政治学の泰斗による、帝国陸軍の大陸政策及びそれをめぐる国内での対立を描いた力作。本書で特に印象に残るのは、山縣有朋や寺内正毅に対する、田中義一の存在感である。旧藩閥を代表する山縣や寺内に対し、新しい陸軍を担う存在となった田中は積極的な大陸政策を主張した。後に首相となった時の印象とは違い、この時の田中は知略と実行力に優れた政治的軍人であった。田中も旧長州藩出身でありながら、山縣や寺内とは異なる大陸政策を抱いていた。巻末の参考文献についての解説も有用と思われる。

政治学の泰斗による、帝国陸軍の大陸政策及びそれをめぐる国内での対立を描いた力作。本書で特に印象に残るのは、山縣有朋や寺内正毅に対する、田中義一の存在感である。旧藩閥を代表する山縣や寺内に対し、新しい陸軍を担う存在となった田中は積極的な大陸政策を主張した。後に首相となった時の印象とは違い、この時の田中は知略と実行力に優れた政治的軍人であった。田中も旧長州藩出身でありながら、山縣や寺内とは異なる大陸政策を抱いていた。巻末の参考文献についての解説も有用と思われる。