見つからないので新たに購入。ニンゲンマメ。human bean。直訳だけれど味わい深い。言葉遊びがたくさん散りばめられているけれど、それだけに原文を読むのは面倒。I is 、You is とか綴りの入れ違いとか。extremely icky-poo。いい翻訳はとっても嬉しい。そして、クエンティン・ブレイクの挿絵も、多分全部入っており素晴らしい。
空腹の技法から。on the high wireは日本語がないので、こちら。面白いのは分かっていたけれど、ずっと積んであったのを引っ張り出す。わくわくする高揚感。と同時に腑の底まで冷え、締め付けられる恐怖と焦燥感。息を詰めて読み進む。ワイアの上に至り、緊張の弛緩、開放感。風、鳥。圧倒される美しさに震える。
The Ragged Trousered Philanthropists(=労働者)の全訳。本文581ページ。架空の町マグズボロー(とんまの里)の内装業の職人たち。その貧困。トレッセルは厳しい。暖かく、ときにはユーモアを交えて人間は描くが、社会問題に対し、安易な解答は出さない。大きすぎ、当たり前の前提になっているものに対し、戦うことの難しさ。どんどん読むのが難儀になる。社会全般がマイルドな現代で全く同様に感じることは困難だが、資本主義が洗練の極みにある今、巧妙さの裏側にあるものを意識する意味は小さくない。