どこを取っても辛い。どうやって心の安定を図るか。お互い抱き合って泣いて、絶対離れないと言い合える繋がりはなかなか無い。それだけは離さないで。希望の見える終わり方だったが、思い返せばどれもこれも辛くしんどかった。花ちゃんと淳くんかあ…。見たいけど見えるかなぁ。

シリーズ最後としてこの上ないあっぱれな物語だった。ロジャーは名前は同じでも魔女のロジャーとは違うようで安心した。直系(あまり相応しくない表現かも)の子どもたちが時代を経て木の下で集う場面は長い物語を思い出し感動してポロリと涙がこぼれた。「ほかの人たちの仲間」になって一緒に集まりたいなあ。これからも石の思いを胸に襲ってくる時代の魔から守っていってほしい。とても満足できたシリーズでした。

瀬尾まいこさんのほんわかとした文章のおかけで、なんとなく温かみのあるホームドラマのように読み終えたが、本当にあのコロナ禍の数年はしんどかった。私は冴ちゃんや心晴のように思春期ではなかったけど、今までの常識や世界観が大きく変わってしまった。まだ自分の考えが固まる前の子ども達にあのコロナ禍がどんな影響を与えたかは分からない。それでも一人ひとり乗り越えて幸せな充実感を感じてほしいと切に思う。

このシリーズはきっちりと繋がっている。トーリーもピンもスーザンもちゃんと出てくる。そして、凛としてまっすぐに立ち向かう「おばあ」がいる。私も子どもに寄り添え、同じ目線で生きるおばあになりたい。魔女は三角帽子を被らないし、箒にも乗らない。でもそんな魔女以上にいやらしい魔法で襲ってくる。子どもたちのなんと冷静で勇気のあることか。おばあを守る気持ちでいっぱいの二人がとても頼もしくみえた。グリーンノウの絆は壊されない。ハラハラドキドキして魔女に立ち向かいながら読んだ。面白かった。

あの藤原実資の娘、千古の物語。もうすぐ大人となる裳着の儀式を迎える。何事もお付の者が行い事の成り立ちは知る必要もないという高貴な方の生活が描かれる。しかし千古は美しい染物がどうやって出来るのかを知りたいと思い自ら動くことで自分を見つける。思うように染まらなくても全てが唯一無二の色。常緑は二色重ねないと出来ない。自分で決め、動くことを心に決める千古の明るい表情が浮かぶ。そこへ導くモチーフが「源氏物語」と初恋。リンクして楽しく読めた。

どこを取っても辛い。どうやって心の安定を図るか。お互い抱き合って泣いて、絶対離れないと言い合える繋がりはなかなか無い。それだけは離さないで。希望の見える終わり方だったが、思い返せばどれもこれも辛くしんどかった。花ちゃんと淳くんかあ…。見たいけど見えるかなぁ。

このシリーズではそれぞれのエピソードがどれもきめ細やかに描かれている。だからおもちゃ屋ホシノで起こる出来事も単純ではない。とつとつと話すお父さんの思いが良かった。拓の心に染みたよね。