円でもなく、千倍の6億円とは感覚がいつマヒしてしまったのか?その借金を肩代わりしなければ小学校にはグラブを倍の6ケは贈れたろうに、などとあらぬことを考えた(ため息)。
「『地政学的リスク』などとマスコミはよく使うが地政学という学部・学科を持つ大学はない。なぜか?」とか「日本人は年表で情報(ものごと)を語ることを優先させるが(地政学的という言葉でごまかさず)地図情報を語ることが重要」などという著者の言葉にうなずくことが多かった。ただ、日本人が歴史を重視するのは土着性が強く大地震などの自然災害が繰り返されるからではないか?地形でも自然災害は語れるが、人は繰り返される歴史が好きなんだと思う。自分のこととしても語れそうだしw。でも、だから地理好きは、歴史も大好きなんだと思う。
イスラム教15、仏教1)、慣習(ラマダン、禁酒、浄・不浄)や国際化(インド中華?やマック、スタバの進出)がインド人の食事にどんな影響を与えているかを分かり易く教えてくれる本。インドまで行かなくても今では都内でかなり現地に近い味で食べられるらしい。▼ナンなどの粉食が中心の北インドと米食の南インド。牛肉を普通に食べるところもあれば、独自の進化を遂げたインド中華?もあるらしい。飲物もラッシーやチャイばかりでなくコーヒーも広く浸透しつつあるようだ。これからは14億人のインドの時代か。マンゴーが大好きだなんだって。
イエローストーンの生態系が蘇ったことを(=オオカミ再導入の成果を)非常に分かり易く教えてくれるのだった。▼最後にオオカミ以外の「再自然化と自然保護」についての言及があった。イギリスのビーバー、韓国のアムールトラ、オランダのバイソン、ガラパゴスのゾウガメ、フィリピンのザトウクジラなどの取り組みを、私は全く知らなかった。
感動的な最後の章は、彼でなければ書けなかっただろう。導入1年目の14頭のオオカミの中で一番小さくていじめられていたNo.8がいつしか群れを率いるリーダーとなり、しかし、No.8が育てた次世代のNo.20と互いの群れを守るために闘わなければならない場面にはフィクションに勝るドラマをみた。寒い夜に布団の暗がりの中で静かに読んでいると、エルクを追ってイエローストーンの野山を疾走するオオカミたちの姿が目に浮かぶようだ。▼ユタ州サンダンスに暮らす名優ロバート・レッドフォードが、なかなか良い序文を寄せている。
▼この本と一緒に、オオカミ再導入の話しを綴った『自然を再生させたイエローストーンのオオカミたち』という大型絵本も借りて先に読んでいたが、本書を読んでしまうと、絵本はやはり概要をなぞるだけで深い感動を覚えることはできないな、ということが良く分かった。中学生以上ならこっちを読もうw。私も仕事ならいざ知らず、自分のために読む本は、要約版で手っ取り早くあらすじだけを追うことはもうやめようと思う(ただし「源氏物語」を除く)w。
▼街頭で効率的に宣伝ティッシュを配る方法や入室時の手指消毒を促す方法、自転車乗車禁止区域の周知、誰も読まない解説文を読んでもらう方法、利用が少ない個所に人々を誘導する方法などなど、楽しい仕掛けが45事例紹介されている。著書に「松村式子育て仕掛学」という本もあるらしい。
取り上げられた20の職業は何故これらが選ばれたのか?ちょっと不思議でランダム過ぎると思う。「子供の仕事」で選ばれた3枚の絵もまったく異なっていて、貧しさばかりではなく、階級との対比だったり、田舎での親子での労働だったり、様々だと言いたいのだろうが、これも統一感に欠けて、ちょっとわかりづらい。中野先生、さすがにテーマも枯れてきたかw?▼本書で紹介された絵は美しいものばかりでなく、権力や貧困、厳しさや戒め、残忍さや悲しみ、死まで、あらゆる喜怒哀楽が描かれているが、美しい絵以外は見たくないな。癒されたいなあw。
読メを続けて早10年。10年前はどんな本を読んでいたのだろう?と履歴をみると(当然今と同じ)興味のある分野の本を読んでいたが、その中でも前向きな生き方につながるような本を読んで、前向きな感想をつけていた。ふ~ん、10年前のワタシはそんなにも意欲的だったか?と驚くが、大震災からの復興がそうさせたのかもしれない。それに対して最近の読書は父母の介護の諸々から逃れるため、癒されるために読んでいたような気もするが、その両親も亡くなり、さてこれからの10年、どんな読書になっていくのだろうか?▼興味の対象は、地理・地形、自然科学、美術・映画、歴史、スポーツ、小説は10冊に一冊読む程度。
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