併録された評論では、「テンペスト」が脱植民地化の観点で議論されるようになった歴史の流れが語られる。大航海時代から始まった植民地主義はシェイクスピアの時代には英国でも高まり、原作で先住民の造形を為すキャリバンの存在はやがて時を経て非植民者の目線により注目を集めた。そして西洋的価値観となる古典の内部に入り込み、排除された文化風土を取り戻すために活用したことが印象的なものとして残る。また植民地化による父権制への転換に着目して、原作を植民者の女性と被植民者の女性の物語として捉えようとした評論も興味深い内容だった。
ケンブリッジに留学中、オッペンハイマーは友人たちとコルシカ島を旅行した。その際に彼はプルーストの「失われた時を求めて」を読む。このことを彼は人生最高の経験と語ったという。そして本の中の残酷さについて述べた一節を暗記していた。それについて本作の著者は、オッペンハイマーが「自分が他人に与えた苦しみに対して無関心であったことに気づいたため、この節を暗記したに違いない。それは、痛みを伴う内省であった」と記述している。オッペンハイマーはその一節を長い間、暗記していたのだそうだ。
ここのところ登録&レビューは書いていないけれど、昨日購入して読みました。龍王丸がいかにもゆうきまさみさんらしいキャラで、跡目争いという生臭い内容の中唯一ほっとさせてくれますね。次巻も楽しみです。
アーちゃん、龍王丸のキャラ、いいですよね。皆が争うしかないと考えている時に、別な目線も持ち合わせている。仕方がないからと流されずに、取りあえず正直に言ってみる。伊都の子ですからね。ちゃんと当主としての資質がありそう。次巻以降、どんな姿を見せてくれるか楽しみです。
「ペドロ・パラモ」を改めて読むと、確かに多くの場面に革命の余波が描かれていた。現地の農民たちの革命に対する本当の事情、空気感が見えてくる。「どうして武装蜂起したんだ?。よその奴らもそうしたからさ」。「いまカランサ派の連中と組んでるんですよ。今度はオブレゴン将軍と一緒なんですよ。和睦なんぞ長く続くものか」。「神父はゲリラになっちまいましたよ。手を貸しますか?政府の側につくんだ。だけどおれたちゃ反乱軍。勝手にしろ」。神父が反乱に参加した背景も知れた。歴史の陰に見える人々の姿。ルルフォの作品をまた読もうと思う。
先日読んだ「恐るべき緑」で語られたハイゼンベルクやハーバーも登場し、当時のドイツの研究所の盛況ぶりが分かる。本作では彼らの印象に違う面も見出すなど、人物像というのを掴むことの難しさを感じた。また別の本を読んで多面的な視点で捉えてみたい。
アイコン付けました(^^)。
一応ブチなパンダです。(2018.11.1)
ミステリや歴史ものが好みです。
最近は初読みの作家さんを増やすことと
読みたいジャンルを開拓することが
楽しみになっています(^^)。
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