ですが宮城や岩手はそのとおりでも、原発が爆発し放射能がばらまかれた福島の原発立地自治体の町々には軍隊である自衛隊ですら入り込めず、核専門部隊が原発対応を行うだけで、通常の自衛隊員による地域住民の救助活動は一切行われませんでした。原発のリスクを放置した東京電力と政府、経済産業省によって数多くの被災者全員が見殺しにされました。生きていた人たちも、福島県選出の議員が国会で言っていたように東電職員の家族だけはいち早く逃げ出しましたが、東電職員の家族以外の地域住民も自らの家族の救助はできませんでした。
地震と津波は天災ですが原発の爆発は人災です。東日本大震災以降、戦後、自民党や官僚がついてきた嘘や悪事が次々と暴かれ、この国を全く信じられなくなりました。能登半島地震では東日本大震災などの教訓は全く生かされず、被災直後の72時間は陸路がだめなら海からでも空からでも大規模に人員を投入し救助を行うべきところを、新年会に浮かれたバカな自民党政府に邪魔され、犠牲者、被害者は増えたのではないでしょうか。国に対する不信感はこの13年間、今でもどんどん募るばかりです。
で、映画を観ました。さすがに良かったです。特に猛の法廷での証言のシーン、声やお互いの表情、静寂、間などは説得力がありました。ラストのバスに遮られる直前の稔の表情も映画ならではで、最後まで観て良かったと思いました。ただ、前半の古臭い音楽や衣装、演技など、小説で感じていた雰囲気とはかけ離れていて残念と思うところもありました。小説は確かに書き過ぎている面もあるのでしょうが、立ち止まったり、戻ったり、考えながら読み進めることができ、本の世界に没頭できるのでこれはこれで読んでおいて良かったと思いました。
この著者はそうした恵まれた環境を自分のものにしたというところが凄いところだと思いました。このような階層の人はいても良いと思いますが、恵まれた生い立ちの分、社会的な責任を果たしてもらいたいと思います。ところが、二世、三世議員やオーナー企業のボンボン社長は幼稚で自分の金儲けしか考えない。こうしたいわゆるエリート階級の人たちが不甲斐ないから、英語もできない、ITも使いこなせない、グローバル化から取り残された、みじめな今の日本があるのだと思います。著者にはこれからこの国を立て直すために活躍してもらいたいです。
「中味のない集団が一時の栄華を誇ったとしても、所詮、泡沫の夢だ。最後には道を過たず、理に適ったものだけが残る。逆にいえば、道理を外れれば、いつかしっぺ返しを食らう。自浄作用がなくなったとき、そのシステムは終わる」 早く最後の引用のようになってほしいです。
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