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2024年3月の読書メーターまとめ

かつみす
読んだ本
6
読んだページ
1747ページ
感想・レビュー
6
ナイス
75ナイス

2024年3月に読んだ本
6

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

かつみす
人間離れした狩猟の腕前をもつ熊爪が、他所から来た「穴持たず」や、精悍な「赤毛」といった熊たちと対決する。獣を狩る場である山と、人間たちが棲む下界とを行き来する熊爪。そんな彼に、今までにない心境の変化が訪れる。人より獣に近い男を主人公にしたせいか、どこか現実離れした雰囲気が漂うけど、命のやり取りにかかわる描写は、驚くほど真に迫っている。読んでいた一週間ばかり、この小説の世界のなかにどっぷり浸かっていたような感じ。人も獣も区別なく持っている〈命〉を直視することを通して、人間の在りように迫ろうとする骨太の小説。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
6

かつみす
日本では『菊と刀』で知られる文化人類学者による著作を平易な日本語で新訳。出版時期はかなり前だが、主張していることは、今読んでも通じるまっとうもの。いわゆる人種が混じり合っていない社会などないし、混じることによって文明の進歩が止まったことなどない、という点が特に強調される。ヨーロッパでのかつての宗教的迫害と20世紀の人種差別との間にはとてもよく似たところがあることも教えてくれる。広い意味でのマイノリティへの差別や抑圧について知り、それに抗うためには何をしなければならないのか、そのヒントを投げかけてくれる本。
が「ナイス!」と言っています。
かつみす
〈『洪水の年』はフィクションですが、全体の傾向や細部の描写は怖いほど現実に近いものです〉と謝辞に述べられている。まったくその通り。いま人間という生物種は、他の種を虐殺して絶滅に追いやったり、限りのある資源を必要以上に浪費して、地球の環境にとても悪い影響を与えている。早晩私たちはそのつけを払うことになるだろう、という書き手の確信がこの作品から感じられる。本作で前面に出される女性同士の連帯が、男性中心的な暴力性とは異なる原理で人間社会を編み直す可能性も差し出されているようだ。邦訳がされたばかりの最終作に期待。
が「ナイス!」と言っています。
かつみす
春之助は幼少の時から抜群の知力を示し、「神童」と呼ばれる少年。進学したいという希望を叶えるため、貧しい両親は彼を豊かな家庭に預け、書生として務めさせる。学知の世界に生きていた春之助は、衣・食・性など、人の生きる世界の享楽や美へとやがて目を開いていく・・・。滑稽で、浅ましく、理不尽な世間のリアルや人の心の動きが、こってりとしたご馳走のような文章で綴られていく。あまり知られていない、比較的初期の作品だけど、谷崎の鋭い人間観察と豊かな語彙を駆使した文章の見事さを味わえる。角川文庫の新シリーズの一冊、お勧めです!
が「ナイス!」と言っています。
かつみす
アトウッドによる3部作の2作目。環境破壊で荒廃した近未来の世界が舞台である点は同じでも、前作がジミーとクレイクという二人の男性が中心人物であったのに対し、教団〈神の庭師たち〉の一員となった二人の女性(トビーとレン)の目線から本作は語られる。〈神の庭師たち〉の教義や信条が、とても印象的。人間の思い上がりを諫め、すべての生きものは神の被造物として等しく尊重すべき、という教えは、環境倫理の考え方にとても馴染む。ヒトが地球を大きく変え、自らの首を絞めつつある現在、本当にこのような教団が存在していてもおかしくない。
が「ナイス!」と言っています。
かつみす
人間離れした狩猟の腕前をもつ熊爪が、他所から来た「穴持たず」や、精悍な「赤毛」といった熊たちと対決する。獣を狩る場である山と、人間たちが棲む下界とを行き来する熊爪。そんな彼に、今までにない心境の変化が訪れる。人より獣に近い男を主人公にしたせいか、どこか現実離れした雰囲気が漂うけど、命のやり取りにかかわる描写は、驚くほど真に迫っている。読んでいた一週間ばかり、この小説の世界のなかにどっぷり浸かっていたような感じ。人も獣も区別なく持っている〈命〉を直視することを通して、人間の在りように迫ろうとする骨太の小説。
が「ナイス!」と言っています。
かつみす
3部作の開幕となる小説で、遺伝子操作が発達した近未来が舞台。人間の生き残りであるスノーマンの旅を辿る〈現在〉と、彼がまだジミーという名を持っていた〈過去〉。その二つの物語が交互に語られる。風変わりな親友クレイクと、魅惑的な少女オリクスとの関係の結末は?SFとしても読めるけれど、コロナ禍を経た今読むと、ここで示された感染症による世界の壊滅というヴィジョンは、決して荒唐無稽なものではないのでは。人間が生来的に持っている愚かさ・残虐さは、そう遠くない未来に悲惨な結果をもたらすに違いない、と思わせる黙示録的作品。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/09/13(3516日経過)
記録初日
2014/07/30(3561日経過)
読んだ本
408冊(1日平均0.11冊)
読んだページ
124029ページ(1日平均34ページ)
感想・レビュー
400件(投稿率98.0%)
本棚
4棚
性別
現住所
大阪府
自己紹介

仕事と雑用の合間にちょこちょこ読んでいます。
好きなのは文学。小説が多かったのですが、最近は細切れ時間でも読める詩や古典にも興味がわいてきました。
電子書籍端末も愛用しています。自炊ができるよう悪戦苦闘中。。
(2017.1)

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