芥川賞は偶にSFに与えられることがある。ただし、強いてジャンル分けするならばレベルものが多いのだが、今回はしっかりとジャンルSFで通じるレベルの強度を持った作品が受賞していて、自分が芥川賞を追いかけているのはこういう作品が評価されるところを見たいからだということが再認識できた。至近未来のユートピア/ディストピアを内側からではなく、外縁をなぞる様に描くことで、現実と地続きの線を引いていて、ふとした拍子に空を見上げると“塔”を幻視してしまいそうな程の実在性を伴っている。純文としてもエンタメとしても大変面白い。

芥川賞は偶にSFに与えられることがある。ただし、強いてジャンル分けするならばレベルものが多いのだが、今回はしっかりとジャンルSFで通じるレベルの強度を持った作品が受賞していて、自分が芥川賞を追いかけているのはこういう作品が評価されるところを見たいからだということが再認識できた。至近未来のユートピア/ディストピアを内側からではなく、外縁をなぞる様に描くことで、現実と地続きの線を引いていて、ふとした拍子に空を見上げると“塔”を幻視してしまいそうな程の実在性を伴っている。純文としてもエンタメとしても大変面白い。